野間宏『真空地帯』を読み始めた
午後、買い物に自転車を駆って、表の通りに近付いて音の真相がわかった。融雪装置の水が勢いよく噴出されていたのだ。
毎年のことだが、雪の季節の到来を前に、装置の稼働状態を確かめていたのだ。
← 野間 宏 作『真空地帯』(岩波文庫) 「空気のない兵隊のところには,季節がどうしてめぐってくることがあろう──条文と柵とに縛られた兵営での日常生活は人を人でなくし,一人一人を兵隊へと変えてゆく…….人間の暴力性を徹底して引き出そうとする軍隊の本質を突き,軍国主義に一石を投じた野間宏(1915―91)の意欲作」(解説=杉浦明平・紅野謙介)
野間宏作の『真空地帯』を(金曜日から)読み始めた。
野間の作品は苦手で、ずっと敬遠してきた。でも、本作などは一度は戦後文学を画期した作品を読んでおかないと、大きな空白を抱えたままになる。
長らく敬して遠ざけてきた、大西巨人の大作であり問題作である『聖家族』を一昨年、読了したことだし、本書に挑戦しないと。ぞう、目の前の未読の書棚にずっと鎮座してきていたのだ。
彼を読むことで、武田泰淳や堀田善衛、大岡昇平、大西巨人、椎名麟三、埴谷雄高らの、第1次戦後派文学者ら高峰の一端に足を踏み入れることになる。
梅崎春生は(たぶん)未だだ。
というわけで、このところ、ナボコフ作の『青白い炎』(富士川 義之【訳】 岩波文庫)と本書を交互に読んでいるわけである。
前にも書いたが、ナボコフ作の『青白い炎』も、「詩、そしてその注釈などと、極めて特殊な構成の本。吾輩は詩が(も)苦手なので、敷居が高く、買ってから2年も放置してきた」もの。
やや苦手な傾向の作品の往復ビンタを浴びているような気分だ。
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