『日影丈吉 幻影の城館』と昭和前半の世相
自宅では、D・P・シュレーバー 著の『シュレーバー回想録』 (尾川/金関訳 中公クラシックス)を読んでいる。
← 日影丈吉 著『日影丈吉 幻影の城館』(河出文庫)
最初に平凡社から単行本で出た際に、刺激的な内容だと感じ、即座に買って読んだもの。
その本は引っ越しのドサクサに手放してしまったのだが、このたび、復刊となったので、今、読み返しつつある。
ただ、あまりに重い内容の本なので、息が詰まってくる。自分が正常だということを証明するなんて不可能だろうし、といっても、自分の乏しい知性や常識で何事も判断するしかないとしたら、一体、出口は何処にあるのかという気になってしまう。
そこで、息抜きってわけじゃないけど、手元にある日影丈吉 著『日影丈吉 幻影の城館』を合間に読むことにした。
→ ホタルブクロ。今日のような雨に雰囲気が合うような。
「異色の幻想・ミステリ作家の傑作短編集。「変身」「匂う女」「異邦の人」「歩く木」「ふかい穴」「崩壊」「蟻の道」「冥府の犬」など、多様な読み味の全十一篇」とか、「折口信夫が、江戸川乱歩が、そして澁澤龍彦が種村季弘が絶賛した」とも。
前々から気になっていた作家。「日影丈吉 - Wikipedia」などによると、「1908ー1991 作家、翻訳家、料理研究家。幻想小説、ミステリなど、異色の作風で知られる。「狐の鶏」で日本探偵作家クラブ賞、『泥汽車』で泉鏡花文学賞」とか。
「探偵右京慎策の活躍するハイカラ右京シリーズなど」というから、もしかしたら、テレビドラマ「相棒」の主人公の名前・杉下右京は、ここから拝借したのかも、なんて。
「月はバンジョオ」など杉警部ものを執筆していたというから、猶更、そんな憶測をしてみたくなる。
← 夾竹桃が花盛り。我が家の緑濃い庭は、ツツジ、ホタルブクロ、バラ、ムラサキツユクサ、夾竹桃などが彩ってくれている。蔵の中は空っぽである。
江戸川乱歩に才能を見出されたらしいが、実際、乱歩ほどではないが、エロティシズムとおどろおどろしさもあって、大正から昭和の江戸川に対し、昭和(の特に戦中から戦後にかけて)の丈吉なのかもしれない。
こうした淫靡な世界がこのまれていたということは、大正から昭和のある時期にかけては、そうした暗鬱な世界が身近にあったから……なのだろうか。
猟奇犯罪、少年犯罪などは今だって尽きていないが、戦後などは随分と発生したらしい。
といいつつ、まだ読み止しなので、まずは作品をもっと楽しみたい。
そのあとは、気が早いが、前々から気になりつつも手が出せずに来た、木々高太郎、小栗虫太郎らの世界も楽しみたいと思っている。
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