フンボルトを再評価する(上)
久しぶりの連休。最初の日、雨で外仕事ができなかったこともあり、休息と読書にいそしむことができた。
検診があり、本を多数買い、庭や畑仕事に精を出し、フンボルトなどの本を読んだ。
← アンドレア・ウルフ[著]『フンボルトの冒険 自然という<生命の網>の発明』(鍛原多惠子[訳] NHK出版) 「19世紀前半、ナポレオンと並ぶ絶大な影響力をもち、胸躍る冒険と緻密な観測で世界中を魅了した稀有な科学者フンボルト。その目は、植生や山肌の細部を読みとると同時に、自然と人間のあらゆる現象の連鎖を鋭く見抜いた。科学を起点として、政治、経済、歴史等あらゆる分野を俯瞰し、「地球はひとつの生命である」と唱えたのだ」。
アンドレア・ウルフ著の『フンボルトの冒険 自然という<生命の網>の発明』を読了した。
日に数十頁ずつ読んできたのだが(読み急ぎたくなくて)、最後は150頁ほどを一気に。
久々の快著だった。フンボルトの名前は、ドイツに限らず欧米の本を読むと、随所に出てくる。読むほどに、けた違いの人物だったと分かる。その割に知名度が低いのは、彼がドイツの生まれだったことが大きいとか。つまり、第一次、第二次世界大戦でドイツが列強側の敵国だったため、貶めるか無視するかしたから。大戦の前までは、フンボルトの名前は欧米では高かったのだ。
→ アンズ酒、セッティング完了。腹積もりでは、五リットル瓶にたっぷりのはずだったのだが。量が少ないので、氷砂糖じゃなく、やや贅沢にハチミツレモン。秋には楽しめるかな。
本書の前半は、伝記なのだが、かのインディージョーンズの物語が児戯に思えるほどの、南米やロシアなどの探検と研究調査の旅。そこを読むだけでも、本書を手にする意味はある。だが、本書の本領(フンボルトの凄さが分かるの)は、後半かも。
フンボルトが影響を与えた人物をほんの一部、列挙すると、かのゲーテ(「ファウスト」のメフィストフェレスのモデルになったとも)、ダーウィン(フンボルトは、ダーウィンの進化論の先駆者とも。ビーグル号での探検研究の船旅にもフンボルトの本を持参した)、「森の生活」のヘンリー・ソロー、アメリカの大統領であるトーマス・ジェファーソン、南米をスペインの植民地主義から解放したシモン・ボリバル、自然保護の父ジョン・ミューア、「生態学」の概念を生み出したエルンスト・ヘッケルなどなど。
ゲーテは、「本を八日間読んでも、フンボルトから一時間で教わるより得るものは少ないだろう」と言った。
フンボルトと出会った時にはすでに、『植物のメタモルフォーゼ』を書き上げていたゲーテだが、科学という観点では、磨き切れていないものを感じていた。それが、フンボルトに出会って、芸術家としても科学者としても、再び火を灯されたと感じた。
同時にフンボルトもゲーテから植物について学ぶものがあったし、刺激されることもあった。
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