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2018/08/01

連日の庭仕事をこなしつつ読書

 連日の猛暑日続き。我輩は、融雪装置の(部分)活用を提言している。昨日、富山駅北口近く(牛島)で、恒例(14回目)の「打ち水大作戦」を行った。35.0度から32.8度に下がったとか。保育園児たちが、バケツの水をヒシャクで散水するもの。効果絶大。融雪装置で水をチョロチョロ流すだけでも、相当ていどの効果が見込めるはず。当局には真剣な検討を期待したい。

 先月は、夏風邪を引いて十日ほど仕事を休んだこともあって、吾輩としては読書量がやや多い。毎月、これだけ読めればって思うけど、まさか、ずる休みするわけにいかないし。
 ただ、休んだとはいいつつ、その間も含め、猛暑の中、庭仕事に精を出した。頑張ったのだ。
 冬、畑の隅に設置した枝葉投棄サイトの積雪による倒壊。春先になって雪が溶けてから、サイトに溢れていた枝葉を、隣の農作業小屋に仮置きした。当初は、いつか、ペチカとは言わないまでも、暖炉を設置し、その燃料の一部として乾燥させた枝葉を使おうなんて目論見もあったのだ。
 が、煙突の設置などに百万円を要することを知り断念。六月の末から、作業小屋の枝葉をせっせと週に二度の燃えるゴミの日に出してきた。
 ようやく、小屋の中の枝葉の撤去作業完了。内庭の笹の原の撤去作業と併せ、雨の日がなかったこともあって、在宅の日は毎日、作業してきたのだ。

7月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:4931
ナイス数:2036

写実絵画とは何か? ホキ美術館名作55選で読み解く写実絵画とは何か? ホキ美術館名作55選で読み解く感想
同じ写実絵画といっても、作品の世界は作家によってずいぶん違う。惚れ惚れする作品が幾つも。逆に上手いとは思うけど、感心できない作品も。女性を描いた写実画もいいけど、静物画や風景画も素晴らしい。中には素晴らしい風景画があった。実物、観たい。
 近年は、NHKでも写実絵画の特集をするようになった。この美術界における写実画への傾斜は何を象徴しているのか?
 技術と根気と研究心と対象への愛情があれば、素敵な女性のヌードを何ヵ月も費やして描くって、楽しいだろうなー。風景でもいいんだけど。
読了日:07月30日 著者:松井 文恵,安田茂美


そして最後にヒトが残った―ネアンデルタール人と私たちの50万年史そして最後にヒトが残った―ネアンデルタール人と私たちの50万年史感想
著者はネアンデルタール人の専門家。研究データを幅広く渉猟し、安易な図式的理解に走らない姿勢が好感を持てる。その分、結論めいた見解を求めたがる史郎にはもどかしいが、実際、分からないことも多いのだろう。なんといっても、いくら遺伝子解析が力を持ってきたとはいえ、最後は遺跡の発掘がものを云うのだ。著者は適切な時に適切な場所にいる事こそが進化の切っ掛けになり、逆に適切過ぎると今度は環境変化等々に対応できず滅びていくこともある。我々は、むしろたまたま生き残ったに過ぎないのかもしれないと語る。
読了日:07月28日 著者:クライブ・フィンレイソン


荻窪風土記 (新潮文庫)荻窪風土記 (新潮文庫)感想
読み始めの頃、「あちこち懐かしい地名が出てきて、読む手が止まってばかり。どの地名も、彼が在住した頃は村だった。当たり前か。東京って、何処を歩いても、作家などが息づいていた。文化や伝統の厚み。ただ、多くの若い人はそんなことには無頓着。我輩にしたって、東京を離れて、東京を懐かしみ、いろいろ知って、驚く始末」などと書いていた。井伏と太宰らとの関りがあれこれ書いてあって、なかなか興味深い。太宰が懸命に文学(による高名なること)に執心する一方、井伏の(よそ目には)余裕しゃくしゃくたる生き方や人間性が際立つ。
 
読了日:07月27日 著者:井伏 鱒二


物理と数学の不思議な関係―遠くて近い二つの「科学」 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)物理と数学の不思議な関係―遠くて近い二つの「科学」 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)感想
昔、単行本で読んだはずだけど、好きなテーマの本なので、改めて手にした。
 そういえば、つい先日読んだ、マーカス・デュ・ソートイ著の『知の果てへの旅』(冨永星/訳 新潮クレスト・ブックス)も同じテーマを数学者の立場で扱っていた。ソートイの本は、数式も少なく一般の平均的な読者も付いていきやすい。
 一方、マルコム・E.ラインズの本は、数式に弱い吾輩にはクラクラする記述も多い。というか、ほとんど右の耳から左の耳を通過することもしばしば。
 
読了日:07月20日 著者:マルコム・E. ラインズ


私は絶対許さない <新装版>私は絶対許さない <新装版>感想
筆者は、輪姦され、やっとの思いで逃げ出してきた。
 ひたすらレイプ犯への恨みと、いつか奴らを殺してやるとの思いで辛うじて生きぬいてきた。
 人生が捻じ曲げられた彼女。何が悲しいって、やっと逃げてきた彼女を父親も母親も、ただただ責めるだけってこと。だから、病院へも行かないし、警察へも訴えない。親が許さないことを知っているから。家庭も学校も何処にも逃げ場がないのだ。
読了日:07月19日 著者:雪村 葉子


新装版 苦海浄土 (講談社文庫)新装版 苦海浄土 (講談社文庫)感想
何十年来、一度は読まないとと思いつつ、内容の重さを思って、手が出なかった作品。
 読みながら、憤怒の涙を何度も。こんなことがあっていいのか、と。

 ところが、解説を読んでびっくり。ドキュメントとは言わないまでも、患者や家族らへのインタビュー、ルポを元にしての文学性高き書なのだと思い込んでいたからだ。読み終わるまで。でも、内容のほとんどは作者による創作なのだとか。
 となると、詩人の資質のある作家による文学作品なのだ。

読了日:07月17日 著者:石牟礼 道子
ペドロ・パラモ (岩波文庫)ペドロ・パラモ (岩波文庫)感想
カフカ的不条理とは、かなり位相を異にしているも、一人の非力なものたる人間には、何処をどうやっても鵺のような、取っ掛かりのあるようでない町では途方に暮れるばかり。全貌を理解するなど、土台人間にはできっこないことなのだ。その不透明さは、ガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』を想わせるようでもある。
読了日:07月13日 著者:フアン・ルルフォ


失われた時を求めて(12)――消え去ったアルベルチーヌ (岩波文庫)失われた時を求めて(12)――消え去ったアルベルチーヌ (岩波文庫)感想

一度は愛した人、己のものにした彼女。失って初めて気づく、愛おしさと、身近だったころには自覚しきれなかった鬱陶しさ。その人の謎を探ろうとすると、彼女について全く予想外の<真の姿>が垣間見える。が、見えてきた姿が真相だったという保証など、何処にもない。現実は一つしかない。真実だって一つしかありえない。 ただし、では我々がその過去の真相をこれと確定できるかというと、そんな保証などどこにもない。
読了日:07月12日 著者:プルースト


ヴァギナの文化史ヴァギナの文化史感想
本書について、下手な感想を書くのも僭越というか、難しい。
 ただ、本書の末尾に載っている、ブラジルの作家カルロス・ドルモン・デ・アンドラーデの詩をここに再掲しておく。栗色のアネモネは何を暗喩しているかは言うまでもないだろう:
読了日:07月10日 著者:イェルト ドレント


源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書 820)源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書 820)感想
恥ずかしながら、本書を読んで初めて、清少納言の『枕草子』の意義やすばらしさを教えられた気がする。
 これまでは、古典だからとにかく読んでおこうという程度。尖がった才能や美的センス、などなどは感じても、それほどまで感心できなかった。
 清少納言の男気や、どん底に追い詰められた、そんな逆境で書き始めたってことに尊敬の念さえ(今更だけど)覚えてしまった。
読了日:07月08日 著者:山本 淳子


お前らの墓につばを吐いてやる (河出文庫)お前らの墓につばを吐いてやる (河出文庫)感想
ボリス・ヴィアンの名は、戦後フランスの混乱期に登場し活躍した、サルトル、ジュネ、ブランショ、アルトー、エルンスト、フックス、、ツァラ、ジャコメッティ、コクトー、バタイユ、ジュリエット・グレコ、デュシャン、マン・レイ、デュビュッフェ、エーコ、さらに戦中に活躍したセリーヌらも含め、彼らの活躍をたどる中で折々は目にしてきた(ここに名前を挙げた人物の一部については、本ブログでも採り上げたことがある)。
読了日:07月06日 著者:ボリス ヴィアン


知の果てへの旅 (新潮クレスト・ブックス)知の果てへの旅 (新潮クレスト・ブックス)感想
著者は数学者。素人の目には、物理学と数学は似ているように思われがちだが、数学者の認識からは全く別物。物理学の世界は、どんな理論も、何かの新たな発見や着想から、その理論やビジョンが根底から変わる可能性が常にある。多くは、ニュートンの重力論がアインシュタインの相対性理論の一部として包摂されるのみがが、往々にして過去の理論は捨て去られ、新たな展望へと移行する。
読了日:07月04日 著者:マーカス デュ・ソートイ


グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)感想
訳者の村上春樹氏は、「これまでの人生で巡り会ったもっとも重要な本を三冊あげろ」と言われたら、この『グレート・ギャツビー』と、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』、レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』であるという。『カラマーゾフの兄弟』などはともかく、本作『グレート・ギャツビー』については、最後まで読んでも、腑に落ちないままだった。村上氏によると、原書(英語)でないと、その深いニュアンスは伝わらないかもしれない、自分として懸命に翻訳の形で伝えようとしたというが、私にはダメだった。残念。
読了日:07月02日 著者:スコット フィッツジェラルド

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