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2017/06/03

「元素をめぐる美と驚き」 錬金術という前史

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← ヒュー・オールダシー=ウィリアムズ著『元素をめぐる美と驚き  周期表に秘められた物語  上・下』(安部 恵子, 鍛原 多惠子, 田淵 健太, 松井 信彦訳  ハヤカワ文庫NF ) 「周期表に並ぶ元素には、それぞれが持つ性質ゆえの特異な物語が秘められている。歴史から芸術まで幅広い逸話を紹介する科学読み物」

 食器棚の中のたくさんの食器たち。父母が元気な頃は、食器は酒器も含め各種揃え使っていた。今は棚の中で鎮座しているだけ。いつの日かの活躍を期待して、それとも大車輪だった過去を静かに思い返している? 自分なりに折々食器を変えてみるけど、茶碗蒸しなんて縁はないし、出番のなさそうな食器が大多数。

 特に酒器は出番はないよ。吾輩、酒、呑めないんだもの。幾つかの徳利は、一輪挿しに。喜んでる?不本意? お猪口はどうしよう?醤油などのタレ皿か?

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→ 昨日今日と雨が降ってくれて、水遣りの手間を省け、助かった。ただ、雨風の強弱の振幅が激しすぎて、心配だった。案の定、多少、めげていた野菜が少々。畑を覗いてみたら、キュウリが一本だけ、早くも育っていた。お前、早すぎないか? ま、せっかくなので、収穫し、夕食のデザートに戴きましたよ。

 ヒュー・オールダシー=ウィリアムズ著の『元素をめぐる美と驚き 上・下』を読了した。最後の数十頁だけは自宅で読んだが、あとは、仕事の友として、車中での待機中に少しずつ読んできた。
 科学が題材だが、まさに文系のものも読める、話題豊富な読み物である。

 高校だと、物理化学と総称するが、物理は好きだったが、化学は苦手だった。化学式もだが、実験が怖かったような気がする。

 といっても、受験校だし、そんな危ない実験を授業でやるはずもない。きっと、自分で好きで読んでいた科学(化学)の本で、下手にいろんな薬剤を混ぜたりすると、急に煙がモクモクと立ち上がり、それどころか、急激な化学反応で、最悪ドドーンと爆発もあり得るとか、毒性のガスが発生するとか、そんな中途半端な情報にビビッてしまったのだろう。

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← オリヴァー・サックス著『タングステンおじさん―化学と過ごした私の少年時代』(斉藤 隆央訳、早川書房刊)

 大学生になって錬金術の本を読む機会に恵まれ(フロイトからユングへと関心が移り、当然の流れのように、錬金術の世界に迷い込んだ)、中世から近世にかけて西洋では多くの学者が錬金術に熱中したと知った。かのニュートンすらも、生涯錬金術の研究に没頭したのは有名な話。
 西洋には、錬金術という化学(科学)の前史たる分厚い研究の蓄積がある。周期律表を満たす元素の大半は西洋の研究者が同定した。

 わが日本(東洋)は、その恩恵を明治以降に受けることになる。
 対して、西洋の科学の歴史は試行錯誤の蓄積だし、本書のような本も話題豊富となるわけである。

 小生は、化学実験のうさん臭さに(自分の無知を棚に上げて)ビビってしまって、高校以来、ずっと敬遠してきたが、世の中、吾輩みたいな臆病者ばかりじゃない、ヒュー・オールダシー=ウィリアムズのように果敢にその世界に飛び込み魅了される人物もいるわけである。

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→ 裏庭のバラがかなり開花してきた。例年、咲いてくれるのだが、今年は一際見事な気がする。手前味噌な言い分をつのると、先月までに枝分かれした茎の何本かを剪定したお陰かなと思っている。緑ばかりが濃い裏庭に、貴重な紅い薔薇がいいアクセントになっているよね。ただ、足元のドクダミが目障りだ。といっても、目くじら立てるほどじゃないか。白い小花も(臭いさえ気にしなければ)可憐だしね。

 化学というと、オリヴァー・サックス著の『タングステンおじさん―化学と過ごした私の少年時代』を思い浮かべてしまう。
 わが愛読書である。サックスの諸著は二度三度と読んだが、中でも本書は哀惜の書。
 この本については下記のような感想を書いたことがある(拙稿「レイチェル…島尾敏雄…デュ・モーリア」より):
 

 本書を読んで、化学の楽しさを存分に味わった。著者のサックスにはオカルト趣味も錬金術趣味もないが、時代が時代だったら、その世界にドップリ浸っただろうことは間違いない。
 とにかく著者は、ありとあらゆることをやってのける。失敗も数限りない。仮に今の時代だったら、危険な少年、マニアックなオタク少年として、必ずや少年院か精神科の病院に押し込められるに違いない。中学生になったかどうかの頃には親に公認で、知り合いに少女の死体を提供されて、その脚を解剖している(ちなみに、この解剖などで医学の道は断念したとか。解剖に深入りしすぎて、本物の生きた女性を愛せるようになれなくなるのではと、心配になったというのだ)。
 それにしても、精神科の医師であるサックスが、物心付いた頃から、ここまで徹底して化学(科学)少年だったとは、意外だし驚き以外の何ものでもなかった。

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