姫野カオルコ作品に呪縛される?
「ゆきどけ」を変換する際、一瞬、迷う。「雪解け」か「雪融け」なのか。それとも、「雪溶け」なのか。同じ水が溶ける場合は、融けるんだから、「雪融け」が漢字的には正解に近い気がするが。
← 姫野 カオルコ(著)『H(アッシュ)』 (徳間文庫)
そもそも、雪が解けるなんて変。これじゃ、解体するような感じが漂ってくる。一節によると、今は、「雪解け」に表記が統一されているとか。うーん。大勢に従うべきか。
吾輩としても、チーズも金属も雪も、個体が液体に変換する以上は、融けるを使いたい。漢字の図柄や堅苦しさから、雪どけだけは、雪解けなのかもしれないけど、雪どけのほうが無難なのか。結局は大勢に従うしかないのか、ちょっと得心が行かないけど。
来週には、今回の寒波と同等かそれ以上の寒波が襲来するとか。弱いを重ねるごとに、段々、越冬という言葉がリアルに感じられてくる。
姫野 カオルコ著の『H(アッシュ)』を読了した。昨夜、読み始めて、本夕には読了したので、一気読み?
実際には、過日より読み始めているR・ターガート・マーフィー著の『日本‐呪縛の構図 上』を合間に挟みつつ、である。
姫野 カオルコの本を読むのは初めて。世評が高かったし、前から気になる作家だったので(それに、今では死語かもしれないが、女流作家の本を読むのが大好き)、勧められたこともあって、本書を手に取った。
読むと、タッチ的にはエロ小説っぽい。下手すると、裏ビデオを小説化したのではと誤解されかねない(ちなみに、吾輩はエロ本、春本、大好きである)。
→ 滝平二郎 朝日新聞日曜版「天花粉」1974 (もっと多くの作品は、「朝日新聞デジタル:滝平二郎 版画ときりえと絵本原画 - 写真特集」へ)
そこは、彼女流になのか(ほかの本を読んだことがないので、判断のしようがないが)、ややありふれた男女間の恋愛沙汰を達観したような作家(女)の、同性を見る目の厳しさ、えげつなさもあり、(世の一部の)男性をも子ども扱いするようで、退屈はさせない。
女性が(若いだけが取り柄に見える)女性を酷薄なほどにアイロニカルに見る、しかも、強烈な嫉妬心が次第に露わになる「ミア」という作品が面白かった。
「正調H物語」も、なかなか。源氏に屈し平家が滅亡する中で、高貴この上ない建礼門院さまが、これでもかという恥辱の憂き目に遭う作品。まあ、戦で負けた側の女性たちって、実際にはこんなものじゃなかったんだろうけど。
ただし、今のところ、同氏のこの短編集は、まだ自分の中では、消化不良状態である。
← R・ターガート・マーフィー著『日本‐呪縛の構図 上』(仲 達志訳 ハヤカワ文庫NF)
まさに、余談だけど、R・ターガート・マーフィー著の『日本‐呪縛の構図 上』を合間に挟みつつと書いたが、実際には、この本を読む中に、お口直しに姫野 カオルコ著の『H(アッシュ)』を読んだようなもの(実際には、昨年来、一休宗純の『狂雲集』も牛歩で併読している)。
日本という国も、特に戦後はアメリカ(CIA)の諜報活動に、あるいはもっと言えばアメリカの戦略に呑み込まれ、アメリカ追随の国になるしかなかったことを本署を読んで改めて痛感したのだが、強い異性に(弱点を掴まれ)とことん丸め込まれ、反抗の一つも行えない、そんな歪な男女関係を想ってしまったのだった。
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