「風土記」と莫言の『豊乳肥臀』三昧
今日も午後、庭仕事。風邪を引いていて、咳が止まらないのだが、庭の状態がひどいし、この先、雨が続くようなので、今日のうちに少しだけでもと。
← 莫 言【著】『豊乳肥臀〈上〉』(吉田 富夫【訳】 平凡社ライブラリー)
動いている最中はあまり咳が出ないのだが、作業を終え、シャワーを浴び、椅子にどっかり腰かけると、途端に咳が止まらなくなる。
外出は最小限に控え、読書三昧。とはいかず、外仕事と風邪での体調不良で、読む気力が萎えている。
家では、「風土記」と、莫 言著の『豊乳肥臀〈上〉』を読んでいる。
風土記は、下巻で、あと百頁ほど。今日明日で読了できるか。
居ながらにして、古代日本を紀行する気分?
出版社による内容案内によると、「抗日運動、内戦、中華人民共和国誕生、文革、改革・開放、姦通、駆け落ち、死姦、身売り―激動の現代中国史を背景に繰り広げられる、八歳まで母乳しか受けつけずに育った混血男児・上官金童とその母、そして八人の姉たちの数奇・摩訶不思議な運命模様」だとか。
別の内容紹介では、「世界中の美しい乳房の前に跪き、その忠実な息子になりたい――構想10年、執筆90日、スキャンダラスな内容でたちまち発禁処分となったノーベル賞作家渾身の代表作」とも。
書店で見つけ、衝動買いである。莫言……どこかで聞いた名前……って、前に彼の作品を読んだじゃないか! である。
作者自身は、本作を以て代表作と考えているようだ。となると、読まないと。
ちなみに、タイトルの「豊乳肥臀」は、「ほうにゅうひでん」と読む。文字通り、グラマーってこと。
← 莫言作『赤い高粱』(井口晃訳 岩波現代文庫) 「婚礼の輿が一つ,赤に染まる高粱畑の道を往く.美しい纏足をもった少女.汗に濡れ輿を担ぐ逞しい青年.血と土,酒に彩られた一族の数奇な物語が始まる.その名「言う莫れ」を一躍世界に知らしめた,中国現代作家の代表作」とか。(引用文及び画像は、「赤い高粱 - 莫言-井口晃 - 紀伊國屋書店ウェブストア」より) ちなみに、筆名の莫言(ばく げん、モー・イエン)は「言う莫(なか)れ」を意味するとか。「もう、云えん」ってのも、味がある。
本書についての感想は、後日。だって、読み始めたばかりだしね。
ネットでは、「祝・ノーベル文学賞。豊乳肥臀/莫言(ばくげん) あぱかば・ブログ篇」がよさそう。
莫言の作品は、彼がノーベル文学賞を受賞した翌年、初めて手にした。『赤い高粱』である。その際、畏敬するガブリエル・ガルシア=マルケス(やウィリアム・フォークナー)の影響を受けているというのが殺し文句になったものだった。
簡単な感想は、拙稿「莫言作の『赤い高粱』に手を出す」にて書いている。
『赤い高粱』を読んで面白く、ほんの数か月後には、『赤い高粱 〈続〉』 を読んでいる。
← 莫言著『赤い高粱 〈続〉』 (井口晃訳 岩波現代文庫)
『赤い高粱 〈続〉』 について、以下のようなことを書いた:
面白いというより、表現力、描写力を実感させられた。旧日本軍の兵士による蛮行も描かれていて、日本人たる小生も忸怩たる思いは感じるが、中国に侵略し、略奪や暴行、強姦などをやった以上は、歴史の事実として受け止めざるを得ない。
歴史の事実から目を背けようとするタカ派や右翼の連中は、こういった本を読んだほうがいいだろう。
但し、筆者は日本人(軍)は悪、中国人(兵など)は善と、紋切型に描いているわけではない。
そんな本など読むに値しない。中国人同士の醜い争い、男と女の文字通り血で血を洗う戦いなど描き切っていて、悲劇の域に達しそうなほどの物語に仕立てている。
マルケスやドノソ、フォークナーなどの影響は如実に見られるが、個々の表現は著者莫言ならではのもの。
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