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2018/01/09

東岩瀬の常夜灯

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← 富山市の東岩瀬にある常夜灯。昔は金比羅さんもあったらしいが(今もある? 琴平社(金刀毘羅社)、今は、小さな公園になり、中に公民館や常夜灯(だったもの)があるだけ。目立たない場所で、余程詳しい地図でないと存在は分からないかも。これが昔の灯台だったのか。(「船橋常夜灯」など参照。)

 今の日本、自信がなくなってきているのか、内向き志向なのか、日本の優れているところを特集する番組が目立つ。それはそれでいいけど、吾輩がプロデューサーだったら、世界の国々で、日本はこの点、この分野が遅れてる、劣っている、そういった認識・反省を深めるような番組を作るだろうな。そのほうが、愛国心ってもんだろう。
 日本が精神面でも豊かになるには、足らざるを知ることに尽きると思う。

 例えば、世界の(日本の)貧困率。「OECDの2010年の統計によれば、日本の相対的貧困率は16.0%で、この年に調査された国の中では、イスラエルの20.9%、メキシコの20.4%、トルコの19.3%、チリの18%アメリカ合衆国の17.4%に次いで6番目に相対的貧困が高い」「日本は先進国の中でイスラエル、アメリカに次いで3番目に貧困率が高い国」。

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← ローレンス・クラウス著『宇宙が始まる前には何があったのか?』(青木薫訳 文春文庫) 「『種の起源』に匹敵する宇宙論のパラダイム・シフト」が今、起きつつある。

 ローレンス・クラウス著の『宇宙が始まる前には何があったのか?』を昨日、読み始めた。
 著者の本は2冊め。宇宙論は、生物学(細菌学)と並んで好きなジャンル。世界観を深めてくれる。太陽系から一番近い恒星は、それでも4光年離れている。遥か彼方! けれども、宇宙のスケールからしたら、すぐとなりの星! 月は地球から37万キロ。ちかい? 遠い? どちらにしても、両者は共に宇宙空間の中に漂っている。零下約270度の世界に浮かぶ天体たち。

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→ 「大日本沿海輿地全図」のうち、北陸道の図。(「伊能忠敬 - Wikipedia」や「伊能忠敬に逢ってきた! JOKER’s STUDIO」参照。)

 某放送局の今年の大河ドラマ。仄聞するところによると、西郷どんに関わるものだとか。是非は言わない。近年、幕末維新ものが続くのは、時代の転換点だからか、世の傾向がタカ派気味だからなのかも、今はいい。幕末でも、伊能忠敬とか、松浦武四郎とか、視野を広げたらもっといろいろ人材はあるだろうに。
 女性だと、木戸孝允(桂小五郎)の奥さんになった木戸松子。命懸けで木戸を支えた。女性目線の幕末維新(「木戸松子 - Wikipedia」など参照)。

 南沙問題、尖閣や北方領土、竹島問題もあり、領土の問題はナショナリストでなくとも関心が強い。その意味で、地味かもしれないけど、列島の精細な地図を作った伊能忠敬は今の時代にもマッチする。しかも、作業を始めたのが隠居してからってのも、中高年のハートをわしづかみ。測量技術の見事さは言うまでもないが、「測量にあたって天体観測を活用することで、観測地の緯度や経度を求め」たりもした。彼の経歴を見ると、結構、ドラマもある。ホントは来年(2018年)は、伊能忠敬の没後200年で、ぴったりの年だったんだけどなー(「伊能忠敬 - Wikipedia」など参照)。

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← 藤井一二 著『大伴家持 波乱にみちた万葉歌人の生涯』(中公新書) 「大伴家持(七一八頃~七八五)は、天平文化を代表する歌人であり、『万葉集』の編纂にも関わったとされる。橘奈良麻呂の変など、無数の政争が渦巻く時代を官人として生き、さまざまな美しい景色や多くの親しい人々との思い出を歌に込めた。その歩みを追うと、時代に翻弄されながら、名門一族を背負った素顔が浮かび上がる」とか。

 藤井一二 著の『大伴家持 波乱にみちた万葉歌人の生涯』を読了した。
 古代史や万葉集に関心があるし、なんと言っても大伴家持は越中国司として赴任し、越中滞在中、万葉集に収められている家持の歌、約470首のうちの半数を作った。但し、我輩の一番好きな万葉歌人は、柿本人麿。
 ただ、著者が富山県(立山町)の出身者であるということ、何と言っても、扱われている人物が大伴家持であるだけに、手に取るしかなかった。
 これまでも、柿本人麻呂関連ほどではないにしても、大伴家持や万葉集を巡る本を読んできた。

 本書を読んで改めて教えられたことは多々ある。藤原一族の権謀術数に翻弄され、名門一族が生き残るため、苦渋の選択を迫られたり、数奇ともいえる生涯を送ったこと、などなど。
 けれど、一番、感銘を受けたのは、大伴家持が万葉集に収められる多数の歌のうち、半数を越中国司時代に作ったというだけじゃなく、作歌の上でも、生涯の上でも充実した時代だったということ。
 久しぶりに万葉集を読み返さないと。

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