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2016/09/23

『ロボットの脅威: 人の仕事がなくなる日』が予言する近未来

 マーティン・フォード著『ロボットの脅威: 人の仕事がなくなる日』を読了した。
 読むほどに背筋の寒くなるような本。

Content

← マーティン・フォード著『ロボットの脅威: 人の仕事がなくなる日』(松本 剛史訳 日本経済新聞出版社) 

 著者は、ロボット技術は、人間の補助・介添えの域をはるかに超えて進んでいく。
 だから、著者は、世の中の大半のルーティンワークは、かなりの知的な労働であってさえ、ロボットやコンピューター(ソフトウエア)に奪われていくだろうという。

 本書の内容案内によると、「ホワイトカラーに迫る危機!残酷な産業革命の到来!雇用はロボットに代替され、中間層が消滅。格差は拡大、消費が縮み、経済成長は限界に」というテーマの本。
 冒頭の数十頁を読んだ段階で、トマ・ピケティの『21世紀の資本』をロボット技術の急劇な発達という側面から裏書きしたと言えそうと感じた。

 その直感は当たっていたようで、本書の最終章「新たな経済パラダイムをめざして」の終わりのほうで、著者はピケティの上掲書に言及している:

 二〇一四年に大変な注目を浴びたピケティの本は、今後数十年間は、所得も資産も格差が拡大する方向に向かうだろうと論じている。ピケティは格差の問題に、純粋に経済データの歴史的分析という視点からのみアプローチした。その中心となる論点は、資本に対する収益率は通常は経済成長率全体より大きいため、資本を持っていれば時とともに経済的なパイの取り分が増えるということだ。本書で特に取り上げてきた経済的傾向については、ピケティは驚くほどわずかな関心しか示していない。実際、七〇〇ページ近くある彼の本のなかで、「ロボット」という言葉はたった一回出てくるだけだ。ピケティの理論がもし正しいとすれば――現在も大変な論争の的となっているが――テクノロジーの進歩は彼の結論をさらに増幅し、そのモデルが予測するよりもさらに高いレベルの格差を作り出すのではないかと私は考える。

Technology

← マーティン・フォード (著)『テクノロジーが雇用の75%を奪う』(秋山 勝 (翻訳)  朝日新聞出版) 「機械は人間に代わって労働することはできるが、消費することはできない。消費者を失った大量消費市場はやがて破綻するだろう。未来において経済を持続させるために、われわれがとるべき方策はあるのか」!

 本書は、まさにソフトウエアやロボット技術の進歩がいかに脅威なのかを縷々語っている。
 過去の産業革命は、古い仕事を奪う一方で、新しい職業や産業も生んだ。つまり雇用の受け皿は、産業技術の発展で次々と盛衰を繰り返しつつも、確保されてきたわけだ。

 馬車が車に変わって、御者や馬車を作る仕事はなくなったが、自動車産業という巨大な受け皿が生まれ、雇用が確保され、賃金もあがった。が、ロボット技術の進展は、ルーティーンワークのみならず、高度な知的エリートからも仕事を奪っていく。トヨタが膨大な社員を抱える一方、グーグルやフェイスブックなどは、利益の膨大さの割に抱える社員の数は驚くほど少ない。大半の仕事はコンピューターやロボットがこなしてくれるからだ。

 改めて本書の内容案内によると:

急速に進歩する情報技術がもたらす人工知能、ロボット、ソフトウェアの進化は大量の失業、所得格差の一層の拡大をもたらし、経済、社会に破壊的な影響を与えずにはおかない。

将来生き残る職業は何か? それにはどの程度の量があるのか? だれがその職に就けるのか? 今日の産業革命についてわれわれは、過去と同様に展開するだろうと想像し、期待するだろう。一部の職は消滅するが、それを上回る、新時代のイノベーションに取り組むための職が新たに生み出されるだろう、と。

本書の著者、マーティン・フォードは、その期待はまったくの的外れだと論じる。技術の進歩が加速し、機械が機械自らを自律的に動かすようになると、必要とされる人間の数は減っていく。人工知能はすでに報酬・スキルの高い「よい仕事」を不要なものとしつつある。しかも、知識をベースとした職業、弁護士補佐、ジャーナリスト、オフィスワーカー、コンピュータプログラマーなどのホワイトカラーの仕事のほうが、ロボットや賢いソフトウェアに取って代わられる可能性は高いのだ。

技術進歩が続けば、ブルーカラー、ホワイトカラーの仕事はともに蒸発し、労働者階層、中間層の生活はさらに苦しくなる。同時に、家計は、まだ情報技術による変革の及んでいない、教育、医療という二つの主要な産業の高騰するコストに直撃されることになる。その結果、大量失業が発生し、不平等が広がり、また、社会の消費活動そのものが押しつぶされることになる。

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