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2018/11/26

片雲の風にさそはれ庄川美術館へ

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→ 我が家の庭に錦秋の時。肉眼で見ると、紅葉が目に痛いほど鮮やか。

 自宅では、福永武彦訳(編)の『今昔物語』(ちくま文庫)と『変身綺譚集成 新刊 谷崎潤一郎怪異小品集』(東 雅夫 編 平凡社ライブラリー )とを交互に読んでいる。
 ホント、十頁前後を読むたびに、代わる代わる読んでいるのだ。
「今昔物語」は、変身譚ではないが、怪異譚の類の宝庫である。背景とする時代も世相も違うが、ダブらせるわけではないが、谷崎作品と自然と比べてしまう。

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← 錦秋の空のもと、片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず…というわけではないが、バイクを駆って、山の麓、庄川沿いにある庄川美術館へ。ここは、水の公園がある。近隣には、水力発電所が何ヵ所もある。この辺りも、水と格闘してきた歴史があるのだ。

 福永武彦訳(編)の『今昔物語』が妙に面白い。約十年前は、これほど面白いとは感じなかったようだ。

 谷崎は、泉鏡花を高く評価している。漱石も鏡花を高く評価しているのだが、谷崎は明らかに漱石より鏡花が優れているし、独創的だと見做している。屹立しているというのだ。
 漱石らは西洋かぶれしているという思いが谷崎にはあるようだ。

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→ 庄川美術館では、版画展:かがやき☆はんが-2018in庄川展-。多くは地元など近隣の作家たち。気になる作家・作品もあったのだが、図録など資料がなくて紹介できないのが残念。せめてメモ用紙でも持参すべきだった。美術館の向かい(同じ敷地内)には、庄川水資料館がある。「流木に生きた先人たち 流木と庄川」と「川を治め、川を利す 庄川と生きる」をテーマにした常設展示を観ることができる。内のミニギャラリーにて、稲垣朋子氏の洋画展が。

 では、自分はというと、幾度も鏡花の作品は読んできたが、肌が合わないというのか、作品の世界に入れない上田秋成にはなじめるのだが。素養のなさが理解を妨げているのだろうか。
 そういえば、今日、訪ねた庄川美術館での版画展で、鏡花をテーマの版画作品があったっけ。五木寛之氏が命名したという、その名も「あかり坂」という題名の作品だった(と思う。自信がない)。

 このどちらの作品も読み浸りたいが、錦秋の青空が外へ飛び出しなよと、吾輩を駆り立てる。

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← 庄川美術館入口付近にある松村外次郎作のブロンズ像。この美術館は、松村外次郎記念の町立美術館。松村氏は、地元庄川で生まれ、1990年、89歳で東京は中野区白鷺の自宅で没した(同館で入手した図録には、自宅で没したとあるが、「松村外次郎 - Wikipedia」あるいは、「松村外次郎 東文研アーカイブデータベース」には、「心不全のため東京医科大学病院で死去」とある)。同美術館には、彼の彫刻などが常設展示されている。なかなか、雄勁な作風。我輩は、同氏のことを今日初めて知った。

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