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2016/07/14

山本 じん……化粧以前あるいは少女幻想

 女と化粧は、一生、切っても切れない関係を結ぶ。

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← Satoshowによる呟き:「Satoshowさんのツイート その昔、一緒に暮らしていた女性から、怖いから片付けて欲しい、と懇願され、以後押入れで眠り続けていた、山本じん氏のドールを発掘する。 1980年代末期に作者御本人から購入させていただいた一品。 改めて(マ・クベ風に)これ」 「山本じん - Wikipedia」など参照。
 
 現代では、化粧は女性の専売特許ではなくなりつつあるが、それでも、依然として女の特権であり続けているし、これからは一層、特権を享受し、執心していくに違いない。

 少女とは、化粧を施すことを覚える、化粧の魔力を知る間際の、そう、おんなの世界への瀬戸際の、ほんの一時期にのみ成立する、魔法の具現という奇跡の一瞬なのではないか。

 さて、以下は、少女幻想というテーマからはやや離れるが、画家・彫刻家・人形作家である山本 じんの名を久々目にしたこともあり、無縁でないものとして、旧稿(「初化粧」(2005/01/11))からの抜粋を示す:

 女性が初めて化粧する時、どんな気持ちを抱くのだろうか。自分が女であることを、化粧することを通じて自覚するのだろうか。ただの好奇心で、母親など家族のいない間に化粧台に向かって密かに化粧してみたり、祭りや七五三などの儀式の際に、親など保護者の手によって化粧が施されることもあるのだろう。

 薄紅を引き、頬紅を差し、鼻筋を通らせ、眉毛の形や濃さ・長さそして曲線を按配する。項(うなじ)にもおしろいを塗ることで、後ろから眺められる自分を意識する。髪型や衣服、靴、アクセサリー、さらには化粧品などで多彩な可能性を探る。

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→ 山本 じんは、画家・彫刻家・人形作家。(桑原弘明による呟き:「山本じん展!23日から(青木画廊)」より) 一時期は、球体関節人形作品が多かった。学生時代、古書店で偶然、発見した、我が畏敬するハンス・ベルメールを想う。

 見る自分が見られる自分になる。見られる自分は多少なりとも演出が可能なのだということを知る。多くの男には場合によっては一生、観客であるしかない神秘の領域を探っていく。仮面を被る自分、仮面の裏の自分、仮面が自分である自分、引き剥がしえない仮面。自分が演出可能だといことは、つまりは、他人も演出している可能性が大だということの自覚。

 化粧と鏡。鏡の中の自分は自分である他にない。なのに、化粧を施していく過程で、時に見知らぬ自分に遭遇することさえあったりするのだろう。が、その他人の自分さえも自分の可能性のうちに含まれるのだとしたら、一体、自分とは何なのか。

 ある年齢を越えても化粧をしない女は不気味だ。なぜだろう。
 町で男に唇を与えても、化粧の乱れを気にせずにいられるとは、つまりは、無数の男と関わっても、支障がないという可能性を示唆するからだろうか。それとも、素の顔を見せるのは、関わりを持ち、プライベートの時空を共有する自分だけに対してのはずなのに、そのプライベート空間が、開けっ放しになり、他の男に対し放縦なる魔性を予感してしまうからなのか。

 化粧。衣装へのこだわり。演出。演技。自分が仮面の現象学の虜になり、あるいは支配者であると思い込む。鏡張りの時空という呪縛は決して解けることはない。

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←  山本 じんにより、「これまで個展などで扱ってきた作品テーマは様々だが、特に代表的なモチーフは、クラナッハ、纏足、植物、祈りなど。纏足は、自身でアンティークの纏足靴を収集するほどであり、雑誌『月刊美術』でもそのコレクションが取り上げられた」ようだ。(なお、画像は山本 じん作品ではなく、ひかるさんの作品。「2015年06月 ひかるの人形制作日記」より) どうして少女人形なのだろう。

 きっと、この呪縛の魔術があるからこそ、女性というのは、男性に比して踊ることが好きな人が多いのだろう。呪縛を解くのは、自らの生の肉体の内側からの何かの奔騰以外にないと直感し実感しているからなのか。いずれにしても、踊る女性は素敵だ。化粧する女性が素敵なように。全ては男性の誤解に過ぎないのだとしても、踊る女性に食い入るように魅入る。魅入られ、女性の内部から噴出する大地に男は平伏したいのかもしれない。

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