倉橋由美子著の『偏愛文学館』の世界へ
今日はほぼ終日の雨。さすがに外仕事はサボった。
お蔭で読書も進んだ。
← 倉橋 由美子著『偏愛文学館』(講談社文庫) 昨日(金曜日)読み始めて、仕事の暇の徒然に、大半を読んだ。敢えて20頁ほどを残し、帰宅してから読了した。
吾輩は、自分が大学生になって間もないころに出た『パルタイ』、『スミヤキストQの冒険』以来の倉橋ファン。
いや、ファンと呼べるほどフォローしてきたわけではないが、他に、『ヴァージニア』『夢の浮橋』『大人のための残酷童話』などと、日本の作家にしては関心を抱いてきたほう。
ただ、今回初めて知ったのは、同氏が翻訳を結構行ってきたという事実。情けない話だ。これじゃ、ファンとは呼べない。
本書の中で推奨されている作家や作品で、漱石(夢十夜)や鴎外(灰燼)、谷崎(鍵や瘋癲)や内田百閒、上田秋成、中島敦、宮部みゆき(火車)、マン(魔の山)やカフカ、モームやオースティン、サキ、太宰や三島、渋澤竜彦や吉田健一などは、読んだことがあるし、自分の好みとも重なる。
カミユやコクトー、オースティン、カフカ、マン、モームはともかく、ジュリアン・グラック(「アルゴールの城にて」や「シルトの岸辺」)、ジュリアン・グリーン(アドリエンヌ・ムジュラ)、イーブリン・ウォー(ピンフォールドの試練、ブライヅヘッドふたたび)、ロバート・ゴダード(リオノーラの肖像)は、チェックを入れておこう。驚いたのは、今年亡くなったアラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」だが、原作のパトリシア・ハイスミスをべた褒めしていた。そうか、映画の原作ということで、ノーマークになっていた。
本書でも偏愛されている作家・川端康成についても、「山の音」や特に「眠れる美女」は「雪国」と共に繰り返し読んできた。垂涎の書。
以下、改めて本書で取り上げられている作家(作品)を挙げておく:
(まずは、一度ならず読んだことのある作家(作品)群
夏目漱石『夢十夜』 岡本綺堂『半七捕物帳』 谷崎潤一郎『鍵・瘋癲老人日記』
上田秋成「雨月物語」「春雨物語」 『蘇東坡詩選』 トーマス・マン『魔の山』
『カフカ短篇集』 コクトー『恐るべき子供たち』 『サキ傑作集』
川端康成『山の音』 太宰治『ヴィヨンの妻』 中島敦『山月記 李陵』
カミユ『異邦人』 ジェーン・オースティン『高慢と偏見』
(以下は、読んだことのない作家(作品)群):
三島由紀夫『真夏の死』 内田百閒『冥途・旅順入城式』
森鴎外『灰燼/かのように』 吉田健一『金沢 酒宴』/『怪奇な話』
杉浦日向子『百物語』 蒲松齢『聊斎志異』 澁澤龍彦『高丘親王航海記』
ジュリアン・グラック『アルゴールの城にて』 北杜夫『楡家の人びと』
ジュリアン・グリーン『シルトの岸辺』/『アドリエンヌ・ムジュラ』
マルセル・シュオブ「架空の伝記」 ジョン・オーブリー「名士小伝」
サマセット・モーム『コスモポリタンズ』 ラヴゼイ『偽のデュー警部』
パトリシア・ハイスミス『太陽がいっぱい』 宮部みゆき『火車』
イーヴリン・ウォー「ピンフォールドの試練」 福永武彦『海市』
ジェフリー・アーチャー『めざせダウニング街10番地』
ロバート・ゴダード『リオノーラの肖像』 壺井栄『二十四の瞳』
イーヴリン・ウォー『ブライツヘッドふたたび』
← パトリシア・ハイスミス 著『太陽がいっぱい』(佐宗 鈴夫 訳 河出文庫) 珍しく何度も見た好きな映画とは、原作は結末がまるで違うという。これは読まないと。
挙げられている作品は読んだことがなくても、作家のほかの作品は読んだことがある。
ただ、壺井栄の『二十四の瞳』は、倉橋さんが褒めていることで、これは読まないとと思わせられた。
それは、北杜夫の『楡家の人びと』も同じ。ドクトルマンボーものは読んできたが、本作は大作でもあり敬遠してきた。
蒲松齢の『聊斎志異』は、父の本なのか、自分が昔買って、そのまま放置してきたのか、定かではない。
蘇東坡の漢詩は好きで、折々読んできた。蔵書はあるはずなので、なんとか、折を見て読み返したい。
倉橋の偏愛読書録を読んだことで、文学の世界を広げるいい機会になった。
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