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2016/10/05

『日本海 その深層で起こっていること』と日本海逆さ地図

 久しりに書店へ。本をまとめ買い。
 自分としては、一冊読み終えたら、次は何を読もうかな、書店でどんな本と出合えるかなと、いそいそと足を運び、棚を物色して歩いて、これだという一冊を手に、早く読みたいなと家路を急ぐ、そんな子供の頃や学生時代の本との付き合い方が望ましい。

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→ 「環日本海・東アジア諸国図」 (画像は、「no.571-1逆さ地図リニューアル、環日本海・東アジア地域の可能性を探るツールに 富山の“今”を伝える情報サイト|Toyama Just Now」より) 一昨年(26年)、「富山県は、日本海を中心に地図の南北を逆転させた「環日本海諸国図」(通称:逆さ地図)の改訂版を作成した」。

 でも、今はどんなゆとりがない。まとめて予約し、まとめて入手し、どんどん本を読んでいく、次の本が目の前の棚に並んでいるプレッシャーを感じつつ、そんな慌ただしい本との付き合い方なのである。

 さて、一昨日、蒲生 俊敬著の『日本海 その深層で起こっていること』を読了した。

 本書にも冒頭付近で指摘されているが、「日本海の広さは、世界の海域の広さの0.3%でしかない。いわばミニサイズの海である。また、日本海は、それぞれ約10m、50m、130m、130mの水深しかない、間宮海峡、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡の4つの海峡を通じて隣り合う海とつながっているだけで地形的に閉鎖性が強いという特徴がある」という(「日本海 - Wikipedia」など参照)。
 小生は、まずそれぞれの海峡の浅さにおどろいた。
 一方、最大水深の方は3,742mある。
 小生は、日本海も地中海たりうると思っているが、地中海は、「内海であり、西端のジブラルタル海峡のみでしか外海と接続」がない。
 それでも、日本海は、政治的文化的経済的構想を持てば、東アジアの地中海足りうると思う。
日本海に面する諸国の都市の間の政治・経済・文化交流を深めようとする環日本海構想」は、かつては盛んに喧伝されていたものだ。
 日本と中国(や韓国)などとの政治的軋轢が近年、強まって、しりすぼみ状態だが、近い将来、見直されるに違いないと思う。

 さて、富山に生まれ育ちながらも、日本海のことを何も知らなかったと つくづく思い知らされた。
 ただ、本書で示されている研究成果は、日本海側に暮らす人々でも、大半は初耳だろうと思う。

 本書で示されていることで一番重要なポイントの一つは、「日本海は周囲を海峡に囲まれていて、外海の水は対馬暖流からしか入ってこない。だが、対馬暖流は「日本海らしさ」を形成する上で、決定的に重要だという。対馬暖流は豊富な酸素と塩も含んでおり、これが北上すると、ウラジオストク周辺の寒風に晒され、比重の重い塩を含んだ対馬暖流の水が底層に沈み込んでいく。すると、底層の水が表層へ押し出される。日本海の水は100~200年かけて循環しているという。この移動がないと、底にある水は底たまりっぱなしで酸欠になり、底層部は生物が棲めない「死の海」になってしまう」ということだろう。

Japansea

← 蒲生 俊敬【著】『日本海 その深層で起こっていること』(ブルーバックス) 「世界中の海洋学者が注目する「ミニ海洋」=日本海。かつて“死の海”だった日本海を、生命の宝庫にした8000年前の出来事とは?」だって。

 つまり、地中海どころじゃなく、今のままだと、黒海になりかねないという指摘だ。
 日本海の海の経年変化を調べることで、世界の海の変化を先取りして予測することが可能だという。
 そんな兆候が既にデータから読み取れるというのだ。

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