水虫やら「性と国家」やら
この数か月、人体の内外に共生する(実際には動植物のほうが生存させてもらっている)、寄生虫を含めた微生物関連の本を読んでいる。ふと、思い出したことがあった。十年以上も前になるが、水虫で悩んでいた。ある本で、足裏に水虫菌の天敵がなく、水虫菌の天下だから治らないのだと。
→ 十年前には、わずかに田圃の雰囲気も残っていた。この翌年には、近隣の方々の畑に成り果てていた。
その本には、田圃など裸足で作業したら治るとも。幸か不幸か我が家にはまだ田圃があった。
当時、東京在住だった吾輩は、例年、五月の連休は、帰省して田植え作業を手伝っていた。
ある年、長靴を使わず、水虫の足のまま、水を張った田圃で田植え作業。すると、すると、すると! 一ヶ月もしないうちに、あの頑固な水虫が治ったではないか!
田圃の中にいろんな菌種がいたんだろう。どんな菌が水虫の敵だったのか分からないが、ホントに治っちゃった。ただの偶然だったのかどうか、真偽は知る由もない。下手すると、水虫どころか、どんな悪性の菌に悩まされる結果に至ったかもしれなかったはずだ。
でも、治ったのは事実なのである。
結果オーライってことでしょうか。
そんなことも、昔、ホームページに書いて遺したのだがそのホームページも消滅してしまった。その断片だけ、ブログに引用してあった:
春先には蓮華草の咲き誇っていた田圃に水を張った中を、裸足になって田植え機を押して歩く。泥田に嵌った足をヌポッと抜いて、また、次の一歩を踏み出す。田植え機をテンポ良く押していかないと、この数年は目印となる線を引いていないので、まっすぐきちんと田植えをすることが出来ない。
土の中には数知れない虫たちが生息している。蛭にも似た虫が脛に張り付いたりする。 でも、数年前、水虫だった足が、泥田に浴したことで、呆気なく直ったのは不思議な体験であった。
農協で準備される青いプラスチックの箱に入った苗を少しずつ田植え機に移して、植えていく。けれど、田圃の端のほうは、どうしても手植えになる。大概、数箱残る苗の塊を手で千切っては、ほんの数本ずつ、それこそ2,3本ずつ植えていくのである。
天気さえよければ田圃の泥は手に生暖かい。土と水と幾ばくかの小さな生物たちの感触を味わう。少なくとも西日本の各地で遠い昔から、田に面して多くの人々が生きてきたのだ。
[「富山と田圃と私」(ブログ「郷里の風景今昔」中に一部転記)より]
← 『性と国家』(北原みのり/佐藤優 対談 河出書房新社)
北原みのり/佐藤優 対談の『性と国家』を昨日一日で読み切った。
日本の「性」がいかに国家に巧妙に且つ徹底して管理されているか、佐藤氏らはこれでもかと語ってくれている。裏も含めアダルトビデオ全盛、同時にロリコンも盛況だが、これらは草食系男子の蔓延と深く通底していることを指摘している。そんな草食系男子ほど、裏ではいかに残虐で自制心が乏しいかも。若者(に限らないが)の関心を政治の現状には向かわせず、不毛な自閉症の世界に閉じ込めておく。国家には都合がいいということか。でも、これは同時に国家の担い手たる若者らの精神的肉体的消耗にもつながっていることを当局は知っているのだろうか。
そうそう、一昨年、日韓の間で従軍慰安婦問題の一応の<解決>を見たが、自分には、あれは、肝心の被害者そして責任者の処断を差し置いての、親分同士が手打ちした、形式的なものに思えてならなかった。この辺りについても掘り下げられていて、共感するところ、教えられるところも多かった。
本書を読んで……特に佐藤氏の言を読んで、欧米にはキリスト教(など)に拠る倫理からの性道徳批判が厳しい(自己批判を含めて)。が日本は、都合のいい時には神頼み仏頼みなのに、日常においては倫理道徳による自己批判をしようにも、その規範意識が成り立ちようがない。つまり、性風俗もどこまで深く溺れていっても、自分では浮かび上がりようがないのだと、痛感した次第である。
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