『ダニエル・デロンダ』いよいよ佳境へ
今年は酉年。なので、大好きな鳥の唐揚げや焼き鳥などは食べないできた。けど、昨日(水曜日)、とうとう食べちったい! コンビニのカウンターで、つい手が出てしまった。
← ジョージ・エリオット (著)『ダニエル・デロンダ〈2〉』(淀川 郁子 (翻訳) 松籟社)
今夜から明日にかけて、北陸も降雪の予想が出ている。今回の寒波は、西日本がメインだが、東北や北陸も影響は避けがたいよう。
またまた雪との戦いが始まるわけだ。これが最後の戦いならいいのだが。
さて、本日、ジョージ・エリオット著の『ダニエル・デロンダ〈2〉』を読了した。
第二巻では、この小説の大きなテーマの一つがユダヤ人問題だと分かって来た(最大とは言わないが)。もっと大きくは宗教的慈悲ということになるが、それをユダヤ人の娘マイラとデロンダという青年(やや理想的に描かれ過ぎているのが鼻につく)との関わりの中で描いている。
今、たまたまD・Hロレンス著の『黙示録論』を並行するかのように読んでいるが、この本もユダヤ人問題とは不可分の内容で、論というより、ある種の詩的狂熱で描かれた宗教論の書である。ロレンスがこんな作家だとは、うかつにも全く知らなかった。
あくまで偶然なのだが、アメリカのトランプ大統領のユダヤ(イスラエル)シフトは露骨である。幹部にユダヤ人が居るし、エルサレムにアメリカの大使館を移すなんて、とんでもないことを言い出している。
今更、ユダヤの陰謀論を持ち出すつもりはないが、こんなことをやるから、ユダヤ人(イスラエルやアメリカのユダヤ偏向的傾向)が嫌われる。一部の例外を除いて、ユダヤ人は、決してキリスト教にもイスラム教にも和すことはない。この世界の中の徹底して異質な存在者たちは、世界において永遠に諍いの種であり続けるのだろう。
エリオットは、(まだ第二巻を読み終えただけなのだが)ユダヤ宗教への偏見から本書を書いているわけではなく、ヨーロッパの社会における宗教的闘争の深甚さと根深さを描いているのだろうか。まあ、先を急いじゃいけないね。
→ Tom Hooper (監督)『Daniel Deronda 』(Hugh Dancy (出演), Romola Garai (出演), DVD BBC Warner) さすがイギリスの作家ということで、テレビドラマ化されている。「Daniel Deronda by Tom Hooper|★アリスの英文学日記★」で、このドラマのストーリーが分かる(あくまでドラマ上の)。ここでも分かるように、出自がユダヤ人であることの、生きる困難がいかにもエリオット風、ドラマの中でも綿密に描かれていることが分かる。
ちなみに、ジョージ・エリオット自身は、少なくとも「少女時代は敬虔な福音主義者」だったとか(「ジョージ・エリオット - Wikipedia」参照)。
ただ、「主知主義の哲学者であったチャールズ・ブレイを知り、彼らとの交友を通じて宗教観の動揺を経験」したという。どういった動揺だったのか。さらに、「1846年、ダーフィト・シュトラウスの『イエス伝』を翻訳刊行」したという。少なくともユダヤ教の影は見られない。
さて、物語も第三巻に入って、いよいよ佳境。ドラマも急展開の予感。今日から第三巻を読んでいく。
[ジョージ・エリオットについては、本ブログで何度も扱っているので、参照する記事はリストアップしない。]
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