原石を探しにヒスイ海岸へ
→ 秋晴れのもと、立山連峰を眺めつつ、富山県の東、もう少し行くと新潟県との県境なる地、朝日町の宮崎海岸へわが愛車を駆って行ってきました。通称、ヒスイ海岸。ヒスイと言えば糸魚川が有名だけど、こちらも有名。「東西約4kmに連なる砂利の美しい海岸」で、ヒスイの原石が見つかる……かもしれない:「宮崎・境海岸(ヒスイ海岸)|観光スポット|とやま観光ナビ」参照。
← ヒスイを発見するには、風雨の荒れ狂った、その翌日がいいとか。晴れ渡った日などは、多くの人が漁ってしまった後だし、ヒスイは上流から急流で流されてくるから。ただし、このヒスイ海岸では、ヒスイ(の原石)は海から打ち上げられる。だから、波の荒れたあとの浜辺で見つかるわけである。「翡翠(ひすい)の見つけ方、探し方入門」参照。
→ ヒスイは、その美しさはもちろんだけど、固さが珍重された。細工されたヒスイは、貴人しか身につけられない。勾玉は、祭祀に使われたらしい。ちなみに、食のほうでは、「タラ汁」は絶品……とか。残念ながら、当日は目当ての店は休みだった。「翡翠(ひすい)の見つけ方、探し方入門」によると、早稲田大学の校歌「都の西北」を作詞した新潟県糸魚川市生まれの文学者・相馬御風がヒスイを<発見>したとか。「御風は、昭和初期、「糸魚川を治めていた姫がヒスイの勾玉をつけていた」という伝説から、この地方にヒスイがあるのではないかと考えました。これがきっかけとなり、昭和13年(1938)、糸魚川でヒスイが発見」したというのだ。
「翡翠(ひすい)の見つけ方、探し方入門」では、さらに、以下の指摘がされている:
『万葉集』には
《沼名河(ぬなかは)の 底なる玉 求めて 得し玉かも 拾ひて 得し玉かも あたらしき君が 老ゆらく惜しも》
という歌が載っていますが、この「沼名河」は糸魚川市を流れる姫川で、「底なる玉」こそヒスイだとされています。

← ヒスイを探すにはコツが要るようだ。有料のガイドの説明が頼りになりそう。大雑把には、ヒスイは普通に海岸などに転がっている石ころより硬い。大概の石は、流される間に波に流され、石同士がぶつかって、角が削られ、丸っこくなる。が、ヒスイは硬いので、角ばった感じが残りやすい。要するに、緑色で角ばった石をさがってことだ。
ちなみに吾輩は、丸っこくて白っぽい石を探した。庭の砂利石にしたくて。
← 中上 健次 著『千年の愉楽』 (河出文庫―BUNGEI Collection)
先日来、読んできた中上健次 著の『千年の愉楽』を読了した。
同氏の作品はいずれもだが、圧倒的な筆力を感じた。野獣的な生命力の奔騰。
神話的な世界が、まさにこの世(特に戦後期)の猥雑な路地を舞台に繰り広げられている。その路地は被差別部落と一般の世間との境界域にある。
貴種伝説の枷に苦しみ、同時に俗世間の道徳も倫理も無視し、差別する世間へと闖入していく。特に女へと。
犯罪の限りを尽くし、女を欲望のままに犯すことで、被差別民たちの憤懣を爆発させる。
本書には、かの吉本隆明や江藤淳らの本作品への評論が彼らの著作から援用する形で載せられている。
いずれも名立たる評論家である。
しかし、率直に言って、彼らの論考は中上作品にあっさり跳ね返されている。
作品の批評のようでいて、大半が本作品からの、印象的な場面からの抜粋ばかりが目立つ。
江藤氏など、本居宣長の書「くず花」からの引用で、なんとか中上に対抗しようとしているが、宣長の書はともかく、中上作品に当てはめるのは、やや無理を感じる。
むしろ、小生が前回のブログ記事で書いたように、「物語の死と生というテーマもだが、題名の形からしても、どことなく、ガブリエル・ガルシア=マルケスの長編小説「百年の孤独」をイメージさせられる。というより、意識していたのかも」と、改めて感じさせられたのである。
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