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2016/11/24

経済全般についての認識

 2016年度は、昨年3月14日の北陸新幹線の金沢駅までの延伸開業効果が案の定、薄れていくのを実感する一年であった。杞憂であって欲しいと思っていたのだが、案の定と言うべきか、金沢(駅)の一人勝ちの結果に終わってしまった。富山県も善戦はしたのだが、立山黒部あるいは小矢部など一部の地区を除くと、富山市を含め、ビジネス客はともかく、観光客については、期待したほどの集客効果はなかったようである。

 富山駅の新幹線駅舎は開業に間に合ったものの、路面電車の南北接続など、今もって工事中の現状が、観光客に不便をもたらした面があったのかもしれない(二度と富山駅には来ないという声を何度となく観光客から聞いた)。それ以上に、観光面の掘り起こしなどがまだまだ十分ではなかったとも言えそうである。むしろ、富山県人は観光好きな特徴があるようで、東京や長野など、県外へ出ていく人が多かったとも聞く。ある意味、富山県は観光に関しては、これから伸びしろがあると(期待を込め)考えるべきなのかもしれない。地道な努力の継続がまだまだ必要だろう。

 経済に関しては、アベノミクス効果は、予想通り、期待外れに終わっている。黒田日銀総裁は、任期中の物価上昇率2%の達成は諦め、退任後に実現すれば…という、無責任な発言をしている。地方創生という掛け声は勇ましかったが、むしろ、地方が危機感を以て自ら主体的に地盤沈下を避ける方策を考えるべきなのだろう。台湾など外国人の集客に力を入れるなど、観光面での工夫の余地はまだまだありそうである。あるいは、構造改革は緒にもついていない。首相自ら音頭を取っての賃金アップの試みも、実現する望みは薄いし、仮にあっても大企業に留まるのは歴然としている。

 安倍政権が固執しているTPP(環太平洋経済連携協定)も、トランプ次期大統領が来年1月20日の就任日に離脱を通告すると明言したことで、風前の灯火状態となっている。日ロの北方領土に絡む平和条約交渉(領土問題)も、ロシアのプーチン大統領から肩透かしの目に遭いそうである。ベトナムは日本の原発輸入計画を撤回する案を国会で妥結した。安倍首相肝いりの農業改革も自民党の農林族の反発で暗礁に乗り上げそうな雲行きである。安倍政権はまた、働き方改革に熱心だが、これは非正規労働者らの不安定な就労条件を一層不安定化させる懸念がある。

 一方、安倍政権は、2020年以降の地球温暖化対策「パリ協定」には至って後ろ向きで、TPPに執着するあまり、日本は批准の手続きに出遅れたのは周知の事実である。思うに、「パリ協定」つまりは地球環境問題は、TPPという経済協定より、はるかに影響の大きな問題だと思われる。経済が繫栄しても、日々環境劣化の結果の異常気象などに悩まされていては、生活自体が成り立たない。「一将功成りて万骨枯る」という言葉があるが、経済繁栄成りて地球環境が枯れ果てる、では元も子もないのだ。

 11月22日には、福島県沖でまた大きな地震が発生し、津波が宮城や福島沿岸を襲った。津波が川を遡上する光景を再び目にすることになった。安倍政権は、東日本大震災を経験し、福島原発のメルトダウンという結果を見ても、原発再稼働に突き進んでいる。被害者への賠償額も、結局は国民全部に負担させるよう画策している。原発立地の地元では、万が一に備え、地域住民の避難訓練が行われている。いつかまた同じ悪夢を体験するのではという怯えを抱えてまで、放射能汚染物質の処理に窮してまで、日本が原発推進政策を推し進める必要がどこにあるだろう。

 それより、原発については、廃炉技術の開発研究に特化したほうがはるかに日本さらには世界に貢献できるだろう。原発より再生エネルギーで総ての必要なエネルギーを賄うと、政府が世界に向かって宣言したなら、水力や風力、地熱、波力、太陽光発電など、日本中の企業や技術者、地域自治体などがどんなに沸き立つことだろう。これこそ、一番貴重な日本の構造改革になるのではないか。原発を廃炉にした地域には、再生エネルギー特区に指定するなど、原発に変わるメリットを供すれば、原発賛成派も反対派ももろ手を挙げて歓迎するに違いない。

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コメント

「黒田日銀総裁は、任期中の物価上昇率2%の達成は諦め、退任後に実現すれば…という、無責任な発言」 - 退職金貰って辞めて、後は野となれ山となれですよね、お役人は。自分が社会的に弱い立場にいないとそこまで思いを巡らすことが出来ないのは当然でしょう。

先日ネットで都市集中化構造の記事で富山の例を読みました。詳しくは忘れましたが、中々気楽な田園生活などから自慢の都市交通機関に乗っての町の生活には移り慣れないということで、乗降数は頭打ちとあったと思います。郊外タイプのショッピングセンターへの生活の方が好まれるというのはあるでしょう。人々の動きも物理現象でエントロピーが働きますから必ずしも無秩序に袖を寄せ合うということはないでしょう。

例えばドイツの場合などですと、郊外でも新旧宗教などごとに部落が出来ていて、田舎が無くなるということはないです。むしろ部落の拡大を止めて日本のような市街地拡大になるのを法的に規制する方向にあります。住環境が悪くなるからです。

なるほど年寄りは老人ホームということもありますが、それも街中には出来ませんね。どうも日本で言われているような都市集中高齢化の考え方はなにか間違ったトランスレーションがなされている可能性が大きいです。近所の部落にも日本から公的に学者などが送られてきていたのも間違いの一つかなと思います。

投稿: pfaelzerwein | 2016/11/25 01:54

黒田総裁は、負の業績を残した、無責任な葬祭として歴史に刻まれるでしょうね。というか、さっさと忘れられてしまうか。

都市集中化構造の富山、コンパクトシティということで宣伝し、一部には成功しつつあるとみられているようです。
市街地(特に昔の繁華街だった、デパートや専門店街のある西町から一番町)などに賑わいを取り戻そうとしている。
新型車両を導入した路面電車が人気で、その路線沿いに駅前から繁華街に人や観光客を呼び込もうという魂胆。

要は、観光客に見える表側だけ賑わえばいいってことです。マンションなどをどんどん作って、カネのある高齢者層を中心部に住まわせる(郊外での一戸建てだと草むしりや除雪、防犯が大変だからって)。
でも、高齢者層は、夕方以降は部屋に閉じこもっちゃいますね。
結局、若者はコストコやアウトレットへ車で。遊技場も郊外だし。
高齢者層(一戸建て居住者たち)を郊外から移動させると、里山は一層、寂れていく。
市長は、税金(予算)をばらまくからいいんだと強弁。

つまり、常々言っていることですが、日本が東京などの一極集中現象の一方で地方が寂れるように、富山では中心街に見かけ上の賑わいを作り出す一方、地方(郊外)は寂れる一方という、富山版一極集中現象を現出しているわけです。
人の居なくなった里山は、田圃も畑も荒れ放題、クマやイノシシ、サルの暴れ放題です。

しかも、郊外に残った高齢者層は、移動の手段は車だけど、富山はバス電車などの公共輸送機関が極めて貧弱で、免許返納の圧力が増す中、どう生きればいいのか。

さて、日本は東京への一極集中と書きましたが、舌の根の乾かないうちに全く逆のことを書くようですが、東京にしたって、人口は減るのが目に見えている。
東京の人口が地方と違って増えていたのは、地方から若い人を呼び込んでいたから。
その若い人が地方で減る一方なんですから、東京へ向かう若者も減るってこととは歴然。
要は、日本は人口減少を何とかしないといけない。

アベ政権に限らず、日本人は(客としてはともかく)移民や難民は大嫌い、毛嫌いしているという国民性を土台から変えないとならなくなるでしょう。
そもそも、日本は北方(モンゴルかツングースか)から、大陸(中国や朝鮮半島)から、南方(東南アジアやインドなど)からの渡来人の集合体(寄せ集め)で成り立っていた国。つまり、吹き溜まりの国家なのです。
その原点に返るしかないと思っています。

富山については、何度か強調したように、環日本海構想の再構築の上で、その中の拠点都市として展望を切り開いたほうがいいと思います。
地中海のように、日本はもとより、ロシア、朝鮮、中国、できれば東南アジアの人々の空や海、陸(海底の地下トンネル)での交流の海に、日本海がなれば面白いと思っています。

投稿: やいっち | 2016/11/27 11:00

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