庭仕事の代わりの運動は…
→ シュウメイギク(秋明菊) 白さ際立つ。「名前にキクが付くが、キクの仲間ではなくアネモネの仲間である」とか。本日、朝、撮影。
食欲の秋、スポーツの秋と、いろいろあるが、吾輩は読書の秋に尽きる……と云いたいが、なかなかそうもいかない。
6月末から大掛かりな庭仕事をやってきたが、それも、十月の上旬で凡そ終わった(と思いたい)。雨の日も多かったので、夏場のように在宅の日、必ず庭仕事というパターンも崩れた。
お蔭で十月は自分としては読書量が多い。内容もフローベールや、アメリカの先住民族関連の本、金子 文子の獄中手記など、充実していたと思う。
ただ、庭仕事でスポーツの秋の代わりにしてきたが、雨などで外仕事も日々とはいかない。どうやって運動不足を解消するかが、吾輩の課題である。
10月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:4564
ナイス数:2393
生命の起源はどこまでわかったか――深海と宇宙から迫るの感想
研究は相当に進んでいるようだが、生命の起源に迫るには、まだまだ迂遠な道のりがあると感じた。 生命誕生の場、生命の起源について、宇宙(地球外)も含め、数知れぬ説があるが、本書では主に深海熱水説が説かれている。同時に、陸上温泉説も採り上げられている。後者は吾輩には初耳。 同時に、本書で強調されているのは、生命存続の可能性、あるいはリスクについてだった。
仮に生命が誕生しても、存続するのはかなり厳しいとか。 ますます、生命の誕生が稀有なことだと感じさせられた。それでも、誕生したのは間違いないのだ……が。
読了日:10月30日
著者:
洞窟絵画から連載漫画へ―人間コミュニケーションの万華鏡 (岩波文庫 青 430-1)の感想
題名から、人類の絵画表現の歴史を辿る、軽めの本かと思って入手した。
が、むしろ、副題の「人間コミュニケーションの万華鏡」が内容を示している。洞窟絵画も、単に表現衝動に駆られ描かれたのではなく、人に伝える意志こそが意味を持つという。そのコミュニケーション上の表現方法(手段・道具)が時代と共に、ドンドン変わっていく。
読了日:10月25日 著者:ホグベン
世界文学全集 (17) ボヴァリー夫人・聖アントワヌの誘惑・三つの物語の感想
初めて読んだ頃よりは、少しは読書体験、さらには創作体験も重ね、当然ながら昔よりは味わって読めたと思う。本巻所収のどの作品も、やはり素晴らしい。「ボヴァリー夫人」は、つくづく隙のない作品だと感じる。 解説も非常に参考になった。文学史上でも、画期的な作品だったのだと納得させられた。 徹底して冷徹なまでのリアリズム。ボヴァリー夫人が自殺を遂げたあとも、延々と叙述が続く。自業自得の果ての自殺とはいえ、主人公の死なのに、その悲惨をまるで俯瞰するように、周囲の深刻と滑稽などが諧謔的に描かれる。
読了日:10月23日
著者:フロベール
堀田善衞を読む: 世界を知り抜くための羅針盤 (集英社新書)の感想
本書は、過日、訪れた高志の国文学館で開催されている「堀田善衞―世界の水平線を見つめて」を見てきた、そのショップで入手した。
本書を読んで、池澤夏樹が福永武彦の息子だと初めて知った。手軽に、気軽に手にしたけど、なかなか面白いし、参考になる。堀田善衛生誕百周年。再評価しないと。などと呟いてきたが、昨日(土曜日)車中での待機中に、一冊を読み切ってしまった。
読了日:10月21日 著者:池澤 夏樹,吉岡 忍,鹿島 茂,大高 保二郎,宮崎 駿
訳詩集 葡萄酒の色 (岩波文庫)の感想
久しぶりに詩篇を堪能した。シェイクスピアの14行詩や、ラフォルグなどの再発見があった。感想などは折々書いてきたし、吾輩の評価など僭越だろう。楽しませてもらったとだけ、書いておく。
読了日:10月17日
著者(翻訳者):吉田 健一
生命の灯となる49冊の本の感想
生命誌研究者。初の書評の本? 何冊か読んだ本があるが、さすがに読み方が専門家。同氏の信念は、「人間は生きものであり、自然の一部である」。さらに、「「人間」をもっとよく知らなければなりません。技術も政治も急がずに、慎重に考えるところから始めて欲しいと思います」とも語る。書評もそうした認識のもとに書かれている: http://www.brh.co.jp/about/message/
読了日:10月16日
著者:中村桂子
ヨゼフ・チャペック エッセイ集 (平凡社ライブラリー)の感想
著者は、ロボットという名称を創案した人物。小説の「ロボット」を書いたカレル・チャペックの兄。弟のカレルは、小説で有名にした。この点、クイズ番組でも間違えていることが多い。
反骨の士。画家、作家、舞台芸術家、童話、詩、且つジャーナリストと、多彩な人物だったが、政治的発言も避けなかった。1939年にナチスにより政治犯として逮捕される。囚人生活を送り、連合軍による解放目前に、チフスのため病死と推定されている。
本書はエッセイ集だが、著者の多才ぶりを反映して、死刑論や人造人間論など話題も豊富。
読了日:10月13日
著者:ヨゼフ チャペック
文庫 わが魂を聖地に埋めよ 下 (草思社文庫)の感想
あまりにおぞましいアメリカの裏面史。先住民や黒人奴隷、大量の移民、南北戦争の実態、そうした全体を俯瞰してくれるアメリカ史の本って、あるのかな。本書は1970頃の本。アメリカにおいて、ベトナム戦争と重ね合わせて読まれたとか。さもあらん!
読了日:10月09日
著者:ディー・ブラウン
文庫 わが魂を聖地に埋めよ 上 (草思社文庫)の感想
読むのが辛い。白人のあまりの蛮行と横暴。騙し討ちし、頭皮を剥ぎ、首を切り落とし、頭は茹でて頭蓋骨を記念品にと売り払う。女子供は殺すか奴隷に。土地と欲(金)に目が眩んだ白人らの国。今もその貪欲さと非情さは変わらない。
読了日:10月07日
著者:ディー・ブラウン
何が私をこうさせたか――獄中手記 (岩波文庫)の感想
1923年の関東大震災で、朝鮮人らが誹謗されるなか、ついに彼女夫婦は逮捕(治安維持法で)され、そこでの審判を受けるということは、死刑確実とされる大審院へ。夫のほうは天皇の恩赦を受け入れるが、彼女は転向を拒否する。彼女は獄中で死ぬほどの恐怖を味わい、麻縄で首を括って自殺。当年23歳。断固として自らの意志で生きようとした。それだけに当時の封建的な親を始め親戚たちとも周囲の人々ともぶつかり続けた。現代だって、こんな生き方は珍しいだろう。
読了日:10月06日
著者:金子 文子
ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト: 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)の感想
本書はまず、進化史上重要なミッシングリンクである、腕立て伏せのできる魚ティクターリクの化石を発見した著者の発見に至るドキュメントの面白さがある。
次いで、訳者の説明によると、「動物の体のつくり(ボディプラン)の発展を人体の構造と結び付けて論じている点」である。魚類や爬虫類、両生類はもとより、極めて原始的な特徴を残す生物、さらには単細胞に至るまで、そのボディプランを示してくれる。
読了日:10月03日
著者:ニール シュービン
近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻 (岩波新書)の感想
津波のせいなのか、そもそも地震の揺れのせいで起きたのか、未だに原因追及が中途半端な福島原発の事故。この事故を引き起こした原発は軽水炉型。政府などは古い型であり、新規の原発は安全であるかのような印象操作を図っているようだ。
この軽水炉型原発は、そもそも軍事用に開発された原爆を急遽、民間用に転換したもの。なので、本来なら徹底的に施すべき安全対策が極めて不十分だった。原爆は物理学者が開発したが、原発は技術者が作った。原子力の持つ危険性に対する認識も研究も物理学者ほどではなかった。
読了日:10月02日
著者:山本 義隆
見知らぬ乗客 (河出文庫)の感想
本作品は、交換殺人を扱った作品では、最初に公刊された小説だとか。アイデアでは前後して使われている作家(作品)があるらしいが。
交換殺人を扱った小説やドラマはその後、かなりな数、世に出ている。だが、本書の素晴らしいのは、そのアイデアの秀逸さというより、犯人たちのみならず、周辺の人物たち相互の倫理描写やドラマにこそある。
なので、交換殺人が云々と云っても、ネタ晴らしにはならないのだ。
読了日:10月01日
著者:パトリシア・ハイスミス
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