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2017/07/26

山野井徹著『日本の土 地質学が明かす黒土と縄文文化』に学ぶ

 今日、親戚の夫妻が来訪してくれた。
 日頃、野菜をもらっているお礼ということで、親戚の料亭で作ったうな重を持ってきてくれたのである。

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← 山野井徹[著]『日本の土 地質学が明かす黒土と縄文文化』(築地書館) 本書の内容案内に、「日本列島を覆う表土の約2割を占める真っ黒な土、クロボク土。火山灰土と考えられてきたこの土は、縄文人が1万年をかけて作り出した文化遺産だった」とある。本書の存在は、『ユリイカ 2017年4月臨時増刊号 総特集◎縄文 JOMON』の中の山野井徹氏著「土からみた縄文文化」で知った。

 作り立て。さすがご飯までが旨い。そのまた返礼ということで、昨年作った梅酒(氷砂糖じゃなく、蜂蜜仕立て)や余ったリカー、お米、お祝い事の際に使う、蓋つきお椀十個セット、畑から取れたてのナス、キュウリ、プチトマトなどをあげた。

 今日はほぼ週日の強雨だったが、昼過ぎのひと時、雨は止まなかったものの、小雨になり、野菜の収穫ができたのは幸いだった。

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→ 久しぶりにヤモリを目撃。外は雨。ヤモリは網戸に張り付いて、何、思う。家の中に入りたいの? 縁側の廊下などに、何かの動物の糞が落ちていた。まさか、天井の隅っこから野鳥が忍び込んだ? などと何者の仕業なのかずっと疑問だった。それが、ある日、SNS友が、それはイモリの糞ではないかと指摘してくれた。そうだったのか! である。だが、なかなかヤモリの姿は見ることが叶わなかった。それが今日、意外な場所で遭遇と相成ったわけである。

 拙稿「クロボク土は縄文人の文化遺産」にて、以下のように書いた:

 縄文人は、自然と和して生きた、などと牧歌的な、しかし、根拠のない、勝手な思い入ればかりが先走りがちな風潮が一部で見受けられるが、決してそんなことはなかったと分かる。
 人類は、自然の脅威と戦い、その中で懸命に生きるすべを探ってきたのだ。縄文人にしても、例外のはずはない。縄文人が1万年をかけて森などを焼き払い、野原にし、ゼンマイなどの食用の植物を<採集>してきたのだ。農耕とはいえないにしても、意図的に自然を都合のいいように作り変えてきた、その現実を思うべきだろう。

 さて、本書(山野井徹[著]『日本の土 地質学が明かす黒土と縄文文化』)を読了して、浅学な小生が言うのも僭越だろうが、丁寧な実証と議論で好感を持つことができた。
 例えば、関東ローム層について、従来は、火山灰層だとされてきたが、実は、ほとんどが火山灰ではなく、様々な起源の岩質をもつ礫が混入しているという。

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← 『ユリイカ 2017年4月臨時増刊号 総特集◎縄文 JOMON』(青土社

 本書の眼目のもう一つは、クロボク土についての見解だろう。
「フィールドワークで必ず見かけるクロボクといわれる表土、普通は火山灰起源と言われている」が、「縄文時代以降の火入れや火災によって出来上がったという説」を提唱している。つまり、「長年の火入れによって土壌中で生まれた微粒炭が、炭化した黒色物質を土壌中に留まらさせる核となっている」というのである。
 ただ、その山焼き・野焼きなどの火入れの目的は、ゼンマイなどを取るためだったということにはやや説得力を欠くように感じた。たとえば、野性の動物を追い払うとか、簡単に平坦地を得るためとか、いずれにしろ、今後の研究の課題だろう。

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