「SONGS 大滝詠一〜夢で逢えたら〜」を何度も
「SONGS 大滝詠一〜夢で逢えたら〜」を録画して、じっくりと視聴した。大滝詠一ワールドにしびれる。
録画したものは、一度視聴したらすぐに消してしまうのだが、この録画は消せない。
以下、関連しての呟きの数々を転記する:
← 大滝詠一「DEBUT AGAIN(初回生産限定盤) Limited Edition 」(SMR)
「SONGS 大滝詠一〜夢で逢えたら〜」をじっくりと視聴した。「2013年に急逝したシンガー・ソングライターの大滝詠一さんを特集する。 ほかの歌手に提供した曲を自ら歌ったボーカルトラックが発見され、32年ぶりのオリジナルアルバムとして発表される」とか。
「そこで、この珠玉の楽曲たちに光を当てるため、生前、大滝さんが行ってきた”ナイアガラレコーディング”と呼ばれる大規模な録音スタイルを番組のためだけに再現」というもの。
「井上鑑をはじめ、実際に大滝さんとレコーディングを行ってきたミュージシャンを中心に総勢20人が集結。 ボーカルとして大滝さんとも親交の深かった鈴木雅之と薬師丸ひろ子が曲を熱唱」していた。音楽にも疎い小生、大滝詠一の作曲(作詞)と知らずに曲を楽しんでいた。
小生からはやや年上の大滝詠一さん、同時代を生きてもっと彼に注目して聴けたはずなのに、亡くなって初めてその時の音の卓抜さを知った。惜しいなー。
ナイアガラサウンズも、単にレーベル名じゃなく、大滝詠一さんの曲作りの手法そのものだったと知ったのも、後の祭り。こうなったら、彼の作曲集をCDなどで買って聴きたい。
大滝詠一さんというと、松本隆さんを連想する。 昭和の歌謡曲ってすごい。当分は落日めいた日本では生まれない現象かも。
「作詞活動45周年・松本隆独占インタビュー 稀代の“言葉の魔術師”が語るヒット曲の昔と今 ORICON STYLE」その中の「作詞活動45周年・松本隆独占インタビュー 稀代の“言葉の魔術師”が語るヒット曲の昔と今 3ページ目 ORICON STYLE」にて、「ここ数年の歌謡曲再評価については、どう思われていますか」という質問に対して松本隆氏は、次のように語っている:
楽曲の価値や完成度が高いから当然のことだと思う。歌謡曲っていうのは大衆のいちばん俗っぽい部分だから、本来は今のアイドルソング程度でよくて、あそこまで完成度が高い必要はないわけ。とくに80年代はバブルと重なったことで付加価値が付き、音楽の質が高くなった。文化はお金がかかるものだから、バブルでみんなが潤沢にお金をもっていたことが文化を豊かにしたんだと思う。江戸時代にも何回かあったことで、景気のいいときには面白い文化が生まれるし、景気が悪いと文化もしぼんで廉価ものが多くなってきてしまう。日本は1980年代にある種の頂点を極めたから、そのあとは徐々に劣化していくわけ。誰も認めたくないけど。企業や経済は劣化していくし、人口は減るし、貧富の差は激しくなるし……。
上掲のインタビュー中、『風街であひませう』、『海街diary』、『風街図鑑』など、「風街」絡みの名称が出てくる。
言うまでも、はっぴいえんどのアルバム『風街ろまん』が淵源にあるのか。
あるいは、松本隆氏も大滝詠一氏も、東北に縁があるからなのか。
小生が学生時代を過ごした70年代の後半、あるサークルの先輩が「風街エレジー」と題した作品集を手作りで出したのを思い出す。
勘の鈍い小生は、はっぴいえんどの『風街ろまん』などは全く思い浮かばなかったが、先輩の感性や知性の中では言うまでもないこととして繋がっていたのだろう。
← 松田聖子「Sweet Memories '93 」(ソニー・ミュージックダイレクト)
小生は、ジャンルを問わず音楽に目覚めたのはラジオやテレビを通じてだったが、アメリカなどもだが、日本のポピュラーソングの世界が頂点を迎えた、70年代から80年代を通じて、音楽シーンを同時代の若者として堪能できたことを幸いに思っている。
その日本の音楽シーンは、バブルが弾けた89年から90年にかけて崩壊してしまった。
単発的に才能ある歌手や作曲家、あるいは作詞家は存在していたし今も存在しているのだろうが、音楽シーンを支える土壌自体がやせ細ってしまったのだ。
もう、夢よもう一度、ということは、上記したように、「当分は落日めいた日本では生まれない現象」なのだろう。
悲しいが、現実だと日々痛感させられる。
関連サイト:
「作詞家・松本隆の45年を辿る55分。大滝詠一、松田聖子とのエピソードも – M-ON! MUSIC エムオンミュージック|エムオンの音楽WEBメディア」
「大滝詠一 SonyMusic」
「SONGS これまでの放送 第374回 大滝詠一」
関連拙稿:
「歌謡曲が流行っていた時代は遠くへ」
「三木たかしさん死去から昭和歌謡のことなど」
「久世光彦・著『ベスト・オブ・マイ・ラスト・ソング』の周辺」
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コメント
まったく同感です。
そして、こんなの聴いてられないよ~、
と思っていたはずの、
星の流れに、
カスバの女、
懺悔の値打ちもない、
柳ヶ瀬ブルース、
圭子の夢は夜ひらく、
酒場にて、
それらのすばらしさ。
下世話で、みもふたもなくて、どうにもかっこ悪いのですけど、
でも、流行りの歌って、いい歌だから流行ったのではなくて、
流行ったからいい歌になるんだわ。
なんでもいいから、
とにかく流行ってくれ、それが先決。
そして、こんなの聴いてられないよ~、
というダメ出しがあってから、大滝詠一の再来が生まれるという、
望むべくもない、気の長い話。
投稿: 青梗菜 | 2016/03/21 22:02
青梗菜さん
流行り歌、俗っぽい歌、なんて、高尚な歌や曲に関わるインテリには見做されるかもしれないけど、最後に残るのは、伝わっていくのは、人口に膾炙した歌。
何かの折に口を突いて出てくるのは、そんな流行歌なのでしょうね。
身もふたもないけど、最後はそうなのでしょう。
それまでは、気取って、高尚路線を狙いますが。
投稿: やいっち | 2016/03/30 22:08