金子文子『獄中手記』読了
← ヨゼフ・チャペック 著『ヨゼフ・チャペック エッセイ集』(飯島 周 編訳 平凡社ライブラリー ) 商品説明によると、「ロボットという言葉の創案者による「人造人間」やチェコの文化、政治や戦争に関するエッセイ26篇とナチス収容所で書かれた詩9篇」。今日(金曜日)から車中での待機中に読む。著者は、ロボットという名称を創案した人物。小説の「ロボット」を書いたカレル・チャペックの兄。弟のカレルは、小説で有名にした。この点、クイズ番組でも間違えていることが多い。
今夜にも台風が富山に最接近する見込み。といっても、はるか日本海沖合なので、直接の影響は少ないか。あるいは、雨、風は避けられないか。
そんな中、今日も庭仕事。農作業小屋に移し終えた数年分の枝葉。枝の類は、ポリ袋などに詰め込む作業。葉っぱは、腐るのも早いだろうから、コンポストにため込んでいく。
三か月以上に渡った作業も、今月中には目途が付きそう。
作業中、五時半ころだったか、不意に風が強まってきた。
六時過ぎには作業を終え、入浴。
← 金子文子著『何が私をこうさせたか 獄中手記』(岩波文庫)「関東大震災後,朝鮮人朴烈と共に検束,大逆罪で死刑宣告された金子文子(1903―26).その獄中手記には,無籍者としての生い立ち,身勝手な両親や,植民地朝鮮で祖母らに受けた虐待が率直に綴られる一方,どんなに虐げられても,「私自身を生きる」ことをあきらめなかった一人の女性の姿がある」とか。
金子文子著の『何が私をこうさせたか 獄中手記』を今朝(土曜日)、読了。ほとんどを車中で読み、残りの数十頁を自宅で。
これまで折々、メモしてきた。以下は、昨日(金曜日)のメモ:
十七歳にして、家も故郷も捨て、東京へ。何の当てもなく。
大叔父の家に住み、苦学生来たれ! の広告を出していた新聞配達店を見つけ、飛び込む。住み込みで働き、学校に通うことに。
労働の過酷さ、配達店での夜半までの(無賃)家事、店主夫婦の吝嗇に耐え兼ね、他の仕事先を探そうとした。それが夫妻の怒りを買い、主に氷雨の夜中に追い出される。行く宛がない中、新聞を町中で立ち売りしている最中に知った人が通う教会へ。説教に感激し、信心を決心する。
クリスチャンになっても、心の平安は得られず、生活も改善せず、社会主義に傾斜。
社会主義も共鳴するも、実際の活動家らには失望。自らの思想や生き方を追求しようとする。多くの日本人に失望する中、日本支配に抵抗する朝鮮の活動家に関心を抱く。それは、彼女が朝鮮に暮らした経験が懐かしくもあったようだ。やがて、朝鮮のある活動家(詩人)に惹かれ、彼女自ら彼に一緒になることをもう入れる。いよいよ抵抗や反逆の活動が始まる……ところで、この獄中記は終わる。
1923年の関東大震災で、朝鮮人らが誹謗されるなか、ついに彼女夫婦は逮捕(治安維持法で)され、そこでの審判を受けるということは、死刑確実とされる大審院へ。夫のほうは天皇の恩赦を受け入れるが、彼女は転向を拒否する。彼女は獄中で死ぬほどの恐怖を味わい、麻縄で首を括って自殺。当年23歳。断固として自らの意志で生きようとした。それだけに当時の封建的な親を始め親戚たちとも周囲の人々ともぶつかり続けた。現代だって、こんな生き方は珍しいだろう。
この獄中記は、判事が彼女に何か書けと言われ書いたもの。彼女は、自らの生き方や彼女の思想を広く人々に伝えるため、意欲的に書いた。不思議なのは、こうした文書が残され、彼女に引き渡され、後日、関係者による公表が許されたという事実。「アンネの日記」ほどの文学性はないが、女性の生き方が問われる今日、一読の価値があるだろう。
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コメント
こんにちは。
台風25号の影響で関東は猛暑です。
「何が私をこうさせたか 獄中手記」は知りませんでした。
投稿: シゲ | 2018/10/07 13:10