猛暑の夏も読書で乗り切る
近年前例のない猛暑の中、仕事をしつつ、休みの日は庭や畑仕事に精を出してきた中、それなりに読んだかな。
ドンドン、新しい作家や未知の作品を読みたいという思いがある。一方、今、ルソーの『告白録』を読んでいることもあってか、古典を読み返したいという欲求が高まっている。
8月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:4570
ナイス数:2020
告白録〈中巻〉 (1958年) (新潮文庫)の感想
ルソーのご都合主義的な弁解に辟易する。
それでも、確かに黙っていたら、誰にも知られずに済む秘密の暴露はあるのは確か。
内縁の妻(のちに結婚したが)に産ませた5人の子供たちを次々に託児所に預けて、このほうがよかったというのは、強弁だろう。本書の半ばころから、ルソーの神経衰弱気味な被害妄想お記述が増えてくる。被害妄想とも言い切れないのかもしれない。思想的に危険でもあったし、自分でも散々愚痴っているように、人付き合いは苦手だったから、他人から変人扱いされるのも仕方がなかったのかもしれない。
読了日:08月29日 著者:ルソー
図説 あらすじと地図で面白いほどわかる! 源氏物語 (青春新書インテリジェンス)の感想
車中で折々読んできたが、間が開きすぎて、話が見えなくなる。与謝野「源氏物語」を今冬、読んだが、和歌が読み下し文なしで分からず、本書を参考にしようと手に取った。次回、他の誰かの「源氏物語」を読む際、改めて読むとして、今回は、本書、さらっと読むことにする。
…ということで、本日(日曜日)本書を読了させた。近いうちに誰かの口語訳「源氏」を読む際、本書も再読するかもしれない。こうでもしないと、「源氏物語」が理解できない。
読了日:08月26日 著者:竹内 正彦 (監修)
愛書狂 (平凡社ライブラリー)の感想
蔵書家でも愛書家でもない。ただ、本に限らず電子化が進む今日、少なくとも本については、可能な限り紙の本、表紙やカバーや、帯などのある本、装幀も含めた本を大事にしたいと思う。昨今の作家はともかく、昔の作家は、書籍の形で読まれることを前提に創作していたと考えられからだ。
読了日:08月25日 著者:G. フローベール,Ch. ノディエ,Ch. アスリノー,A. ラング,A. デュマ
人類とカビの歴史 闘いと共生と (朝日選書)の感想
感想がどうこうじゃなく(前回、多少のことを書いた)、細心の常識を学びたかった。小生としては、実用的な知識じゃなく、カビの生態などについて細菌などとの絡みで知りたかったのだが、やや当てが外れたかな。こういうのをないものねだりって言うのかな。
読了日:08月24日 著者:浜田信夫
告白録〈上巻〉 (1958年) (新潮文庫)の感想
四半世紀ぶりの再読。昔読んだ印象が綺麗に消え去っている。まだ、上巻を読んだだけだが、こんなに読ませるとは思わなかった。放浪好き。しかも、先々で自分を見知らぬ家の人がもてなすのを当たり前と思っている(かのような)感覚に驚く。もてなさないほうがダメだくらいの。18世紀の人ルソーだが、当時は(一部の)ヨーロッパは豊かだったのかもしれない。産業の勃興もあるが、そもそもの資金はペルーなど中南米からの収奪による(ルソーに限らず当時の人は植民地への圧政や収奪をまるで疑問に感じていない)。
読了日:08月22日 著者:ルソー
幻想の坩堝 ベルギー・フランス語幻想短編集の感想
期待と多少の不安の念を抱きつつ、手にし、一気に読了した。味読できたとは言い難い。
ベルギーというと、有名な画家に、ヤン・ファン・エイクやルネ・マグリット、ポール・デルヴォー、ジェームズ・アンソール、フランス・ハルス、ピーテル・パウル・ルーベンスなどがいる。壮観だ。
ミシェル・ド・ゲルドロード作の「魔術」を読んでいたら、ジェームズ・アンソール作の『仮面の中の自画像』を思い浮かべていた。
小説家というと、ジョルジュ・シムノン。かの女優オードリー・ヘプバーンもベルギーの出身と今になって認識した。
読了日:08月18日 著者:
収奪された大地―ラテンアメリカ500年の感想
もう、四半世紀以上も以前の本。読みたくてチェックしてあったが、当時は、読める状況ではなかったし、そもそも本を買えなかった。ようやく念願の本書を手に。中南米への欧米(資本)による収奪というテーマは自分の読書の大きなテーマのひとつ。本書についての感想は既に何度となく呟いてきた。本書を読んで、スペインやポルトガル、オランダはもとより、アメリカやイギリス、フランス、ドイツなどがいかに中南米を収奪し、人民を虐待しまくったか、その現実を知って、怒り心頭に発することもしばしば。
読了日:08月16日 著者:エドゥアルド ガレアーノ
寒い夜 (岩波文庫)の感想
いい加減、読んでいてうんざりする。嫁と姑が仲が悪い。その間でオロオロする夫。嫁は外交的で積極的、前向き。それが姑には浮気っぽくて、息子には冷たいと映る。息子がいるが、恐らく姑の影響下にある。嫁には家に居場所がない。日本軍が大陸に侵攻し、ドンドン彼らの村にも迫ってくる。逃げるべきだろうが、そうはいかない。母(姑)と嫁の意見が対立しているからだ。
読了日:08月13日 著者:巴 金
病(やまい)短編小説集 (平凡社ライブラリー)の感想
どの病気も身につまされる思いで読んでいた。
本書の中で印象に残った作品はいろいろあったが、中でも、「癌」をテーマとする、「癌 ある内科医の日記から」である。ある夫人が乳癌となり、乳房を切除する手術を受ける。
驚くべきは、拷問のような外科的処置を受ける場面である。麻酔なしの手術が拷問モドキ?
とんでもない、当時は麻酔がないのは当たり前。なので、腕や足を縛ったり、押さえつけたりして外科手術を施すのは普通のこと。
読了日:08月11日 著者:E. ヘミングウェイ,W.S. モーム
英国諜報員アシェンデン (新潮文庫)の感想
実に面白い。読者を楽しませることをよく考えている。絶妙な会話は、チャンドラー作品などへも影響したのか。サスペンス作品にはもはや、不可欠の要素なのかもしれない。自らがスパイだった経歴のある作家が何人かいるという。実体験を書くわけにはいかないだろうが、現実のスパイ活動の中での、虚々実々の駆け引きが作品の中に生きているようだ。
一気に読むのが勿体なくて、敢えて数日を費やして読んだ。若かったら、繰り返し読んだだろうな。モームの有名な作品は繰り返し読んできたのに、本作を見逃していたことが悔やまれる。
読了日:08月09日 著者:サマセット モーム
継体天皇と朝鮮半島の謎 (文春新書 925)の感想
継体天皇にはずっと関心を持ってきた。前の本が文献史学に基づく著作だとすれば、本書はその後の考古学上の研究実績を広く視野に入れての書。著者は、「継体の前半生は杳としている。幼いころ父を亡くし、以後母の実家のある越前三国で育てられ、以来五十七歳までそこに居たように『日本書紀』は記す。しかし姻戚関係から察せられるように、実際は近江を拠点に越前や尾張など幅広く滞在していたと私は推定する。(中略)歴史家としての想像を慎重に交えるならば、彼はもっとスケールの大きい国際的な活動をしていたのかもしれない」と語る。
読了日:08月05日 著者:水谷 千秋
折たく柴の記 (岩波文庫)の感想
一か月以上を要して、懇切な注釈を頼りに読み通した。一介の武士が将軍の信頼を得て幕府の枢要な政策に関与した(ちょっとだけ、菅原道真を連想した)。古今の典籍に詳しく、幕府(将軍や老中ら)が取り扱いに迷う課題に次々と提言していった。生類憐みの令で有名な、綱吉のやや放縦な政策を改革。「正徳の治」である。白石の性格そのままに生真面目な政治。白石によって遠ざけられた不満分子により、次の吉宗の時代になって地位を失った。が、お蔭で時間が生まれ、数々の著作を世に出したのだから、皮肉なもの。
読了日:08月04日 著者:新井 白石,松村 明
可愛い黒い幽霊: 賢治怪異小品集 (平凡社ライブラリー)の感想
幽霊がどうこうということより、賢治が幻視者だということが、東雅夫氏の編集による本書で知ることができた。彼による解説も非常に参考になった。「永訣の朝」では、兄賢治の妹へのひたすらな思いが表現されているようである。
一方、「手紙 四」では、まるでその舞台裏を明かすかのように、実は兄は普段から小さな妹に意地悪ばかりしていた。その妹が俄かに病気になり、兄は自分のせいで妹が病気になったとばかり、罪の意識に駆られて、「雨雪とって来てやろか」病床の妹に語りかけるのだ。
読了日:08月01日 著者:宮沢 賢治
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