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2018/04/08

ロレンス 28歳で『息子と恋人』

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→ 表の庭から裏庭への小道、今年も少しずつ苧環の小道へと変貌しつつある。

 D.H.ロレンス著の『息子と恋人』 を本夕、読了した。外仕事が雨で早々に中断の憂き目にあったため、ほぼ終日、読書に専念できたという皮肉な事情。
 本書のカバー表紙の絵は、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー作の「雨、蒸気、速度-グレート・ウェスタン鉄道」のようだ。何故に、ロレンスの作品にターナーのこの有名な作品をと、戸惑う思いもあった。好きな画家ではあるのだが。ふと、ロレンスの生まれた町が炭鉱町であり、原風景だったことに思い至った。蒸気機関車は、炭を燃やして蒸気を発して走る……。案外と、ストレートな連想だったのかも ? !  なんて昨日、書いた。

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← D.H.ロレンス 著『息子と恋人』 (小野寺 健/武藤 浩史 翻訳 ちくま文庫) 「主人公ポール・モレルの人生が家族・恋愛、性・死などを中心に生き生きと描かれた20世紀イギリス文学の傑作」。

デーヴィッド・ハーバート・ローレンス - Wikipedia」によると、彼の生涯は1885年9月11日 - 1930年3月2日。
 ってことは、44歳での没。
 今更ながら、密度の濃い生涯。しかも、『息子と恋人』(1913年)、『虹』(1915年)、『チャタレー夫人の恋人』(1928年)。つまり、本作『息子と恋人』 は、28歳の作。読了後、訳者あとがきを読んでその事実を知り、少なからざる衝撃を受けた。
『チャタレー夫人の恋人』にしても、43歳の作。

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← D.H.ロレンス著『黙示録論』 (ちくま学芸文庫) 内容案内によると、「「黙示録」は抑圧が生んだ、歪んだ自尊と復讐の書といわれる。自らを不当に迫害されていると考える弱者の、歪曲された優越意思と劣等感とを示すこの書は、西欧世界で長く人々の支配慾と権力慾を支えてきた」とか。

 吾輩の些末な驚きはともかく、本作のすばらしさに圧倒されたことは事実。だからこそ、創作した年齢が気になってしまったのだ。
『チャタレー夫人の恋人』は、二十歳代で、好奇心で、その何年か後、完訳版が出たということで改めて読んだ。なのに、もう一息欲張って本書に手を出すことがなかったのが、今更ながら残念だし情けない。本書は再読したくなる作品なのである。
 以前、本ブログで読んだことがあると書いたが、勘違いも甚だしかった。ここに訂正しておく。

 余談だが、題名は邦訳では、『息子と恋人』になっている。この題名だと、作品を読んでいても、母と息子の濃密すぎる関係が色濃いと思われそう。否定はしきれないが、必ずしも焦点はそういった誤読に行き付くものではない。訳者のあとがきにもあるように、もっと豊かな内容なのだ。直訳だと、『息子たちと恋人たち』となる。やや文学性に難がありそうだが、最初からある種の偏見に囚われることはないかもしれない。

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→ 庭と畑との境の小籔。三重カナメ4株を植えた。彩りと防風林として。

 今日は畑作業の日。畑に野菜(苗)を植えるための準備をするつもりだった。が、一時間も作業しないうちに雨。冷たい雨。明るいうちは降らないはずだったのに。余儀なく、三重カナメを植えるだけで仕事を終えた。

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← D.H.ロレンス【著】『無意識の幻想』(照屋 佳男【訳】 中公文庫) 本書を読み始めた頃、「ロレンスの本著は、かなりパセティックな叙述が続く。バタイユの著述に接しているような、高踏派過ぎるものを感じてしまう。ついていけないような気もする。発想の根っこを掴めるかが要諦かもしれない」などと書いている。

 昨年だったか、ロレンスにとっての最晩年の(最終)作である、聖書論『黙示録』を読んで、その真率さと激しさに衝撃を受けた。
 その時の感想文では、以下のように書いている(拙稿「ルサンチマンが夢の中にも ? !」より):
 

多くの感想に見られるが、ニーチェ的なルサンチマンの書のように感じている。キリスト教の宗教思想の根幹にかかわる。けれど、黙示録はユダヤ人が記したものではないのか。ユダヤ人が欧米(今や世界)において、嫌われ恐れられ、忌避されつつも、今に至るも(あるいは一層)影響力や存在感を示しているのは、こうした怨念あるいは執念にも似た排他的な選民思想が徹底しているからなのだろう。弱者の自己保身の典型の発想なのか。優秀だが、とんでもなくえげつない民族なのだ。しかも、このルサンチマンの情念は他民族やキリスト教など他宗教にも強烈に影響し、相互に反射しまくっている。アメリカのトランプ大統領が、アメリカ大使館をエルサレムに移すなんて、喚いているが、アメリカのユダヤ(イスラエル)シフトが露骨になると、世界は荒れるだろうなー。いや、ホントに怖い!

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