デューラー たぐいまれなる素描力
→ デューラー「老人の肖像(目を閉じた)」 1521年 紫色地紙に筆 ハイライト ウィーン アルベルティーナ 別に<目を見開いた>同じ老人像がある。デューラーが頼んでモデルになってもらった。これが《聖ヒエロニムス》のための取材でもあった。 (画像は、「Dürer the Famous Artist of the Northern Renaissance」より)
読書メーターで、いろんな方がいるのを改めて知った。一日3冊を読むって人がいるってことは知っていたけど(それも凄いけど)、1日5冊以上読む人がいるってことに驚き。吾輩は、三日に一冊がやっと。仮に、仕事をしなくても生活できるようになっても、一日1冊も難しいだろうなー。ま、冊数の多寡じゃないし、音楽や美術や交際など、マイペースでいいんだけど、でも、あまりの違いは何かを感じさせる。
この数年、医院に通っていて、薬を常用。朝食前に服用。簡単なようで、欠かさず服用するって、案外と難しい。お昼時になって、あれ? 今朝、呑んだっけ? と不安になる。親の介護で薬の準備をしていた頃が懐かしい。
そのなつかしさもだが、薬を毎日、きちんと定期的に常用することの難しさは、介護していた当時も感じたが、今まさに自分が当事者になってみると、改めて実感。
当時、薬を小さな袋に小分けし、それぞれに日付を書き込もうか、なんて思ったが、これはこれで大変。
『デューラー ネーデルラント旅日記』を主に車中での待機中に読んだ。
デューラーは畏怖する画家。初期の作品もいい。車中の友として本書を持ち込み、楽しんだ。
解説にもあったが、やや病的なまでに記録するところは、永井荷風の断腸亭日乗を連想させる。
内緒だが、我輩の近年の手書きの日記(40年以上、続けている)は、家計簿みたいになっている。日記は、ブログに書いているので。
とある港での椿事を巡る記述が面白い。
船で移動しているデューラー一行。繋留しようとしたら、大きな船に衝突され、綱が切れ、船が流された。動揺する船長を叱咤し、帆が張れたらなんとかなると言われ、みんなで帆を作り、危機脱出。そうした騒動の顛末もさることながら、事故での興奮のせいか、単調になりがちな日記がいつになく饒舌になるところが面白い。
旅の途中、ルターの逮捕を知る。救われんことを神に熱心に祈る。盛名高きエラスムスにも力となってくれることを祈る。日記中で一番長い記述かも。
岩波の本(文庫)にしては珍しく、校正ミス。奥儀 ➡ 奥義
本書には素描がたくさん載っているのが嬉しい。それぞれへの解説も付してある。
とにかく日記に登場する、あるいは実際にその作品を鑑賞した人物群がすごい。王侯貴族は別にして、ルターやエラスムス、クラナッハ、ホルバイン、グリューネバルト……。
← 『デューラー ネーデルラント旅日記』(前川誠郎 訳 岩波文庫) 「1520年夏,50歳の画家は途切れた年金の支給を新皇帝カロルス5世に請願すべく,妻と侍女とを伴い,遠くネーデルラント(今のベルギー地方)への長旅に出る.その時綿密に付けた出納簿である本日記にはエラスムスやルッターも登場し,併せて残された見事な画業と相まって稀有の旅行記になっている」とか。
旅の途次、あちこちで出会う人たちに作品を売って、旅の費用に宛がったりする。その作品の幾ばくかが現代にも残っていることが驚かれる。別に美術館に売ったわけではないのに。
デューラー関連拙稿:
「デューラーの憂鬱なる祝祭空間」
「デューラーのモノグラム(サイン)の謎」
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