イザベラ・バード著の『朝鮮紀行』を読み始めた
富山は(富山だけじゃないけど)昨夕から一気に雪国に。今冬はラニーニャ現象もあり、本格的な冬になりそう。辛い。生き延びないと。
← イザベラ・L・バード【著】『朝鮮紀行―英国婦人の見た李朝末期』(時岡 敬子【訳】講談社学術文庫)
福井などは積雪が数十センチとか。偏西風の蛇行の影響は、日本の何処に寒波や雪雲を襲来させるか予断を許さない。
今年は、カーポートを玄関前に設置。少しは雪への対応ができていると思いたい……な。
イザベラ・L・バード著の『朝鮮紀行―英国婦人の見た李朝末期』を読み始めた。
出版社の内容案内によると、「英国人女性旅行家イザベラ・バードが朝鮮を訪れたのは、一八九四年、六二歳の時のことである。以降三年余、バードは四度にわたり朝鮮各地を旅した。折りしも朝鮮内外には、日清戦争、東学党の反乱、閔妃暗殺等の歴史的事件が続発する。国際情勢に翻弄される李朝末期の不穏な政情や、開国間もない朝鮮に色濃く残る伝統的風土・民俗・文化等々、バードの眼に映った朝鮮の素顔を忠実に伝える名紀行とか。
渡辺 京二著の『逝きし世の面影』を6年ほど前に読んだ。
当時、「近代に物された、異邦人によるあまたの文献を渉猟し、それからの日本が失ってきたものの意味を根底から問うた大冊」といった本。明治維新という大変革が、いかに多くのものを古き良き日本から奪ったか。江戸や明治前半の日本人像を一変させてくれる本、などと感想を呟いている。
← 渡辺 京二【著】『逝きし世の面影』(平凡社ライブラリー)
古き良き日本の姿に慰撫される思い。
それはいいのだが、何か美化され過ぎている気がしてならない。決して間違ってはいないが、触れられない影の半面がある……そんな気がしてならない。
そこでというわけでもないが、イザベラ・バード 著『日本奥地紀行 』を書店で見出し、繙いてみた。
著者の「イザベラ・バード(Isabella Lucy Bird, 結婚後はIsabella Bird Bishop夫人, 1831年10月15日 - 1904年10月7日)」は、「イギリスの女性旅行家、紀行作家。明治時代の東北地方や北海道、関西などを旅行し、その旅行記"Unbeaten Tracks in Japan"(邦題『日本奥地紀行』『バード 日本紀行』)を書いた」といった人物。
上掲書についての感想などは、拙稿「イザベラ・バード『日本奥地紀行』を読む(前編)」に。
その一部を抜粋すると:
本書においては、日光などの紀行文が、印象的だし、しばしば日本において参照されるが、実際は、そうした当時としても有名な土地より、当時としては無名な土地の紀行こそが、貴重な資料となっているし、読み応えがある。
大方の日本人の貧しさ、夏などほとんど裸同然の恰好になるが、ノミ・シラミ・アリなどの虫に対しては無防備で、虫刺されなどの傷跡が全身に見られて、「日本人の黄色い皮膚、馬のような固い髪、弱弱しい瞼、細長い眼、尻下がりの眉毛、平べったい鼻、凹んだ胸、蒙古系の頬が出た顔形、ちっぽけな体格、男たちのよろよろした歩きつき、女たちのよちよちした歩きぶりなど、一般に日本人の姿」を一層、見るに耐えないものにしている、という。
(ついでながら、馬も、裸なので、虫には苦しみ、人が乗っていようと、荷物を載せていようと、痒いとなると、いつ何時でも急にその場に倒れて転げまわる。そのとばっちりをバードも何度も食らっている。)
そんなイザベラ・バードによる、朝鮮紀行である。期待大。
日本と朝鮮は近くて遠い国。
少なくとも古代より、朝鮮人の渡来も影響も大きい。古代国家の制度設計も、半島の混乱から逃れてやってきた王族や貴族らの力に依るものが大きい:「渡来人の歴史」
以後、ずっと影響を受けてきた。
朝鮮人が日本を侵略したことはないが(元寇で支配された朝鮮人が襲来を試みたことはあったようだが)、日本は豊臣秀吉の朝鮮出兵や朝鮮の植民地化などの歴史がある。
朝鮮人は今もって、秀吉の時代の日本による蛮行を忘れていない。
朝鮮人の日本人に対する警戒心は相当なものがあるようだ。
← イザベラ・バード 著『日本奥地紀行 』(高梨 健吉 訳 平凡社ライブラリー 東洋文庫)(h画像は「Amazon.co.jp: 通販 」より) 翻訳された高梨健吉という名前。懐かしい。高校時代の英語の参考書だったかでこの名に出会っている。
近親憎悪という微妙な感情がある。
それでも、南だろうと北だろうと、半島と列島は平和を志向しないといけない。
その意味でも、本書『朝鮮紀行―英国婦人の見た李朝末期』を読む意義はあろう。
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