クロボク土は縄文人の文化遺産
この二か月ほど、ずっと車中でベートーヴェンのピアノ曲集を聴いていた。と、ラジオからアバの曲が流れてきた。よし、そろそろCDをチェンジしてアバだ! と、入れ替えたはずが、なぜか、エンヤの曲が流れてきた。どうやったら、アバとエンヤを間違える? でも、エンヤもエンヤけど。
← こちらにはトウモロコシ。野鳥に喰われないよう、ネットを全面に。トウモロコシに挑戦して3年目。今年こそ収穫だ!
相変わらず、『ユリイカ 2017年4月臨時増刊号 総特集◎縄文 JOMON』(青土社)を牛歩とばかりに、日々、20頁ほどずつ読み進めている。
縄文特集であり、論文集。どの論考も面白いし、いずれの文も取り上げてみたくなるが、今日は、山野井徹氏著の「土からみた縄文文化」について少々。
山野井徹著の『日本の土 地質学が明かす黒土と縄文文化』を参照させてもらう(小生は未読なのだが)。
出版社の内容案内によると、「30年に及ぶ地質学の研究で明らかになった、日本列島の形成から表土の成長までを、風成層の堆積と、地すべり・崩壊などの侵食との関わりで、考古学、土壌学、土質工学も交えて解説する」という本。
→ 画像は今春、撮影した。海越しの立山連峰という絶景で有名な雨晴海岸ではなく、富山市の海水浴場である岩瀬浜の光景。以前の富山だと、冬はもちろん、春も海辺からは立山連峰の勇姿をこんなに鮮やかに愛でることはできなかった。しかし、今は違う。冬も春もこうした光景に恵まれるようになってきた。となると、今までのように海水浴シーズン前に浜辺を清掃するのではなく、一年を通じて整備し、観光客をよぶべきだ。
『ユリイカ 2017年4月臨時増刊号 総特集◎縄文 JOMON』との関りで言うと、「日本列島を覆う表土の約2割を占める真っ黒な土、クロボク土。火山灰土と考えられてきたこの土は、縄文人が1万年をかけて作り出した文化遺産だった」というのがポイントである。
「クロボク土の成因から山焼き・野焼きにまで到達し、縄文文化との関係にまで言及している。著者は、山焼き・野焼きを縄文時代の農耕の萌芽であると指摘し」ている。
← 山野井徹[著]『日本の土 地質学が明かす黒土と縄文文化』(築地書館)
縄文人は、自然と和して生きた、などと牧歌的な、しかし、根拠のない、勝手な思い入ればかりが先走りがちな風潮が一部で見受けられるが、決してそんなことはなかったと分かる。
人類は、自然の脅威と戦い、その中で懸命に生きるすべを探ってきたのだ。縄文人にしても、例外のはずはない。縄文人が1万年をかけて森などを焼き払い、野原にし、ゼンマイなどの食用の植物を<採集>してきたのだ。農耕とはいえないにしても、意図的に自然を都合のいいように作り変えてきた、その現実を思うべきだろう。
縄文土器も、芸術性を忖度する前に、生きるための糧を得るための道具性をまずはとことん理解すべきだのだろう。
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