庭掃除のご褒美は
ナボコフの雑文集(なんてものじゃなく、小粒な宝石の山)である『ナボコフの塊』を読み始めている。うっかり者で浅薄者の小生、「なぼこふのたましい」と読み飛ばしてしまったが、無論、「ナボコフのかたまり」(!)である。
そんなドジは常の事なので、別に嘆くこともないが、その魂とか塊とか、つまり、鬼偏の漢字が気になった。拾い上げてみると:
傀…嵬…巍…愧…瑰…隗…餽…魄…魃…魍…魑…魎…魘 他にも、媿廆櫆瘣磈聭蘶鬽魈魋魕魖 さらに、溾犩藱螝褢謉騩鬾鬿魀魆魉魊魐魒魓魗魙 目がくらくらする。
こういう漢字の数々を見てみると、昔の中国の、漢字を作り出した人(たち)って凄い。いうまでもなく、漢字一つ一つに意味があるんだから、気が遠くなりそうだ。
→ 庭には、もう2週間も梅の花が満開。ただ、庭の入口付近にある梅の老木は、葉っぱの1枚も生えてこないことが淋しい。
諏訪 哲史著の『偏愛蔵書室』を読了した。
内容案内によると、「プルーストに酔い痴れ、谷崎を跪拝し、ジャン・ジュネに惑溺する―著者の文学人生を運命づけた偏愛の小説・詩・漫画100冊を語る文学的自叙伝」だとか。
「諏訪哲史 - Wikipedia」によると、「1969年10月生まれ」の「愛知県名古屋市出身。幼少期には宮城県仙台市で5年ほど過ごした。小学校時代から1週間に10冊の本を読んだ」とか。
小生は、1972年の四月から78年の三月まで、仙台で学生時代を送っていた。もしかしたら、仙台の町の何処かですれ違った…かも。
← これはさすがに、山茶花ですね。
そういえば、今、車中などでの待機中に『仙台ぐらし』(集英社文庫)を読んでいるのだが、この著者の伊坂 幸太郎も、仙台に所縁のある作家である。
1971年5月生まれの伊坂 幸太郎だが、大学は、東北大学法学部で、且つ作家専業になってからも、仙台在住だという。
ちなみに、同氏が在籍していた「時期の東北大学には、薬学研究科に瀬名秀明、文学研究科に佐藤賢一、理学部に松崎有理と円城塔など、後に小説家として著名になる人物が在学していた」とか(「伊坂幸太郎 - Wikipedia」より)。
← 諏訪 哲史【著】『偏愛蔵書室』(国書刊行会)
いずれにしても、小生が仙台に在住していた頃とは、時期的に重ならない。でも、東北大関係者にも錚々たる作家たちがいるってことが嬉しいやら誇りやら。
まあ、本書について感想を書くのもおこがましい。
ここでは、拙稿から若干の抜粋を示しておく。幾分かは諏訪的批評の世界と通底するものがあるのでは、なんて:
我が身を徹底して破壊し、消尽し、蕩尽し、消費し尽 くして初めて、己は快楽と合体しえる。我が身がモノと化する ことによって、己は悦楽の園そのものになる。言葉を抹殺し、 原初の時が始まり、脳髄の彼方に血よりも赤い光源が煌き始め る。宇宙の創始の時。あるいは終焉の祭り。
こんな時、物質的恍惚という言葉を思い出す。この世にあるのは、物質だけであり、そしてそれだけで十分過ぎるほど、豊かなのだという感覚。この世に人がいる。動物もいる。植物も、人間の目には見えない微生物も。その全てが生まれ育ち戦い繁茂し形を変えていく。地上世界には生命が溢れている。それこそ溢れかえっているのだ。
…… ……
自分が消え去った後には、きっと自分などには想像も付かない豊かな世界が生まれるのだろう。いや、もしかしたら既にこの世界があるということそのことの中に可能性の限りが胚胎している、ただ、自分の想像力では追いつけないだけのことなのだ。
そんな瞬間、虚構でもいいから世界の可能性のほんの一端でもいいから我が手で実現させてみたいと思ってしまう。虚構とは物質的恍惚世界に至る一つの道なのだろうと感じるから。音のない音楽、色のない絵画、紙面のない詩文、肉体のないダンス、形のない彫刻、酒のない酒宴、ドラッグに依らない夢、その全てが虚構の世界では可能のはずなのだ。
[言うまでもないが、本稿に限らず、著者名には敬称を略させていただいている。漱石や太宰などに氏やさんを付さないのと同じ扱いである。]
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