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2018/12/01

古典もいいけど再読もね

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→ 山茶花。咲きっぷりがなかなかいい。枝葉を思いっきり剪定したのが功を奏したのかな。

 相変わらず庭仕事に精を出す日々が続く。夏場の大掛かりな作業は終わったので、今は例年の剪定作業や草むしりなどがメイン。運動不足解消の一環でもある。
 浴室乾燥暖房機を設置したので、冬場もシャワーや入浴が可能になった。雪の中、銭湯へ通う必要はなくなった(楽しみで行くことはあるだろうけど)。
 今月の冊数は、こんなものかというもの。毎月、古典を読むことと共に、一冊は再読を心掛けている。今月は2冊。新しい本を読むのもいいけど、再読もいい。

11月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:4234
ナイス数:1933


変身綺譚集成: 谷崎潤一郎怪異小品集 (平凡社ライブラリー た 26-1)変身綺譚集成: 谷崎潤一郎怪異小品集 (平凡社ライブラリー た 26-1)感想
谷崎ワールドというと、どうしても『細雪』を筆頭に、『痴人の愛 』とか『卍 』とか『瘋癲老人日記』、『陰翳禮讚 』、『蓼喰ふ虫』、『春琴抄』といった作品群となる。
 そうした印象(に留まるとは思わない)があるだけに、変身奇譚の作品群は面白くはあるが、必ずしも絶品とは感じなかった。まさに本書の中でも、折々…いやかなり臆面もなく語られ告白されているように、圧倒的に泉鏡花には敵わない、圧倒されているように思う。
読了日:11月28日 著者:谷崎 潤一郎


山海経―中国古代の神話世界 (平凡社ライブラリー)山海経―中国古代の神話世界 (平凡社ライブラリー)感想
読了した……とは到底、言えない。理解不能だった。妖怪や魑魅魍魎の跋扈する、戦国時代など古い中国にて記録されていたものが、文献が散逸し、あるいは回収され、何人かの人物によって編集されたものと思われる。奇妙奇天烈な生き物が登場する。そうした怪物を食べたり傷口に体液を塗ったりすると、生き物ごとに特定の病気などに効果がある、などと。
読了日:11月27日 著者:


増補 幕末百話 (岩波文庫)増補 幕末百話 (岩波文庫)感想
幕末維新を古老に聞き書きしたもの。著名人は敢えて避けて、武士や商人、町民など多彩な人々の話題を豊富に。感想ならぬ気になる点は、これまで随時、メモってきたので、裏話の数々を楽しんだとだけ書いておく。
読了日:11月26日 著者:篠田 鉱造


ビリー・バッド (岩波文庫 赤 308-4)ビリー・バッド (岩波文庫 赤 308-4)感想

本文そのものは180頁ほどなのに、最初は戸惑うことばかりで、日に30頁を読むばかり。途中から小説らくなって、後半は一気に読めた。
 戸惑った理由は、訳者の坂下氏の注釈が凝っていることと、訳の本文がいかにもメルヴィル的で突っかかることばかりなのである。
 彼の小説はどれもだが、この遺作は、旧約聖書やメルヴィルの尊崇する作家が随所に言及され示唆され、それらに拘りだすと、前に進まないのだ。
読了日:11月24日 著者:メルヴィル


真空地帯 (岩波文庫)真空地帯 (岩波文庫)感想
長らく、敬して近寄らずできた本。戦後早々に出た反戦の問題作。読まなきゃと思いつつ、何か例えば堀田善衛の『広場の孤独』や大岡昇平の『俘虜記』や『野火』といった本ほどの鋭さを感じない……あくまで先入見である。
 とはいっても、いつまでも避けてはいられない作品である。ということで、重い腰を上げた。
 読み始めて、やはり、重苦しい…最後まで読み通せるかと思ったが、読んでいくほどに本書が意識の流れの手法を汲みつつも、解説の紅野謙介の話にあるように、ちゃんとしたストーリーがあり、ある種のサスペンス性もある。
読了日:11月20日 著者:野間 宏


青白い炎 (岩波文庫)青白い炎 (岩波文庫)感想
構成の複雑さ……に翻弄された印象が残っただけ。
 吾輩には(一度くらいの通読では)歯が立たなかった。
 ただ、訳者でもある富士川 義之氏による解説は非常に参考になった。自分のようなものは、邪道かもしれないが、解説を読んでから本文に取り掛かったほうがよかったかもしれない。
 著者(編者)も、詩と注釈を往復し、繰り返し読めって薦めている。そうはいかないよね。
 本当の作者は誰なのか、そもそも書き手という存在は何処に存在するのか。
読了日:11月17日 著者:ナボコフ


若き日の詩人たちの肖像 下 (集英社文庫)若き日の詩人たちの肖像 下 (集英社文庫)感想
車中でスマホを通じて、読書メーターに感想めいたことをメモってきた。
 その都度、感じたのは、堀田の素養の深さと、何処までも自分の知性と感性で考え生き抜く強さ。

 本書は自伝風の作品で、虚構の部分も多いようだ。
 というか、虚実を自在に往還する、類を見ない作品足り得ている。
 こういう国際性も豊かな思索の人が、視野の狭さが息苦しさに繋がっている富山に生まれていたとは、驚きである。
読了日:11月14日 著者:堀田 善衞


ロボットの脅威 ―人の仕事がなくなる日ロボットの脅威 ―人の仕事がなくなる日感想
初読の際、次のように書いた:冒頭の数十頁を読んだ段階で、トマ・ピケティの『21世紀の資本』をロボット技術の急劇な発達という側面から裏書きしたと言えそうと感じた。本書は、まさにソフトウエアやロボット技術の進歩がいかに脅威なのかを縷々語っている。ロボット技術の進展は、ルーティーンワークのみならず、高度な知的エリートからも仕事を奪っていく。トヨタが膨大な社員を抱える一方、グーグルやフェイスブックなどは、利益の膨大さの割に抱える社員の数は驚くほど少ない。大半の仕事はコンピューターやロボットがこなしてくれるからだ。
読了日:11月09日 著者:マーティン・フォード


テンペスト (白水Uブックス (36))テンペスト (白水Uブックス (36))感想
登場人物が多い。幸い、人物の名前やキャラクターが冒頭で一覧となっている。
 何十回、その一覧を覗いたことか。
 情けないことに、最初に読んだ印象は、その繰り返しが恥ずかしいほど、多いってことばかり。
 なので、仕事を挟んだ翌日、今度はざっとだが、再読。
 当時の小説や戯曲には、妖精やら魔法やら、道化、そして本作では野蛮で奇形の奴隷であるキャリバンが登場する。狂言回しのような存在。
 で、吾輩の印象では、やはり、このキャリバン(や道化、酔漢の男ら)ばかりがリアルに表現されていると感じた。
読了日:11月09日 著者:ウィリアム・シェイクスピア


アフリカの日々 (河出文庫)アフリカの日々 (河出文庫)感想
イサク・ディネセンの「アフリカの日々」は印象に残る作品だった。彼女がアフリカの風土やアフリカ人の発想法にどこまで迫れたかは分からないが、アフリカ的時間の過ぎ方に馴染もうとした、その恩徳を超えた努力が垣間見える。

 うっかり過ごし方という表現をしたが、時間というのは時計で計るような、分や秒単位で刻まれるものではなく、人は(おそらくは動植物も含め)時間の中に生きている。時間とじっくりゆっくり寝ている。ひととの付き合いも、できればすこしでも長く同じ時空を共有したいと心底から願っているのだ。
読了日:11月03日 著者:イサク・ディネセン


若き日の詩人たちの肖像 上―(上) (集英社文庫 ほ 1-3)若き日の詩人たちの肖像 上―(上) (集英社文庫 ほ 1-3)感想
やはり、稀有な作家だったと痛感。もっと評価されていい。生まれが代々の回船問屋だったこともあるが(視野が広い)、育ちが金沢ということも大きかったようだ。三味線や箏曲、古美術への造詣、これは偶然かもしれないが、若くして英語に堪能となったことなど。上京し大学生となった時点で、並の若者じゃない。上京直後に226事件に遭遇したことなど、彼を社会性国際性をも高めた。 どこまでも自ら考え抜く精神。
 読むほどに、感心する。次の仕事の日には早速、下巻へ。
読了日:11月01日 著者:堀田 善衞



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