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2018/09/30

読書は進むよ…これでいいのか

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← パトリシア・ハイスミス 著『見知らぬ乗客』(白石 朗 訳 河出文庫) 「妻との離婚を渇望するガイは、父親を憎む青年ブルーノに列車の中で出会い、提案される。ぼくはあなたの奥さんを殺し、あなたはぼくの親父を殺すのはどうでしょう?」だって。

 家で読んでいるのだが、庭仕事や何かでなかなか手につかなった。でも、今日(日曜日)は、外仕事は雨で止めたので、読書に専念。今日中に半分以上読めそう。いよいよ殺人に手を染める。その心理描写がなかなか優れている。読ませる。さすがの作家であり作品だ。
 ちなみに、昨日は仕事だったのだが、あまりに暇で、そんなにせっせと読んだわけでもないのに、200頁以上も読めてしまった。嬉しい悲鳴か。

 名だたる自動車会社が、相次いで検査不正。命に関わるかもしれないのに、テレビ(ワイドショー)では、一切、話題にのぼらない。スポーツでのパワハラやスキャンダルばかり。それは仕方ないけど、ちっとは検査不正も話題にしろよ、と言いたいけど、大事なスポンサーには、何も言えないよね。

 今日は休み。とはいっても、昨夜半過ぎに仕事から帰宅。なので、午前中に一度は目覚めたものの、頭はおぼろで、居眠りを繰り返した挙句、午後の四時ころになってようやく、まあ、起きたと言えるかな、という状態。睡眠障害もあるので、こんなもの。で、普段なら午後の5時頃から庭仕事のはずだが、雨なので取りやめ。お蔭で、文庫本とはいえ、読書がはかどる。小生としては(仕事の合間の日としては)珍しく200頁以上を読めそう。自宅での畑や庭仕事がないと、随分と読書がはかどるんだなー。でも、自分なりの条件の中で楽しんでいくしかないね。

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← 山本 義隆 著 『近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻』(岩波新書) 「明治100年の全共闘運動,「科学の体制化」による大国化の破綻としての福島の事故を経たいま,日本近代化の再考を迫る」とかといった内容。

 京都帝大は日清戦争での賠償金によるもの。九州帝大と東北帝大は、古河鉱業の寄付による。足尾鉱毒問題での世間の非難を緩和するため。

 国家総動員体制が戦中に形作られた。その体制が戦後も維持され、高度成長に繋がる。なので、人命軽視も戦中のまま。
 戦争に科学者・技術者は徹底してきた。が、戦後、一切の反省も総括もしていない。そのまま、能天気に戦後も活躍。戦争画を描いた画家や文学者、先生は多少なりとも責任を問われたのに。アメリカは、内務省以外の官庁は温存させた。アメリカに協力し、やがて、朝鮮戦争でアメリカを助け、経済を立て直した。もう、アメリカには頭が上がらない。

 日本は、戦争でアメリカに負けたと考えるばかり。実際は、東南アジアでも、中国大陸でも、二進も三進もいかなくなっていた。日本は、少なくとも中国にも負けていた。にもかかわらず、アジアには目を塞ぎ、アメリカの技術と物量に負けたと、考えることで、日本の責任者たちは、敗戦の責任から逃れ誤魔化した。
 文系の学生は、学徒出陣で出征し少なからぬ人が帰らぬ人となった。理系の学生らは、しっかり戦争に協力し、戦後も活躍。

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← 金子 文子 著『何が私をこうさせたか 獄中手記』(岩波文庫)「関東大震災後,朝鮮人朴烈と共に検束,大逆罪で死刑宣告された金子文子(1903―26).その獄中手記には,無籍者としての生い立ち,身勝手な両親や,植民地朝鮮で祖母らに受けた虐待が率直に綴られる一方,どんなに虐げられても,「私自身を生きる」ことをあきらめなかった一人の女性の姿がある」とか。

 読んでいて、著者の抜群の記憶力、頭の良さを感じる。四歳の頃からの自身の思い出を語れること自体、我輩には呆れる。8歳か9歳の頃には、六年生の教科書が楽勝で理解できていた。4桁の数字の掛け算が出来たって、ホントかい?! しかも貧乏でろくに学校に通っていないのに。

 著者は、朝鮮にいる親戚に貰われていく。家は裕福。贅沢させてやるとの、オタメゴカシに母は、あっさり乗せられ手放す。著者は、女中扱い。ただ、小学校へは行かせて貰う。年下の生徒と仲良くなり、可愛がる。厳しい生活の中の、ささやかな楽しみ。が、その小さな子も死んでしまう。
 死んだ下級生からの遺品が彼女に。が、著者が不在中に家に届けられ、家人は彼女には渡さず、家人のお気に入りの子にやってしまう。

 朝鮮にあって、親族には、いびられ通し。食べ物も与えてくれない。そんな中、日本人には虐待されている朝鮮の人たちだけが同情し、食事をあたえようとする。でも、著者は、親族の目が怖くて折角の好意も断るしかない。
 二日も何も食べられない。祖母も叔母もいびるだけ。とうとう、自殺を決心する。汽車……そして深い川へ。

 川辺で砂利…石を拾って懐へ、さらに腰巻にも石を詰め込む。飛び込もうと河面を眺めた瞬間、躊躇う。彼女の人や動物や自然への思いと少女の好奇心が彼女をひき止める。今、死んだら、祖母ら世間は勝手なことを言うに決まっている。悔しい。言いたいことを言わねば、いじめた奴等に復讐せねば死にきれない!

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