カズオ・イシグロ作『わたしを離さないで』を一気に
← 田中良平『Kurama Road』(1996 Etching) (画像は、「White Lotus Gallery Tanaka Ryohei」より。) 鞍馬の街道町の絵なのだろうが、日差しの照り返しが何とも夢幻的。「田中良平…枝葉の先にも命あり」参照。
今日はもしかしたら朝から夕方までは晴れているかも、予報ではそうだった。
バイクを駆って何処かへ!
でも、読書もしたい。特に今は、先日来、読んできていたカズオ・イシグロ作の『わたしを離さないで』を読み切りたいと考えていた。
ということで、昨日、今日の二日で300頁余りを一気に。
それに今日は日曜日。休日は観光地も人が多くて面白くない。週日に遠出してこそ、ゆったりできる。
いっそのこと、バイクで銭湯(温泉)かプールへでもとも考えたが、やはり休日は混むだろうから、わざわざ混雑に呑まれるなんてうんざりである。
お昼前には、読書(と居眠り)に専念すると決めた。
本作品を手に取った当初、下記のように呟いている:
カズオ・イシグロ作の『わたしを離さないで』を書店で衝動買い。
言うまでもなく今年のノーベル文学賞受賞作家。
多くの日本人には、初耳に近く、村上春樹さんが受賞できなかった鬱憤を晴らすかのように、日系作家ってことばかりが強調されていたっけ。
本人にはありがた迷惑だったのではと、勝手に忖度したり。吾輩は、無論、何年も前から、気にはしていたし、書店で手にとってパラパラ捲ってみたりもしていたが、最後の踏ん切りが付かないでいた。あるカズオ・イシグロを読むコミュニティに招かれたこともあって、立ち寄った小さな書店で本書を見かけたのも何かの縁と、入手したのだ。
帰宅して、早速、読み始めている。
昨日はノーベル文学賞受賞の同氏の話題がテレビでも。
さらに、今日はノーベル平和賞の授賞式の日であり、まさに今、授賞式の真っ最中であろう。
「カズオ・イシグロ(石黒 一雄、1954年11月8日 - )は、長崎県出身の日系イギリス人小説家であ」り、「ロンドン在住」(「カズオ・イシグロ - Wikipedia」など参照。)とのこと。
小生は、上記の呟きの中で、「多くの日本人には、初耳に近く、村上春樹さんが受賞できなかった鬱憤を晴らすかのように、日系作家ってことばかりが強調されていたっけ。本人にはありがた迷惑だったのではと、勝手に忖度したり」などと書いている。
が、「1989年に国際交流基金の短期滞在プログラムで再来日し、大江健三郎と対談した際、最初の2作で描いた日本は想像の産物であったと語り、「私はこの他国、強い絆を感じていた非常に重要な他国の、強いイメージを頭の中に抱えながら育った。英国で私はいつも、この想像上の日本というものを頭の中で思い描いていた」と述べた」という。
母親が長崎への原爆投下で爆風による怪我をしたというし、「英語が話されていない家で育ったことや母親とは今でも日本語で会話すると述べている」。さらに、「英語が母語の質問者に対して、「I'm pretty rocky, especially around vernacular and such. 」など「言語学的には同じくらいの堅固な(英語の)基盤を持っていません」と返答している」とか。
言語の上では、なかなか微妙な、揺れる地盤に育ったようだ。
ただ、原爆への思い入れは、母親のこともあり、ただならぬものがあると言えよう。
ただ、文学的に幼児の頃の思いや原爆への考えが何処まで追及されているかは、分からない。
← カズオ・イシグロ【著】『わたしを離さないで』(土屋 政雄【訳】 ハヤカワepi文庫)
さて、本作は、出版社による内容案内によると、「優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。(中略)彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく―」ということで、ネタ晴らしはされている。
本作はむしろ、そんな筋書きより、まさに残酷な真実が徐々にさらされていく、その過程にこそ妙味がある。
医学的には、既にES細胞や山中伸弥教授のiPS細胞研究の発展が代替技術を提供していると言えるだろう。
その意味で、話自体は現実性が難しいかもしれない。
健常者たちの生存のために、ただそのためだけに作られた人間もどきの悲劇は、さすがに同氏の筆力もあって、読ませるものがあった。
ただ、同氏の本の二冊目に自分が手を出すかは今のところ微妙である。
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