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2017/07/19

古事記神話と火山学・地球物理学

 富山(北陸)はまだ梅雨が明けない。雨は降らない。畑に水をやらないといけない。
 雨水を貯めるポリバケツを雨樋の下に設置。ひと雨降ると、70リットルのバケツがすぐいっぱいになる。水道の水を使わずに済む。
 一昨日、畑の野菜はたっぷり収穫したのだが、一日置いた今日、もう、笊にいっぱいの野菜ができていた(収穫し、親戚にあげた)。

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← 蒲池明弘著『火山で読み解く古事記の謎』(文春新書) 「7300年前、日本列島を襲った巨大カルデラ噴火を縄文人が記憶していたのだとしたら――地質学データ、文献、足で集めた情報をもとに古事記神話の謎に挑戦する意欲作!日本列島の原風景、日本人の意識の「古層」を探る旅」だとか。今朝、読了。昨日は仕事が暇で、150頁以上も読めてしまった。

 なかなかおもしろかった。特に「古事記」は神話の書でもある。伝説が数年から数百年の話を引きずるとすると、神話は短くても数百年、あるいは本書が語るように、日本各地の火山による被災の記憶であるなら、数千年(一万年も)ほどの過去の記憶をも引きずっているはず。

 縄文の世以降で、日本列島に生きる人々に何が記憶として厳しく刻まれたか。それはやはり、火山(噴火)であり大地震(津波)だろう。何故に大地が鳴動するか昔の人にわかるはずもなく、神(という呼称を便宜上使っておくが)の怒り以外に原因が思い浮かぶはずもない。

 九州南部の火山群、出雲や諏訪、そして驚いたことに熊野も、火山の記憶(痕跡)が古来より人々の脳裏に刻まれてきたとか。また、熊野(に限らないが)の山間に突如出現する巨大な岩。なぜ、そんなところに人の手では運べるはずもない巨岩が鎮座しているのか。それはまさに畏怖の対象でしかなく、信仰の対象になるしかない。さて、縄文の世が弥生へと移り、列島の主役も大陸系の人々に変わった。

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← 寺田寅彦著『神話と地球物理学』(一九三三年 青空文庫) 「神話と地球物理学 - 古事記、火山、秀吉──歴史を幻視する本 桃山堂」 寺田寅彦は、火山神話論の元祖。本書の要点は、以下:

国産み神話(島々の出現)は、海底火山の噴火あるいは地震による隆起。

スサノオの乱暴狼藉は、火山の噴火。

ヤマタノオロチは、溶岩流。

岩戸神話の常夜は、火山灰による暗闇。

オオナムチを焼いた「赤猪」は、火山弾


 列島で勢力(権威)を持つには、遠い古より言い伝えられ、もはや伝説どころか神話に成り代わっている、だけど、先住の人々の脳裏に刻まれている火(火山の噴火)への恐怖と畏怖の念は何より心を支配している、それだけに、列島電新しい支配者となるには、神話と化している人々の畏怖の念を、彼ら渡来の人々が慰撫し得るような宗教的機構を作り上げるのは最低限の務めだった。地を裂き、山を吹き飛ばし、火の川(溶岩流)を堰き止める、人々の守り手になるのは最重要課題だったわけだ。

 神武天皇の東遷も、ヤマトタケルの戦いも、その戦いの舞台やルートを検討すると、遠い火山の記憶の残る地に関連することが分かる。
 風景どころか地形をさえ一気に変貌させてしまう火山で古事記の神話や新しい支配者らの統治の手法を読み解くというのは、正統な学会には受け入れられないだろう。ただ、トンでも説というには、説得力はある。話として、面白い。何より古事記を読み解くに際しての、視野のスケールが違う。

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← 『火山と日本の神話──亡命ロシア人ワノフスキーの古事記論』(アレクサンドル・ワノフスキー、鎌田東二、野村律夫、保立道久ほか著 桃山堂編) 「ロシアの革命家で日本への亡命者、早稲田大学の教師ワノフスキーは古事記神話の根幹に火山の記憶を見出し、戦後まもなく『火山と太陽』を出版しました。今回、火山神話論の先駆的論考として密かに注目されていたこの本を復刻したうえで、分野の異なる三人の大学教授に読んでもらい、解説と感想をまとめてもら」ったとか。

 こうした説を唱える先駆者は、例えば、亡命ロシア人である、アレクサンドル・アレクセビッチ ワノフスキーで、同氏ら著の「火山と日本の神話」( 桃山堂)が本書でも大いに参考になったとか。
 そういえば、本書でも述べられていたが、寺田寅彦も古事記の神話に関し、火山という視点を幾度となく述べていたとか。さすが科学者は視点が違う。「古事記」を読み解くにも、火山学など科学の知見を導入するのが不可欠になるだろう。まあ、だまされたと思って読んでみるといいかも。

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