巴金 著『寒い夜』に暗澹たる思い
昨日は仕事で、何の準備もしてなくて、恥ずかしい。墓掃除も先月したまま。一応は、本家筋に当たるのだが。手製のお茶と、他の家からもらった和菓子でおもてなし(と言えるのか?)。何も返すものがないので、晩夏か初秋には収穫予定のキュウイや栗をあげるかな。
やはり、お供え物をお裾分けがいいか。
← 今日も庭仕事。下草や側溝の底に蔓延った水草などの除去作業。夕方には雨かもって予報もあったのに、空振り。いや、空降り。三日ぶりに野菜の収穫。ほとんど、キュウリだけ。栗の木に絡みつく蔦をむしりとっていたら、慌てて逃げていくカマキリ発見。びっくりさせてゴメンね。
巴金 作の『寒い夜』を読了した。
いい加減、読んでいてうんざりする。嫁と姑が仲が悪い。その間でオロオロする夫。嫁は外交的で積極的、前向き。それが姑には浮気っぽくて、息子には冷たいと映る。息子がいるが、恐らく姑の影響下にある。嫁には家に居場所がない。日本軍が大陸に侵攻し、ドンドン彼らの村にも迫ってくる。逃げるべきだろうが、そうはいかない。母(姑)と嫁の意見が対立しているからだ。
夫は肺を病んでいることも逃げられない理由である。お袋は漢方医しか信じない。嫁は西洋医学のお医者に治療させたいが、夫は母を気遣って、さらに費用も心配で漢方医にかかり、ドンドン、病は重くなる一方。母(姑)と嫁の対立も深まる。同じこと(場面)の繰り返し。この先、話に進展があるのか、見えないのが、うんざり感を増す原因。
読了して、案の定というべきか、まったく救いがないままに物語が終わる。日本はドイツに続いて敗れるという、朗報のもと、彼ら一家は主人公の死、行方も分からない老母と残された子、若く可能性のある生を生き尽くしたいという嫁は、夫の死も知らず、元の家に帰って、一家離散した悲劇に立ち尽くすだけ。この救いのない物語を書く意味はどこにあるのだろうか。
← 巴 金 著『寒い夜』(立間 祥介 訳 岩波文庫) 「現代中国を代表する作家・巴金(1904-2005).その到達点を示す長編」とか。 「病に冒され,ゆきづまった生活を送る無力なインテリ.その妻と母親の間には嫁姑の対立がある.誰が悪いわけでもない.だが各人にはどうすることもできない自我とこだわりがある.そこから生まれてしまう感情のせめぎ合い.苛烈な人生のドラマが胸を打つ」。
文学的な感銘すらない。その謎を解くカギは、作者・巴金の思想にある。アナーキズム(無政府主義)だ。アナーキストとしての作家の要諦は、安易な救いも感傷も美辞麗句も求めないこと。あくまでリアルに徹すること。とにかく、凄惨な物語に愕然とするので、読むのは要注意かも。作家的な良心の有無を問いただしたくなる。
作者はアナキスト(自称他称とも)なのですが、作品の中に思想的な説教臭さはありません。そこだけは認めておきます。一般論として文学においては、悲劇的な状況をこれでもかと描く、そんな作品はあります。あり得ると思います。
それでも、例えば悲しい歌でも、歌うことで何かしらの救いや共感や癒しを得るように、文学にはどんな作品であろうと、最後にはカタルシスがあってしかるべきだと思います。ある意味、文学と呼べる最低条件、あるいは必須の条件。本作にはそれがまるでありません(あくまで吾輩の印象ですが)。
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