命に限りがあるからこそ
← ウォルター・アルバレス著『ありえない138億年史 宇宙誕生と私たちを結ぶビッグヒストリー』(山田 美明訳 光文社)
このところ、ちらほら程度の雪しか降らない。だけど、今日も除雪。表の庭などではなく、表から裏庭に続く道とか、ツゲなどの樹木に覆いかぶさる雪などの除雪である。今冬はミカンの木をはじめ、夾竹桃や泰山木、杉の木、ツワブキの群生など、樹木や花木などに被害が出た。表の庭の除雪に懸命で、裏の庭や樹木の世話が追い付かなかったのだ。もっと詳しく見たら、想像以上にダメージを被っているような気がする。
道路はもちろん、田圃や畑などを見渡しても、ほとんど雪が消えつつある。雪原が依然として広がっているのは、近所では我が家だけの気がする。
明日からはまた予報では雪の模様。そんなに降らないとは思うけど、今のうちに、残っている根雪を少しでも減らさないと。
ミシェル・ウエルベック 作の『ある島の可能性』を読了した。本作も、SF風な作品。
ウエルベックは、SF的な舞台で極端な状況を設定することで、極限状況での人間性を露わにしようとする。
本書では、カルト教団だからこそのカネに糸目をつけな研究施設で遺伝子が保存されることで、原理的には人は(愛するペットも)永遠の命を得る、という設定。
カルト教団の教祖が猿山のボスのような存在になることで、ネオ・ヒューマンたちの集団はユーモアや性愛の失われた世界で生き続ける。教祖(ボス)だけは、集団を率いるための虚構を保ち続けなければならないし、性愛を一手に引き受けて子をなしていかないと集団が成り立たなくなる。
一方、永遠の命が確保されることで、人と人との関りに必然性は失われゆく。命に限りがあるからこそ、悩みもあるし、今、ここでという緊張感のある人間関係が生まれるわけだ。愛の告白にしたって、命が永遠なのだから、何も今、断られる危険を冒してまで告白する必要など、あるはずもない。
ユーモアにしても、対人関係を円滑にし、辛い浮世を少しでも耐え凌げるようにと生み出された人間の知恵。だとしたら、人の命が永遠(死んでも、遺伝子情報がある限り、再生される)なのだから、他人とぶつかっても苦労して和解を試みる必要など、あるはずもない。
ただ、ペットだけは別である。人間は、仮にペットが老衰や事故で亡くなっても、クローンペットがすぐに用意されると分かっている。
だが、ペットはそんなことは理解できるはずもない。
だから、ペットは、今、目の前にいるご主人に忠誠を尽くし、愛想を振りまく。人と人が希薄な関係の中で冷め切っていく中で、ご主人の孤独をいやすのは、ペットだけなのである。
これを皮肉と言わずして何とする、である。
→ ルネ・マグリット「ピレネーの城」 (画像は、「【作品解説】ルネ・マグリット「ピレネーの城」 - 山田視覚芸術研究室 - 近代美術と現代美術の大事典」より) 冒頭に掲げた、ウォルター・アルバレス著の『ありえない138億年史 宇宙誕生と私たちを結ぶビッグヒストリー』の表紙に使われている。
また妙な夢。私は東京でタクシーを運転している。乗ってきた客がT町の某所を指示した。ベテランの私は、T町はともかく、某所は分からない。だが、東京のタクシーはスピード(判断)が命。某所は分からずとも、とにかくT町へ車を向ける。ほとんど反射神経で車を目指す方向へ向けることができるのだ。詳しい場所は、信号待ちの際などに調べればいいのだ。
と言いつつ、念のためにと、カーナビで方向が正しいか確認する。気が付くと、タクシーは高速と一般道の合流点、しかも、なぜか高速の脇道……行き止まりで立ち往生している。行きたいのは、地上、一般道なのに。眼下の道を呆然と眺める私。
どうしたらいいのか……なんてところで目覚めた。それとも、夢の中ではもっと続きがあったようだけど、目覚めた瞬間、忘れ去ったような気もする。呆然としていた私は、一体、どうやって切り抜けたのだろう? それとも、最悪の状態に陥っていた? 悪夢だったので、意識的に記憶を断ち切ったのか。
ウォルター・アルバレス著の『ありえない138億年史 宇宙誕生と私たちを結ぶビッグヒストリー』を読み始めた。
一休宗純の「狂雲集」や与謝野版「源氏物語」を読んでいるので、吾輩の習性で、文学や宗教とは対極にある(と思われがちな)サイエンスに関連する本をどうしても並行して読みたくなるのだ。
本書は、「恐竜絶滅の謎(隕石衝突)を解明した地球科学者による壮大な科学エッセイ」だとか。
まだ感想を云々する段階ではないので、「ありえない138億年史 ウォルター・アルバレス、山田美明-訳 ノンフィクション、学芸 光文社」に載っている内容案内を掲げておく:
歴史は必然ではない。偶然が重大な役割を担っている。宇宙、地球、生命、人間の各領域において、この世界が実際にたどった道とは異なる道をたどる可能性は無数にあった。その結果、今日のものとは異なる人間世界が生まれる可能性もあれば、人間世界がまったく生まれない可能性もあったのだ。
そのため、今あるこの世界を理解するには、物理学や化学を超えて、地質学や古生物学、生物学、考古学、天文学、宇宙学などの歴史科学の領域から人間の歴史へと目を向けるべきだろう。これらの歴史科学や歴史学が、今あるこの世界の歴史について学びつつあることを知る必要があるのだ。
← ミシェル・ウエルベック 著『ある島の可能性』(中村 佳子 訳 河出文庫) 出版社の内容案内によると、「辛口コメディアンのダニエルはカルト教団に遺伝子を託す。二千年後ユーモアや性愛の失われた世界で生き続けるネオ・ヒューマンたち。現代と未来が交互に語られるSF的長篇」とか。
与謝野晶子訳源氏物語(『カラー版日本文学全集2 源氏物語 上巻』(紫式部作 与謝野 晶子 訳 河出書房))を相変わらず牛歩で読んでいる。
前は亀の歩みだったので、少しは早くなった?
「桐壷 帚木 空蝉 夕顔 若紫 末摘花 紅葉賀 花宴 葵 賢木(榊) 花散里 須磨 明石 澪標 蓬生 関屋 絵合 松風 薄雲 朝顔 乙女 玉鬘 初音 胡蝶 蛍」 と進んできて、今日は「常夏」である。
富山は今、冬の真っただ中。峠は越えたかと思える時期だが、源氏物語は常夏ってのが皮肉。ちなみに、「賢木」も「榊」も意味は同じ。表記の違いのようだ。
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