幻想より怪奇なのか
ルソーは、いろんな文学者、思想家、学者に影響を与えた。トルストイ、藤村、太宰、ポンティ、ドストエフスキーなどなど。有名なのは、カント。かなり、露悪的でもあるが、文学的表現力が巧みで豊かだ。
「告白というと、アウグスティヌスの名をあげないと。所謂文学性はルソーだろうが、思想的スケールや深さ、宗教的深甚さでは、アウグスティヌスの本書だろう。
昨日から車中での待機中に読み始めたルソーの「告白録」。やはり、読み応えがある。今日から自宅で。
昭和55年頃に、上中下を買った。読んだ。悲しいかな印象は残っていない。むしろ、「エミール」のほうこそ。
→ アンソール『仮面の中の自画像』18~19世紀, 絵画 アンソール, メナード美術館 ミシェル・ド・ゲルドロード作の「魔術」を読んでいたら、ジェームズ・アンソール作の『仮面の中の自画像』を思い浮かべていた。
「エミール」は、かなり大部な本。この長編を若い頃、なんと倉庫の奥に隠れるようにして読んだ。当時、好きな人の働く会社でフリーターしていた。倉庫で商品の搬入や整理、伝票に基づいての品だし、箱詰めなど。忙しい時は目が回るほどだが、暇になると、掃除くらい。で、こっそり持ち込んできた、「エミール」を読み出すわけである。夢中になると、倉庫に品物の在庫確認に来た彼女に気付かず、行き過ぎる彼女の背中を間近に見て、ドキッとしたり。きっと、彼女は我が輩がサボっているのに気付いていたに違いない。
だって、読み終える最後のペイジに差し掛かった時にも、彼女は我が輩の傍を通り掛かったのだから。偶然? そんなわけないね。「エミール」は、人間の教育、成長の考察の本(だったかどうか忘れた)。「エミール」の最後の頁は、我が輩の恋のギリギリの瞬間でもあったのだ。
そうそう、当時、なぜ偶然でもなく、「エミール」の最後の頁に差し掛かった時、彼女が通り掛かったのか、謎だった。ずっとあとになって気付いたんだけど、我が輩は本を倉庫の奥に隠しておいたのだ。だって、あんな分厚い本を毎日、持参(持ち出し)できるはずもない。彼女は、本の在処に気付いていて、そろそろ今日辺り、読み終えるって、見当をつけていたんだろう。もしかして、読了の際には、声もかけ……
← 岩本和子・三田順編訳『幻想の坩堝―ベルギー・フランス語幻想短編集』(岡本夢子・小林亜美・松下和美・村松定史 訳 松籟社〉 「『青い鳥』で有名なモーリス・マーテルランクや『死都ブリュージュ』のジョルジュ・ローデンバック、邦訳も多くあるトーマス・オーウェンやジャン・レー、ミシェル・ド・ゲルドロード、さらにはこれまでなかなか邦訳紹介されてこなかったエドモン・ピカール、フランス・エレンス、マルセル・ティリーといった作家の作品を収録」。アンソロジスト・東雅夫さんによる序「ベルギーの魔に魅せられて」を収載。「図書出版松籟社ホームページ 幻想の坩堝」を参照のこと。
『幻想の坩堝―ベルギー・フランス語幻想短編集』を期待と多少の不安の念を抱きつつ、手にし、一気に読了した。味読できたとは言い難い。
ベルギーというと、有名な画家に、ヤン・ファン・エイクやルネ・マグリット、ポール・デルヴォー、ジェームズ・アンソール、フランス・ハルス、ピーテル・パウル・ルーベンスなどがいる。壮観だ。
ミシェル・ド・ゲルドロード作の「魔術」を読んでいたら、ジェームズ・アンソール作の『仮面の中の自画像』を思い浮かべていた。
小説家というと、ジョルジュ・シムノン。かの女優オードリー・ヘプバーンもベルギーの出身と今になって認識した。
幻想ものというわけではないが、一時期その方面の小説に凝って、『怪奇幻想の文学』(全7巻揃 編:紀田順一郎、荒俣宏 新人物往来社)を揃えようとしたこともある。悲しいかな懐具合もあり、二巻で挫折したが。
次第に、幻想ものから怪奇ものに偏していき、アルジャーノン・ブラックウッドやヘンリー・ジェイムズ、ポー、ホフマン、ゴーゴリ(の「妖女(ヴィイ)」)などに嗜好の焦点を求めていった。
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