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2016/10/20

民俗学のテーマは、山奥の村にだけ転がっているのではない!

 数日前、予約した本を引き取りに行った。ついでだからと、店内を物色していて、「雨の自然誌」と共に衝動買い。民俗(学)関連の本は好きで折々読む。柳田や宮本などなど。筆者は高知の方で、海も近ければ山も近く、峠道のような場所や由緒あるお寺にも恵まれている。

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← 常光 徹 著『折々の民俗学』(河出書房新社) 「民俗学のテーマは、山奥の村にだけ転がっているのではない。街場の日々の話題も丁寧に採集した、四季折々の暮らしの民俗学。「高知新聞」好評連載完結。貴重な「真覚寺日記」の紹介も」といった本。

 子供の頃は、一層、自然が豊かだったようだ。翻って、我が富山市(の中心街から遠からぬ場所)はどうだろう。田圃は疎らになり、畑も少なく、屋敷林も昔ほどにはない。あっても、ブロック塀に囲まれていて、中がうかがい知れない。塀の上から首を出している樹木に雰囲気を想像するだけ。

 富山は、富山駅を中心に、路面電車を走る界隈を中心にコンパクトシティを標榜している。富山駅を降りた路面電車に沿って、ビルやマンションが商店、飲食街が立ち並び、並木道も幾筋も交差していて、遊覧船までがあって、賑わうかのような町作りが進められている。観光客らの評判は、綺麗な町ね! というものが多い。

 綺麗と言われて困ることはないが、ある意味、中身が薄いということを言外に含んでいるようで、なにか忸怩たるものを覚える。これだけ、中心街を都会風に作りたてても、付け焼刃であって、夕方のラッシュアワーが過ぎると、一気に寂れた感が漂ってくる。町一番の繁華街の(はずの)商店街ですら、夜の九時を過ぎると、歩いている人は疎らになる。

 人影が少ないと、尚のこと、賑わいを求める人は来なくなる。富山市の進めているコンパクトシティ政策は、要するに、日本で進む東京一極集中を、まさに富山という地方で、富山駅周辺への一極集中というまさにコンパクト版を行っているに過ぎないと思う。

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→ 知り合いが、立山の称名滝へ。落差は日本一。十年以上前、自分も父母らと一緒にバス旅行の形で行ったけど、雨でボヤーとしか見えなかっただけに、うらやましい。

 富山県(や富山市)の人口を富山の中心街に集める一方、郊外の人口密度は一層、低くなっていく。山が自慢の富山なのに、里山はどうするんだ、駅から駅周辺や観光地を見る人に、薄っぺらな町作りを見せている一方で、山間地に取り残された人々は、一層、車だけが頼りの、孤立した寒村が増えていく一方ではないか。

 しかも、富山市ですら、人口が減る一方なのだ。

 ちょっと本書の中身から離れてしまった。ただ、本書のテーマでもある、「民俗学のテーマは、山奥の村にだけ転がっているのではない」という言葉に過剰に反応しただけである。

 富山市の中心街は、坂もなく、樹木でいっぱいの公園もなく(街路樹はあるけど)、由緒ある神社仏閣も乏しい。地元の人間は、車でちょっと走れば、山間部などへ行けるし、いやっというほど、森も林も田圃もある、ということだろうが、駅の周辺に森がないのは、町の印象を平板なものにする。

 平板な印象とは、物語性やドラマ性が乏しいということである。何処かの街角を曲がった途端、意外性のある区域に遭遇するとか、坂道を歩くとブラインドコーナーの先に思いがけない、想像力を掻き立てる館や瀟洒なマンションへの門に行合うとか、池があるとか、そんな陰影が乏しいのである。

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← もっと近くで称名滝(しょうみょうだき)を! 「称名滝|観光スポット|とやま観光ナビ」など参照のこと。落差日本一なのに、それほど有名でないのは、信仰の対象でもあるので、これまであまり宣伝に力を入れてこなかったから。

 陰影とは、その一角に何かの昔話が残ってるとか、歴史的ドラマとの関わりがあるとか、何か得体のしれない世界があるような気がするとか、何かしらのドラマ性だと思う。考えてみると、富山市の中心部は、空襲でほぼ全焼、全滅し、戦後、やっとのことで復興したもの。なので、戦争で過去と断ち切られてしまった。我が家もだが、戦争直後、一旦、更地になってしまって、戦前との繋がりが見えなくなってしまった、この事実が重いのかもしれない。

 関係者もだが、市民らも、賑わいを取り戻そう、創出しようとあれこれと工夫し、努力している。観光の目玉を作ろうと、それはそれは頑張っている。面白い町になるよう、自分だって何かしら協力したいと思う。アスファルトやコンクリートで直下の地面とは(田圃や畑を除くと)繋がりが持てないでいる。江戸時代とは言わないまでも、戦前までの祖先が歩いただろう地面にさえ、立つことができない。あったかもしれない(山間のほうには残っていたようだが)昔話の世界とは、どうやって繋がりを持てばいいのか。

 ちなみに、駅から車で十数分のところに、小説の舞台にもなった、雰囲気の在りそうな坂道の続く一角があるのだが……:「無言坂…早く昔になればいい
 富山大空襲については:「富山大空襲と松川 – 富山観光の定番・松川遊覧船へようこそ!!(富山観光遊覧船株式会社)」など。

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2016/10/18

6年前の水

 家には電動給油ポットがあったが、親戚の者がこれは電気代がバカにならないと言われ、ビニール袋をかぶせて封印。でも、昨夜、ペットボトルのお茶を電子レンジで温めるくらいなら、ポットでお湯を沸かしてお茶を飲んだほうが美味しいかなって思った(暖房にもなるし)。

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←  レイ・カーツワイル[著] 『シンギュラリティは近い [エッセンス版]  人類が生命を超越するとき 』( NHK出版[編] ) 「未来学者として技術的特異点の到来をいち早く予見し、人工知能(AI)の世界的権威として現在はGoogle社でAI開発の先頭に立つレイ・カーツワイル。彼が世界に衝撃を与えた名著『ポスト・ヒューマン誕生』(2007年小社刊)のエッセンスが一冊に! AIが人類の知性を上回り、私たちは生物の限界を超えてついにシンギュラリティへと到達する──」といった本。知能もだが、人間の肉体も、血液のみならず、内臓も脳も何もかもが人工のものに変えられていく。肉体は不滅となり、原理的には死がなくなる可能性も。気になる皮膚(感覚)さえも、人工の物で代用可能となる。食べる楽しみや、Hの感覚はギリギリまで人間は手放さないかもしれない、という懸念にも答えている。

 それで、電気ポットを引っ張り出したんだけど、なんと、水が入っていた。中身を空っぽにしないで仕舞っていた! 当然、水には虫の死骸やら、赤さびやらで汚れきっている。それはそれとして、中の水は6年前の夏の水なんだなって、妙な感慨を抱いた。その夏、父母が亡くなったのだ。

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→ 一昨日訪れた富山県内の某所。柿の栽培集荷で有名な地。ここに至る道がなかなかのドライブコース。ライダーだったかつての自分だったら、ツーリングに行っただろうなー。まだ知らない素敵な林道がいっぱい。もっと県内を知りたいな。

 今朝未明、奇妙な夢で目覚めた。夢に、あの日本ハムの二刀流の大谷選手が! どうやら、ファンサービスをしているらしく、スタンド脇のグランドでキャッチボール……遠投を披露している。私はグラウンドの三塁とホームペースのライン近くに立って見物している。

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← シンシア・バーネット 著『雨の自然誌』(東郷 えりか 訳 河出書房新社) 「雨という身近な自然現象を、惑星・地球科学から、考古学や歴史・文化・文学にいたるまで、きわめて幅広く、細部と深淵を解き明かす画期的な名著。環境問題を背景に、現代の問題も探る」といった本。日本の雨にも言及されているが、主にアメリカなどが視野の中心。雨を情緒的に捉える傾向は薄い。むしろ、(古代以来、特に近年の)人間活動と気象変動との関連に問題意識の焦点が合っているようだ。本の題名から、往年の名著である本書を連想してしまった(但し、邦題は訳者らによって命名されたものだが)。何とか読み返してみたいものだ。

 大谷選手の投げたボールが、暴投気味になり、こっちのほうへ飛んできて、何かにぶつかり、スタンドの塀のほうへ跳ね返っていく。私は、大谷投手の投げたボールを拾うチャンスが一瞬、生まれた。が、自分には拾う勇気が出ず、突っ立ったままなのである。

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← ライアル・ワトソン 著『風の博物誌 上・下』(木幡 和枝 訳 河出文庫) 「風は地球に生命を与える天の息である。“見えないもの”の様々な姿を、諸科学・思想・文学を駆使して描き、トータルな視点からユニークな生命観を展開する、“不思議な力”の博物誌」といった本。上掲の本の題名から、往年の名著である本書を連想してしまった(但し、邦題は訳者らによって命名されたものだが)。

 ああ、目の前のチャンスをみすみす見逃してしまった……またも……というところで目が覚めたのだ。  [なぜ、夢に大谷選手が現れたのか。球速165キロを叩き出した彼に注目しているのは私とて例外じゃない。それにしてお……もしかして、タイプ? ただ、大谷投手のボールは、暴投じゃなく、意図的なものを夢の中でも感じていたのは確か。] 

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