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2017/07/09

あのバッグはホントに彼のもの?

 夜半、仕事が終わって帰宅しようとしたら、車が壊されていた。左前角が擦られている。左の車が右方向へ出ようとして、引っ掛けたのか。くそ!

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→ アガパンサス。このところの雨で一気に開花。庭のあちこちに。誰が植えたのかな。毎年、花の少ない我が家の庭に、アジサイや夾竹桃共々、健気に咲いてくれている。

 キュウリの浅漬け。過日は、急場しのぎに、岩塩とポン酢、さらにコンビニで買った塩昆布で漬けた。それなりの味。次は、岩塩と塩昆布だけで。こっちは大成功。旨い。

 今日(土曜日)も、夕方にかけて庭仕事。野菜への水遣りに、草むしりに、溝浚い。一時間半の作業で汗びっしょりである。
 今日は通いの内科医院へ。過日、睡眠障害ということで、「睡眠時無呼吸症候群」の検査をしてもらった、その結果を承りに。
 その兆候はあるが、症状としては中くらい。2010年の京大での手術が一定の効果をもたらしてくれたようだ。
 小生は、十歳の時の手術で、鼻呼吸が全くできなくなった。以来、小生の辞書に睡眠、まして安眠の文字は消えた。
 日々、朝の目覚めの時は、地獄の疲労に見舞われている。岩のようになった体。起きることに、全精力を費やし、精根尽き果てる。日中は、魂の抜け殻のような体。そんな生活が四十年以上続いた。
 
 過日の夜のこと、仕事中、我慢できずに公衆便所に駆け込もうと、車を降りたら、歩道に男が横たわっている。酔っ払いのよう。声をかける? が、その前にトイレだ。個室に入ったら、脇の棚に黒いバッグ。忘れ物? 見て見ぬふりの出来ない自分、あーあ、トイレを出たら、警察に電話するか。
 が、トイレどころか個室を出た瞬間、男の影。いきなりで、思わず、声を上げそうになったが、さすがに自制。どうやら、先ほどの路上の男らしい。トイレ(個室Iの前で待っていたようだ。あの黒いバッグを取りに戻った……。これで、横たわる男に声をかける必要も、警察に忘れ物を通報する必要もなくなった。トイレも済ませ、すっきりだし。が、ふと、車中で、ホントにあの黒いバッグは、あの男のものなのか、確証がないと思い始めた。なんだか、もどかしい思いのままに、ま、いっか、と。

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← 沼 正三 著『家畜人ヤプー〈第1巻〉』 (幻冬舎アウトロー文庫) 「ある夏の午後、ドイツに留学中の瀬部麟一郎と恋人クララの前に突如、奇妙な円盤艇が現れた。中にはポーリーンと名乗る美しき白人女性が一人。二千年後の世界から来たという彼女が語る未来では、日本人が「ヤプー」と呼ばれ、白人の家畜にされているというのだが…」。

 沼 正三 著の『家畜人ヤプー〈第1巻〉』 を読了した。
 本書を読み始めた日、小生は以下のように書いた:

 ちょっと、車中の友にしては、奇抜過ぎたか。
 確かにぶっ飛んだ設定だし、えげつなさにも満ちている。若い頃なら、多少はのめり込んだかもしれないけど、サドはともかく、残酷が売り物の小説が氾濫する今日、今更なーって感も強い。
 イスラミックステートISの蛮行や、その前に17世紀にアメリカ大陸に渡った白人の、先住民を虐殺しまくった野蛮さ、16世紀以降、南米に渡ったスペイン人らの蛮行を思うと、人間はありとあらゆることを平気でやっちゃうもんだという醒めた認識からすると、この物語くらいは、それがどうしたという感じ。
 日本軍も、戦中、朝鮮や中国大陸でやらかしちゃったしなー。たからこそ、敗戦後、アメリカ軍に占領されるとなると、自分達の蛮行への忸怩たる思いもあり、占領軍たる白人にどんな仕打ちをされるか、その恐怖感は半端じゃなく切迫したものだったろう。むろん、作家がどういう意図でこの作品を書いたかは知らないし、読んで確かめるしかないたろう。

 読んでいる最中には、下記のように書いている:
 
段々、癖になりそう。近未来には、ロボットやIoTなどで、現実のことになりそう。トイレだって、後一歩だし。ただ、本書の胆は、ヤプー(ジャパニーズ)だってことだから、微妙か。とはいっても、サービス残業当たり前、貧富の格差当たり前、民族や宗教差別当たり前となると、現実の一歩手前という感もあるかも。

 読了しての感想は以下である:
 戦中、アメリカ軍の兵士にジャップなどと呼ばれたジャパニーズたる日本人。
 家畜人ヤプーは、言うまでもなく日本人である。
 作家は恐らくは日本人だろう。しかも、戦中の日本軍兵士の蛮行に怒る誰か。日本人(兵士)の中国などでの蛮行を知し、己の出自たる日本人に対し、とことん自己嫌悪している。
 戦後のアメリカ軍のもと、白人らに愚昧なる日本人などはとことん虐待されてしまえばいいという、まさに倒錯した思いがあるように感じられる。
 マゾヒズムの作品だという世評があるようだが、小生が感じるのは、むしろ作家の日本人への嫌悪感だ。

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