世界遺産登録なった「国立西洋美術館」
夕方、入浴しようと準備していたら、茶の間から「国立西洋美術館:世界文化遺産に決定…コルビュジエ建築」(毎日新聞)といったニュースが流れた。
→ 家の庭で収穫したスイカ。親戚の人にあげたら、こんな写真を送って来た。まだ、収穫には早いかな、小ぶりかなと思っていたのに、こんなに中身が熟れているとは! 次は自分で食べるぞー!
同ニュース記事によると、「トルコのイスタンブールで開催されている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は17日、国立西洋美術館本館(東京都台東区)を含む7カ国17資産で構成される「ル・コルビュジエの建築作品」の世界文化遺産登録を決めた」とか。
「近代建築運動を世界に広めた点などが評価された」らしい。
小生には、国立西洋美術館は、とても懐かしい美術館である。
78年の春に学生時代を過ごした仙台から上京し、以後、約30年間を東京で暮らした。
引っ越し騒ぎやら、職探しやらで慌ただしい日々を過ごし、ようやく、東京暮らしにも慣れ、落ち着いてきた。美術館へ足を運ぶ気持ちのゆとりも出てきたようだった。
観たのは、仙台での学生時代に好きになっていたフリードリッヒ展である。
拙稿「『ドイツ・ロマン主義の風景素描』を巡って」(03/08/15)では、以下のように書いている:
小生が上京した78年に、まさしくこの国立西洋美術館において、『フリードリッヒとその周辺』展が開催されていたのだった。まるで東京にやってきた小生を歓迎するかのようだった。4月の下旬だったと思われるが、確かその日も、シトシト雨いが降っていて、美術館の休憩所で一休みし余韻を楽しみながら、雨の中庭の風景などを眺めていたことを覚えている。
← これも家の畑で収穫したナス。ナスやキュウリは嫌いなので、全部、親戚にあげちゃう。すると、当日早速、こんな写真を送って来た。天ぷらにしたんだね。好きな人には美味しいそうに見えるんだろうなー。ああ、野菜が好きだったらなーって、つくづく思うよ。
また、拙稿「フロイト事始、あるいはダリやキリコから」(06/01/03)では、次のように書いている:
フリードリッヒの絵画では、風景を描く際にも人物が点景として配置されていることが多いのだが、一見すると奇妙なことに、その人物の大半が画面の中では背を向けているのである。つまり画面を眺める我々観察者と同様の視線で画面の奥、あるいは風景の彼方に見入っているのだ。月の放つ、何処か怪しげで微妙な光に照らし出された世界の遠い果てに何かがあるに違いない、という幻想に彼(ロマン派)の絵画の命と思想があるらしいのである。
小生、実際のところ、建築には(も)至って疎い人間である。学生時代の友人に建築科の人が居たのにも関わらず。
折々の雑談の中で、音楽や文学、哲学などの話と共に、時に建築の話にも及んだことはあったのだが、粗雑な小生の脳味噌を掠りもせずに通り過ぎていった。
言うまでもなく、国立西洋美術館はル・コルビュジエの手になるものだといった話は当然のごとくに、あるいは常識の如くに語られていた記憶はあるのだが、小生の脳裏に記銘されたのは、当の美術館に幾度も足を運ぶようになってからのことである。
それでも、その建築史的意義にどこまで気づいたかは、かなり怪しい。
ただ、建築のすばらしさには鈍感ながらも、この建物の中での美術の鑑賞、もっと言うと、その中で過ごす時間の濃密さと居心地の良さは、自覚せずとも感じていたようだ。
大概は、展覧会の諸作品の鑑賞が済むと同時に、せいぜい土産物売り場を覗いて、あとはさっさと立ち去るのが常なのに、国立西洋美術館だけは、滞留時間が長かったのを覚えている。
→ 世界遺産の仲間入りをした「国立西洋美術館」 入り口付近には、ロダンの『考える人』や、『地獄の門』、『カレーの市民』などがあって、魅入られたわけでもないのに、なぜかその前から立ち去りがたかったのを覚えている。(画像は、「国立西洋美術館 - Wikipedia」より)
フリードリヒや国立西洋美術館の思い出に絡む拙稿:
「森の中のフリードリヒ」(2008/01/07)
「フリードリッヒ…雲海の最中の旅を我は行く」(2006/09/24)
「初詣の代わりの巨石文化?」 (2006/01/07)
「小笠原洋子著『フリードリヒへの旅』を巡って」(2009/10/15)
「『ドイツ・ロマン主義の風景素描』を巡って」(03/08/15)
「フロイト事始、あるいはダリやキリコから」(06/01/03)
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