フランシス・ベーコン 凶暴なる肉塊
← ジル・ドゥルーズ 著『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』(宇野 邦一 訳 河出書房新社) 「ドゥルーズが美術を論じた唯一の書にして80年代で最も重要な著作のひとつが新訳で復活。「器官なき身体」の画家としてのベーコンとともに新たな哲学をつくりあげる名著」とか。
ジル・ドゥルーズ著の『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』を読了。ほとんど理解できなかった。
フランシス・ベーコンを巡ってではないが、生皮が剥がされ、剥き出しの感覚が無慈悲なる現実に、一切の緩衝帯もなく晒されている、そんな類のアートを巡って、あれこれ書きなぐったことがある:
「粗暴、狂暴、炸裂する心身。それでいて、にじみ出る詩情。この詩情が醸し出されているがゆえに、野蛮なまでの絵の未熟さ(技術の未熟ではなく、生半可な成熟を拒み続ける、その強靭さに注目している)にもかかわらず、つい見入ってしまう」。
「否、絵画や画家という範疇を越えて、とにかく何かの世界との出会いという意味で最高の時を過ごした。自分の中での絵画などのアートを見る際の<基準>、少なくとも画面から滲み出る、それとも燃え立つ迫力、鬼気迫る(あるいは呑み込まれてしまった…)精神の<矩>を小生の心に刻み込まれてしまった」。
← 『N.Y.WALL ART』(Kaz 写真 水曜社) 「誰かの評価よりも「描きたいから描く」「描きたいものだけを描く」 表現の本質をシンプルに体感させる、ニューヨークの名も無きアーティストたちの作品集」とか。欲しい。
『N.Y.WALL ART』は、新聞の書評欄で見つけた本。
路上に忽然とあらわれ消えてゆく芸術たち…」
美術館に展示される、額縁に収まった作品もいいけど、ストリートアートにこそ、命の輝きと魂の叫びを感じる。十年ほど前、東京は大田区の某工事現場を覆う白いフェンスに展示されていた、(恐らく地元の)小学生(低学年)の作品を見た衝撃は未だに忘れられない。天才だと感じた。学校での教育や世間の常識に染められ矯められる前の一瞬にこそ現れる、生の感性の煌めきだったのだ。
→ 上掲の『N.Y.WALL ART』に載っている作品の一つ。「N.Y.WALL ART - 水曜社:文化・まちづくり・アート」を覗くと、いろいろ見ることができる。
ストリートアートやアウトサイダーアート、ナイーブアート関連拙稿:
「バスキアの剥き出しの詩情の傷ましき」
「誰も皆アウトサイダーの行く末は…」
「美に焦がれ醜に嵌って足掻く日々」
「谷川晃一著『絵はだれでも描ける』」
「白髪一雄から遠く」
「異形の画家「小林たかゆき」を知る」
「埒外のアーティストたち」
← 松田 権六 著 『うるしの話』(解説=大場松魚 岩波文庫) 「本書は,漆聖とよばれた著者(1896-1986)がその体験を織り交ぜながら,漆塗りの制作工程や伝統的技法について語ったもの」とか。もう、半世紀も前に岩波新書で刊行された本。古い話にも耳を傾けたい。ということで、今日(25日)から読み始める。漆の葉っぱには、薬効もあるとか。香りが抜群とも。漆器でかぶれたりするのは、生乾きの商品だから、とも。
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