藤井一至著の『大地の五億年』を読了
藤井一至著の『大地の五億年』を読了した。
← 藤井一至著『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』(ヤマケイ新書 山と溪谷社)
車中で読みかじって来た本書だが、残り数十頁は自宅で。
本書は、(わりと)近所の書店で見つけ、衝動買いしたもの。著者が富山県出身ということも後押しになったかもしれない。興味深い写真も載っているので、見ても楽しい本。
この数年、苔などの菌類など、微生物関連の本を読んできたこともあり、生きものの土台である土壌についての知見を高めようと、手にしたのだ。
我が家には、小さいながら、庭もあるし畑もあって、それなりに苦労やら楽しみなどを得ていることも、本書に手を出した理由の一端になっていると思う。
畑では野菜作り、庭(や畑)の雑草の処理、樹木の健全な育て方。そもそも我が家の土壌はどうなのか。
雑草の始末は、大変な労力を要する。日々2時間ずつ草むしりしても、家の周りを一巡りするのに二週間は費やす。しかも、二週間も経過すると、最初の頃に綺麗に毟り取ったはずが、もうスクスクト(?)生い茂り始めていて、あーあ、である。
除草剤の力を借りることもあるが、畑はもちろん、庭の木々からは離れた場所に散布する。では、畑や樹木の植わる庭はどうするか、で迷った挙句、数年前、庭や畑に防草シートを張り巡らし、通路にはビニールシートを張って、その上に砂利を分厚く撒いた。
おかげで、その後の数年は、草むしりに要する労力は、半減以下になっている。
でも、草の生命力は凄まじい。コンクリートの隙間やシートを突き破ってでも、這い出して来るのだ。
よほど、我が家の土壌は栄養豊富なのか。
まあ、雑草については、(雑草と言う名の植物はない、という名言も含め)数年前、散々書き連ねてきたのでここでは、自制しておく。
「生き物たちの行動を「土」から理解するための一冊 ヤマケイ新書『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』発売! 山と溪谷社 新着情報 山と溪谷社」によると、「土は生き物にどんな影響を与え、そして受けてきたのか? 生命の進化・絶滅から、地球規模の気候変動、生き物たちの共生関係、そして農業という人の営みや戦争の原因まで、土から説明してみれば納得できることがたくさんあります。5億年前、岩石砂漠だった大地に生まれた土。本書では、土壌学者である著者が世界中を飛び回って見て来た土を訪ねながら、その歩みを追います」とある。
また本書の前書きからの抜粋として:
生き物たちの不思議な行動は、元を辿れば土に原因がある。
(中略)いったい、どのようにして、生き物たちは土との付き合い方を身につけたのだろうか?ヒトはなぜ土を耕し、さまざまな農業を発達させたのか?
ひとつの手掛かりは、生き物はみな元をたどれば栄養分を「土」から獲得している、という原則である。土に栄養分と居場所を求めて、植物も動物も独自の生き方を発達させてきた。
本書は、「大地の五億年」とあるが、「5億年前、岩石砂漠だった大地に生まれた土」を端緒の長い歴史の話も面白いが、現代の農業や食の在り方にも深刻な問題を突きつけていて、読み応えがある。
食卓に上る食品も、植物オイルも、割りばしも木材も、合板も何もかもが世界中の農業や経済事情に関わっている。
日本の山は、昔から木々が鬱蒼と生い茂っていたように錯覚してるが、人類の登場、さらには人類の生活や食の在り方の変化、文明との相関で、山の木々が片っ端から伐採され、はげ山になることもしばしばだったとか。
文明は、山の樹木を犠牲にすることで、つまり、環境を破壊することで生まれ繁栄し、やがて衰退していった。
日本の歴史も、狩猟採集だけじゃなく、あるいは縄文(あるいは弥生)の昔から焼き畑農業も盛んに行われてきた痕跡が見られるという。
その後、日本では水田が広まったが、それは日本の土壌の性質と深く関わることを縷々語っている。
コンクリートとアスファルトで大地に蓋をした生活をしている都会人には、土はあるいは遠い存在となっているかもしれない。
でも、土と生物は、深く相関している。土に翻弄され、土を傷めつけ、土に学び、土と共に生きるしかない人類は、土壌の在り方にもっと関心を抱いてもいいだろう。
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