自動運転やロボットから人間を想う
職業柄か、このところ、車の自動運転に絡むニュースが増えているような気がする。
← 『現代思想2016年6月臨時増刊号 総特集=微生物の世界』 この数年、宇宙論と同時に、微生物の世界に魅入られている。ちょっとその世界を総覧してみたくて本書に手を出した。
「自動運転車とは、人間の運転なしで自動で走行できる自動車である」(「自動運転車 - Wikipedia」より)が、今は補助的機能の段階にあるのだろうが、いずれは、少なくとも高速道路や、一定の構内や山間の道などでの実用化が現実化し、その先は、あるいは完全な自動運転が実現するのだろうか。
現段階での見通しや認識では、「運転をシステムに完全に任せてしまう完全自動運転は、事故時の責任問題とも関わるため、まずはドライバが急に運転できなくなった状況や、居眠りをしてしまって事故を起こす危険性が高まったような状況、すなわちシステムに任せた方がリスクが低いという状況下で部分的に実用化すべきだと言う議論が一般的」(「自動運転|日本自動車研究所」より)なのだとしても、現実の事態が迫っているようなプレッシャーを感じる。
車の中でも、バスは一部では実用段階に近づいているようだ。
「自動運転|日本自動車研究所」によると、「BRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)は、バス専用道路を用いた高速輸送システムの総称で、海外では都市部で大量の人員をBRTにより高速輸送している例が数多くあります。我が国では過疎地の鉄道廃線跡地を専用道路にして単車のマニュアル運転バスを走行させている例があ」るという。
タクシーと言う仕事がそんなに簡単に自動運転車に取って代わられるとは思われない。
タクシー業務を、免許があればだれでもできると思っている一部の人は、安易に誰でも参入できる産業だと、机上の空論を強行しようとする。規制緩和という名目のもとに。
昔、産業用ロボットを見たとき、小生など脅威を覚えたものだ。
「産業用ロボット(Industrial robot)とは、人間の代わりに作業を行う機械装置」のことである(「産業用ロボット - Wikipedia」より)。
「自動車の生産工場で使われるロボットの場合、スポット溶接を行うロボット、ボディ塗装を行うロボット、部品取り付けを行うロボットが多く見られる。人間が作業を行う場合、重量物の運搬を必要としたり、霧散している塗料を吸い込んだりする危険性など、肉体的負担の大きい労働環境である場合が多い。このような環境での作業時、労働者への大きな負荷から作業ミスを誘発する恐れもあり、品質安定の面からもロボットが用いられる」のだが、「労働者の賃金が高い国で工場を維持するために、工場全体をロボット化して、最低限の要員のみで運営している事例も存在する」わけである。
人間には単純単調過ぎる作業をロボットが代わってやってくれる。なんてありがたいことか。
高速道路などで長時間の運転で眠気に襲われたことが何度あることか。こんな時は、ロボットの出番だと思う。
けれど、お寿司を作るロボットもあるくらいで、人間相手の職人の仕事もロボットが代行するとなると、そもそも人間がやることって何なのか。
農作業にしろ、職人仕事にしろ、単純じゃない生地極まる仕事であってすら、ロボットが出来ないことなどあるのだろうか。
そもそも、ロボットは補助的といいつつ、ほとんど大半の作業がロボットに奪われていくとしたら、人間は存在する意味などあるのだろうか。
昔、危険なこと、単調なことはロボットが代わってやるので、人間は遊ぶことと、何か創造することに専念できる、…というバラ色の未来を語る論調があった。
だが、ロボットが人間の行うことの大半を行うとしたら、人間が存在する意味がなくなるのではないか。
世界は、グローバリズムとやらで、、世界の支配者(指導者あるいは経済的成功者)と被支配者(経済的困窮者)との二極化が進んでいる。
ロボットが人間の大半の労働や作業を奪っていくとしたら、人間は、ロボットでずらできない単純な且つ対価の乏しい作業を行うだけ、利益の大半を金持ちや企業に搾取される、そのためだけに存在するロボット以下の路頭に迷う人の群れと化すのではなかろうか。
単調で危険で、あるいは熟練を要するので大概の人間では間に合わない作業をロボットが行っていくのだとしたら、そうした社会に適合できない人間は不要になっていくだけではないか。
← ダニエル・V・ボツマン 著『血塗られた慈悲、笞打つ帝国。-江戸から明治へ、刑罰はいかに権力を変えたのか?』(インターシフト) 日本における刑罰の歴史というテーマは、ひたすら興味がある。
最低限の生活も困難な、大多数の人間はロボットに使われ、一握りの金持ちが遊びと創造を享受する世界。待っているのは、そんな真っ暗な社会のように思えてならない。
アベノミクスで経済的な意味で社会の二極化が加速しているが、そうした人間不要(あるいは人間奴隷)社会への地ならしを政治の世界で行っているのだろう。
その意味で、アベノミクスはすごく先見の明のある政策だと思われるわけである。
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コメント
免許は持っていますが、運転技術に自信なし。
このレベルで都内を運転すると迷惑になりそう。
両親の住む那須なら大丈夫かも。
そういう人には自動運転がありがたいんですけどね。
事故もあったし、全面的に任せられないのかしら。
お弁当作りロボットが欲しい(笑)
投稿: 砂希 | 2016/07/23 20:39
砂希さん
車の運転など、人間の生活の補助にとどまる分には、あってしかるべき技術でしょう。
でも、完全な自動運転となると、運転手は必要でなくなる。
過日、僧侶の話を聞きましたが、昔、読経の録音テープが売り出されたころ、ああ、これでもう僧侶は必要でなくなる、なんて、真剣に心配したそうです。
でも、さすが読経ロボットは(今のところ)登場していない。
ただ、その代り、簡素な葬儀など、お寺の存在自体が必要でなくなりつつあるような。
そのように、今あるかなりの数の職業は、消え去っていくのでしょう。
最後に人間に残る職業って、何なのか。
投稿: やいっち | 2016/07/25 21:45