子を思う親の心に偽りはない
釜谷武志著の『陶淵明 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典』を読了した。
内容案内には、「自然と酒を愛し、日常生活の喜びや苦しみをこまやかに描く一方、「死」に対して揺れ動く自分の心を詠んだ田園詩人」とある。
本書の著者によると、陶淵明は、詩人として知られるようになったのは唐代半ばになってからだという。
それまでは隠者として知られるのみだったとか。
→ 表の庭に、アンズ、モモ、ナシなどを植えた。来春には開花するかも。実はやがて……。
なぜか。それは彼があまりに身近な題材を詠ったから。そういった漢詩は唐以降になってからふつうにみられるようになった。つまり、彼は時代に先駆けすぎていたのだ。
そんな彼は、漢詩としては平明な表現に努めた。農村生活などの身近な話題を詩にしたのだった。
すでに彼については話題の遡上に載せている。
一部、転記しておく:
「時に及んで当に勉励すべし歳月人を待たず」という言葉がある。吾輩も仄聞したことはある。この一文の中の「勉励」は、「刻苦勉励」に絡められ、懸命に勉強すべしと理解されている方が多い(あるいは吾輩がそう思い込んでいただけなら、ごめんなさい)。本書によると、この言葉は陶淵明の言葉。で、本書の著者によると、彼の詩の中でこの言葉(漢詩)を通じ、「わかいときにこそ、大いに楽しみ遊びなさい」と言っているのだとか。さあ、若い人よ(若くないひとも)、勉励してくださいね。
← 釜谷 武志著『陶淵明 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典』(イラスト 谷口 広樹 デザイン 谷口 広樹)
本書を読了した。感想よりも、彼の漢詩を一つ、紹介する:
「命子:陶淵明祖先を語る (壺 齋 閑 話)」から漢詩を転記する:
厲夜生子 厲 夜 子を生み
遽而求火 遽にして火を求む
凡百有心 凡百 心有り
奚特於我 奚ぞ特に我におけるのみならんや
既見其生 既に其生を見れば
實欲其可 實に其の可ならんことを欲す
人亦有言 人亦言へる有り
斯情無假 斯の情 假無しと
その日本語訳を本書より示しておく:
らい病患者が夜に子を生むと、
あわてふためいてあかりを探したという。
子を思う心はだれにもみな備わっているもので、
自分だけがそうなのではない。
子が生まれたのを見た以上、
今度は優れた人になってほしいと願うのである。
人々はよく言う、
子を思う親の心に偽りはないと。
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