あなたの中のミクロの世界第2回 ヒトは微生物との集合体
録画してあった「あなたの中のミクロの世界 第1回 体は微生物の宝庫」を見る機会をようやく得た。
実に興味深い内容だった。
← サビダニの一種(Aceria anthocoptes) 歩脚は2対、腹部に二次的な環節がある。 (画像は、「ダニ - Wikipedia」より) 番組の冒頭では、こういった微生物の蠢く映像がいきなり飛び込んでくる。圧倒されて、即座に視聴を止めようと思ったほど。でも、我慢して見入った。見た甲斐があった。
上掲サイトによると、「人間の体の表面や内部に棲む微生物の多様性と働きを徹底解剖するサイエンス番組。人類とともに進化した微生物は、私たちの生命の維持にも深く関わっている。(前編)」という。
以下、当該番組を要領よくまとめている関連サイトから転記させてもらう:
バクテリア、ウィルス、原生動物、菌類、ダニ、シラミ―人間の皮膚や毛髪、あるいは体内に生息する微小な生物。その数は人間の全細胞の10倍にのぼると言われる。こうした微生物の驚くべき生態と人間との知られざる関係を、特殊な撮影技術やCGで描き出していく。前編では、身体の思いがけない場所に住み着くミクロな生物たちを紹介。地球上の生物多様性と同じで、生物は身体の様々なパーツにバランスを保ちながら生息している。
どうやら、2015年7月7日に放送されていたものの再放送だったようだ。
見逃していたとは惜しいことをしたと、番組を見てつくづくと思った。
多少は、テレビや本などを通じて聞きかじりの知識があったもの、あるいは医学系のバラエティで伝えられているものもあったが、全編を通してみると、やはり、見ごたえがあった。
→ エムバッキー(Mycobacterium vaccae) (画像は、「Bristol University News 2007 Getting dirty」より) 「エム・バッキーはアフリカで見つかった細菌で、これを注射することでレイノー病のほかに、ガンやうつ病、乾癬も治ったりした」(「体は微生物でいっぱい2 無努力健康法」より)とか。
原題は「LIFE ON US EPISODE ONE YOUR PRIVATE WILDLIFE」(制作:Smith & Nasht/Mona Lisa (オーストラリア/フランス 2014年))とある。
ところが、である、小生が見たのは第1回ではなく、第2回だったようだ:
「あなたの中のミクロの世界第2回 ヒトは微生物との集合体 | BS世界のドキュメンタリー | NHK BS1」
恐らくは、小生が見逃した第1回は、再放送さえ見逃し、見る機会には恵まれないってこと!
← ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌) (画像は、「ヘリコバクター・ピロリ - Wikipedia」より) 「胃の中のピロリ菌には、身体の免疫機能の過剰反応を弱める作用があるため、喘息を予防する働きさえある」とか。昔、知人に胃潰瘍に苦しんでいた人がいて、頻りに精神的苦悩の結果だよと言っていたっけ。要は、戦後の汚れた水道水か井戸水を呑んでピロリ菌に傷められたってのが真相だったんだろうが…。
そこで、ネットで関連情報の摂取を試みる。
「『あなたの中のミクロの世界 (2)』(ドキュメンタリー) 竹林軒出張所」が実に詳しい。
同上サイトの頁の表題に、「内容が濃すぎてツライ」とあるが、同感であり、実感でもあった。
しかし、冒頭の辛さを堪えて視ていくと、じっくりと見た甲斐があった。
以下、同上サイトからの転記の形で内容を紹介しておく:
◎寄生虫を使った難病治療の例(多発性硬化症、クローン病、レイノー病、セリアック病)がいくつか示されており、良好な結果が出ている。寄生虫のみならず、現代社会で悪者にされてきた微生物も、実は人にとって不可欠なものだったのではないかというのがこの番組の主張である。
◎腸内フローラ(竹林軒出張所『腸内フローラ(ドキュメンタリー)』参照)についても説明があり、難病の治療法として、病気で苦しむ人の大腸に健康な人の便を注入するという便微生物移植療法についても詳細に紹介されていた。(最近は、日本のテレビでも紹介がされたりしていたっけ。)
● 虫歯:食生活の変化が口の中の善玉菌と悪玉菌(ミュータンス菌)のバランスを崩し、虫歯の原因となる菌が栄えるようになった。農耕生活を始める前のヒトには虫歯がなかったらしい。歯(口内をあまりに綺麗にすることで、悪玉菌だけじゃなく、善玉菌も死滅し、現代の酸性になりがちな食べ物によって歯が溶けるのを防いでいた作用までも失ってしまうことになった、とも。
● ピロリ菌:ピロリ菌は胃潰瘍や胃がんの原因であることがわかっているが、ある種の寄生虫が体内にいればピロリ菌によって胃潰瘍が引き起こされることはない。むしろ胃の中のピロリ菌には、身体の免疫機能の過剰反応を弱める作用があるため、喘息を予防する働きさえある。
● 現代食:ジャンクフードにより免疫機能の炎症が起こり、免疫機能の不全が引き起こされている。
● エムバッキー:エムバッキーという微生物(途上国の人々の体内に普通に生息する微生物)がレイノー病や癌に一定の成果を挙げている。乾癬や欝病にも効果があるという。
● デング熱:デング熱を媒介する蚊に、デング・ウイルスに対抗する細菌(ボルバキア)を注入することによって、蚊がデング熱を媒介しないようにするという取り組みがある。オーストラリア北部ではこのような蚊を自然に放つことでデング熱を収束させることに成功している。
● レトロウイルス:レトロウイルスというウイルスは、生殖細胞系列に侵入してDNAに入りこみ、やがて正常な遺伝子の一部になる。これは100万年に一度くらいの頻度で起こり、生物はこのウイルスに適応しながら生き延びてきている。現在このような事態がコアラで見られており、謎の死を遂げるコアラにレトロウイルスが検出されているという。
● 微生物とヒトとの関わり:微生物は人の進化や命まで操っている。ヒトは一人ではなく、ヒトは微生物の集合体である。
→ ボルバキア (画像は、「ボルバキア - Wikipedia」より) 「オーストラリア北部ではデング・ウイルスに対抗する細菌(ボルバキア)を注入された蚊を自然に放つことでデング熱を収束させることに成功している」とか。
小生が見逃した第1回についても、同上サイトが詳しい:
「『あなたの中のミクロの世界 (1)』(ドキュメンタリー) 竹林軒出張所」
関連サイトとして、「『腸内フローラ』(ドキュメンタリー) 竹林軒出張所」も紹介しておく。
この番組は小生、録画して視たものだったが、感心したものである。
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コメント
花粉症の増加は、寄生虫を完全に駆除してしまったことから起きている、という話を聞いたことがあります。
腸は免疫の働きの多くを引き受けていますが、寄生虫はある面でその腸と共生関係にあり、免疫をコントロールする働きもしていたというのです。
投稿: OKCHAN | 2016/05/01 10:11
OKCHANさん
医学の世界、生物の世界は、パラダイムシフトが起きているような気がします。
雑菌や黴菌とか悪玉菌とか、カビとかを邪魔ものにし、ひたすら清潔を心掛ける。
家についても、気密性という名の密封を売りにする。室内は、埃や黴菌を取るクリーナーは必需品。
でも、人類だって、ずっと、不潔な環境の中で生き抜いてきた。
敢えて、汚れた環境にする必要はないけど、何だって綺麗にすればいいものじゃないってことでしょうね。
口内も、腸内も、住環境も。
投稿: やいっち | 2016/05/01 21:26