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2017/07/20

ヘルター・スケルターの先の世の中

 暑い! 日頃の畑や庭仕事。今年は午後の五時過ぎから始めている。実は昨年までは午後の二時前後にやっていた。というのも、エアコンが不調で(今も)日中暑いので、それだったら一番暑い時間帯は外で働き、作業終了後シャワーで爽快に、という発想だった。が、作業中、何度も頭がクラクラし、その場でへたり込むはめに。

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→ 蜷川実花 (監督) 『ヘルタースケルター スペシャル・エディション(2枚組) [Blu-ray] 』(沢尻エリカら出演 原作・岡崎京子 Happinet)

 作業を終えてお風呂でお湯に浸かっていたりすると、突然、めまいに吐き気で、風呂場でへたり込んだりして。不調の理由が分からず、体のどこかが悪いのかと思ったが、しばらく休むと治るので、そのままにしてきた。一年を経て振り返ると、風呂場での吐き気などは熱中症だったのかと気づく。今更、気づいても遅い話だが。

 昨日、畑の野菜はたっぷり収穫したのだが、一日置いた今日、もう、笊にいっぱいの野菜ができていた(収穫し、親戚にあげた)。

 世評高い岡崎京子作の『ヘルタースケルター』を、水曜日の夜半過ぎというか、木曜日の未明に読み始め、読む手が止まらず、とうとう朝がしらじら明ける頃には読了していた。
 さすがに読ませる。
 小生、ある年代から漫画は敬遠してきた。別に漫画を卒業したというわけではなく、漫画に夢中になって読み浸ると、目が疲れてしまう……という年齢的な理由が大きい。情けない。

 ヘルタースケルター(Helter Skelter)は「慌てふためいて」(副詞)・「混乱している」(形容詞)・「螺旋状(らせんじょう)の滑り台」(名詞)などを意味するとか。自分がこの言葉を初めて知ったのは(我々世代では当然のことながら)ビートルズの曲。いかにもロックの曲調。ポール・マッカートニーの作詞作曲。それが岡崎京子の漫画で日本においてクローズアップされた。きっと、ビートルズとは関係なく。

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← 岡崎京子作『ヘルタースケルター』(祥伝社 Feelコミックス) 「「もとのままのもんは骨と目ん玉と髪と耳とアソコぐらいなもんでね あとは全部つくりもんなのさ」。大掛かりな全身の整形手術とメンテナンスにより、完璧な美しさを持つモデルの「りりこ」。女優や歌手としても活躍し人気の絶頂を迎えるが、体は次々に異常を訴え始める。それにつれてりりこの心の闇も濃く、深くなり、彼女の人生はやがて手もつけられなくなるほどに壊れてゆく」……。

 この頃、またこの作品が話題になってきていた。沢尻エリカ主演による同名の映画によって。映画はともかく、やはり、原作の漫画を読みたい。なるほど、題名に違わず、シュールというかヘルタースケルターな世界が繰り広げられている。人間は中身が大事と言いながら、現実には外見に左右される。身だしなみに限らず、社会的地位、資産、生まれ、演出、そして外見。人間に限らず、生き物は表皮を剥げば肉と骨の塊。そうは分かっていても、相貌にどれほど人生が左右されるか。

 若い、だけど美しさ(かわいさ)に恵まれない大多数の女性たち(男性も)。いろいろ不満を持っても、自分の現実で折り合いをつけて生きていく。経験と妥協と惰性とあきらめの悪さで。だが、現状に我慢ならない人間は少なからずいる。ちょっと手直しすれば違う世界が広がってくる。ひとの自分を見る目が違ってくる(に違いないという思い)。若いうちにこそ、美しくなり、脚光を浴び、ちやほやされて生きたい! 韓国では整形ブームどころか、当たり前になっているとか。日本もそうなりつつあるのか。

 昔は、整形は特別なことだったが、春休みや夏休みのほんの一時期を雲隠れして、手を加えれば違う自分が創出できる…という思いは止まることがない。外見が偶然性に過ぎないものならば、体型も含め容貌は整形で演出できる幻想に過ぎないのなら、整形する思いを拒む理由はない。ハードルは低くなる一方なのだ。

 親にもらった体は大事に。けれど、親にもらった体だって、たまたま出会った男女の偶然の出会いなのではなかったか。必然の出会い。その必然はどこから生じるのか。よりよい人生を願う思いの結果なのではないか。人生は一回限り。だとしたら、自分の手で(あるいは技術の力を借りて)より自分が望ましいと思う相貌を演出して何が悪いのだろう。本書は、美と栄光に駆られた執念のもたらした悲劇と捉えるのが無難な解釈なのだろう。

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→ 『ザ・ビートルズ』 イギリスにおいて1968年11月22日に発売されたビートルズの10作目 のオリジナル・アルバム。この中に「The Beatles - Helter Skelterヘルター・スケルター - YouTube」が収録されている。

 だが、より怖いのは、本書が書かれたころは技術が未熟だっただけではないか、現代なら全く違う展開がありえるのではないか、という考え方も今なら成立しうるということだ。もし、岡崎京子氏が本作の続編を現代において書くなら、垣間見る地獄はもっと深いものになりうるということをも意味するということである。

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コメント

整形、って、今や大きなテーマですよね。
僕のお気に入りは、
「整形美女」/姫野カオルコ、新潮文庫

よくある整形の、逆を行っちゃうのに、
すげえ説得力がある女子の視点!
国見さん、男って整形について何か言おうとしても、
ぜんぜんだめよねw、もちろん僕も含めてなんだけど。
考えが浅すぎる、凡庸すぎる、
幼稚すぎます。

投稿: 青梗菜 | 2017/07/20 22:09

青梗菜さん

整形については人一倍、関心があります。
というか、他人ごとじゃない。
ただ、本音で語るのは抵抗があり過ぎます。

投稿: やいっち | 2017/11/27 21:18

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