「ロボットの脅威」と移民問題
← マーティン・フォード著『ロボットの脅威―人の仕事がなくなる日』(松本剛史 訳 日本経済新聞出版社) 「ロボットの脅威 日本経済新聞出版社」によると、「シリコンバレーのソフトウェア開発ベンチャー創業者としてITに通暁する著者がAI、ロボットの普及と、人間の職、雇用との関係、ロボット時代の経済についていち早く警鐘を鳴らした名著。関心を集める「AIと人間との関係」についてじっくり考えるうえで役立つ視点を提供」といった内容。
マーティン・フォード著の『ロボットの脅威―人の仕事がなくなる日』を読了した(金曜日)。再読である。
本書を初めて読んだとき、以下のような感想を綴った(「『ロボットの脅威―人の仕事がなくなる日』から2年」など参照):
冒頭の数十頁を読んだ段階で、トマ・ピケティの『21世紀の資本』をロボット技術の急劇な発達という側面から裏書きしたと言えそうと感じた。本書は、まさにソフトウエアやロボット技術の進歩がいかに脅威なのかを縷々語っている。ロボット技術の進展は、ルーティーンワークのみならず、高度な知的エリートからも仕事を奪っていく。トヨタが膨大な社員を抱える一方、グーグルやフェイスブックなどは、利益の膨大さの割に抱える社員の数は驚くほど少ない。大半の仕事はコンピューターやロボットがこなしてくれるからだ。
今回、再読して、僅か2年で随分と事態が進展してしまったと感じる。
2年前では、ベーシックインカムなんて発想なんて、机上の空論ですらないと思っていたが、今では大いにあり得ると実感してきている。
今回読んで感じたのは、時代の趨勢の脅威と同時に、本書の最後の章が、実は著者の本音であり、まさにロボットの脅威だということである。
最後の章は、「新たな経済パラダイムをめざして」とある。AI(ロボット)の専門家がこんな提言を為さないとまずいという切迫感が伝わってくる(初読の時は、読み流した章だったのだが)。
アメリカではトランプ(大統領)旋風が続いている。中間選挙で与党である共和党は、上院こそ勝ったが、下院は負けた。
ラストベルトの白人(や福音派の信徒、ユダヤ人、そしてとりわけ裕福な人々)の支持の強いトランプ大統領。
移民政策で、旧弊な白人に受けているようだが、人種的偏見もだが、アメリカにはもはや、移民を受け入れる余地が乏しくなってきていることを裏書きした政策と考えられる。
移民が白人らの働きの場を奪っているというのは、嘘…少なくとも不正確で、実は、ロボットやAIの急激な発達で、ルーティンワークがどんどん浸食され、単純労働者にとどまらず、ホワイトカラーの職場、さらには従来は知的な仕事(弁護士など)すら、ロボットに奪われつつあるし、限りなく乏しくなっていくというのが、近い将来の現実なのではなかろうか。
貧富の格差は増大する。なぜなら、大概の労働はロボットに代替され、一般大衆は賃金は減る一方なのだから。富はますます偏在していく。そんな社会への一般人からの恨みが金持ちや資本家らに向かわせてはならない。
どこへ憤懣をぶつけさせるか、移民だったり、イスラム教の国々だったり、中国や日本などがバッシングの対象として格好のターゲットだということではないのか。
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