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2016/11/07

ヴァギナというと「泉」を想う

 今日も快晴。日頃、お医者さんに運動不足を幾度も指摘され、もっと歩きなさいって言われている。でも、その前にやることがいろいろ。
 というわけで、やらなきゃいけないことの一つとして、庭木の剪定に午前に1時間、午後にも2時間やって、汗だくに。作業後のシャワーが気持ちいい!

9784309463513

← キャサリン・ブラックリッジ 著『ヴァギナ 女性器の文化史』(藤田 真利子 訳 河出文庫)

 それにしても、富山市議の補選。投票率、26%程度だって。あんまりだ!
 来年には、今の市議たちの改選が待っている。つまり、今回の補選の当選者は数か月の任期だということ。
 ホント、補選の選挙経費の一億円余りは、辞任した議員たちに払ってもらいたいよ!

 庭仕事のあとは、ご褒美じゃないけど、読書。 J・M・クッツェー著の『サマータイム、青年時代、少年時代──辺境からの三つの〈自伝〉』や、『ヴァギナ』に続いて読み始めた、宝賀寿男著の『物部氏―剣神奉斎の軍事大族』などを楽しむ。

 さて、昨日、キャサリン・ブラックリッジ 著『ヴァギナ 女性器の文化史』を読了した。
 キャッチコピーが「誰もが生まれてきた あの場所の全貌」だって。

 本書を読むのは二度目。最初は、単行本で、刊行直後に入手し一気に読んだ。

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→ ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル作「泉」 (画像は、「泉 (絵画) - Wikipedia」より) ヴァギナというと、いや、女性というと、その豊穣さから即、この作品を連想したよ。

 十数年ぶりに文庫版が出たので、今回は、じっくりゆっくり読んだよ。それだけ内容が濃い。過日、メノ・スヒルトハウゼン著の『ダーウィンの覗き穴:性的器官はいかに進化したか』を読んで、男女の性器の内外の構造の精緻さ、雌雄共の生殖へのあくなき生存戦略に感動した。そうした最新知識を元に、本書を改めて味読したくなったのだ。
 微妙で繊細な分野の本、表立ってはなかなか話題の俎上には載せづらい、だけど、とても大切な話題だろう。

 ただ、本書の結論部にやや違和感を覚えた。過去、数世紀の間(いや、ずっと前から)、ヴァギナは性的快感と生殖になんの役割も果たさず、単なる精子を受け取る容器だという考え方が一般的だった。この見方が間違っていることを本書が証明できた」と語っているのは、いい。
 だが、著者はさらに、「ヴァギナから子宮にいたる生殖器あ、精子を運び受胎した卵子を育てるだけの単なる入れ物ではなく、精子の選別や受胎にもっと積極的な役割を果たしている」と強調している。

Sex

← メノ・スヒルトハウゼン【著】『ダーウィンの覗き穴――性的器官はいかに進化したか』(田沢恭子【訳】 早川書房) 拙稿「ダーウィンから痴女へ!(上)」や「ダーウィンから痴女へ!(下)」など参照。

 これだと、例えば、レイプなどで望まざる妊娠という結果に至った場合、裁判などで、(加害者を弁護するような)悪徳弁護士などは、こうした最新の学説を援用し、妊娠に至ったのは、母体であるアナタ(の生殖器)が相手(加害者側)の精子を受け入れたからだ、などと強弁する可能性があるのではと懸念されるのである。結論部は、もう少し、雌(特に人間の女性)側の、生殖器の積極性について、精緻な議論と研究が必要と思われるのだ。

 どうせ、文庫版を出すなら、最新の研究成果を加味した増補版にしてほしかった。それだけ、男女共に読むに値する本だと思うのです。

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