『チェルノブイリの祈り―未来の物語』…原発事故以後の未来とは?
スベトラーナ・アレクシエービッチ著の『チェルノブイリの祈り―未来の物語』を読了した。暇の徒然というわけではないが、昨日残りの200頁あまりを一気に読んだ。
→ 黄水仙。数日前から我が家の庭でウグイスが初鳴き……の練習。「ほーほーけけけ…」の繰り返し。それが今朝、「ほーほけきょ」になっていた。楓の枝に止まって鳴く姿も見た。近所では唯一の藪もどきの庭だからね。ところで、ウグイスの初鳴き。近づくと邪魔になりそうで、スマホのカメラでは撮影できず。絶好のシャッターチャンスだったのに、惜しいことをした。 残念だなーと思っていたら、宵闇迫りそうな頃にも再びウグイスの鳴き声を聞いた。声のするほうを目を凝らして探すと、もみの木の枝に止まって鳴いていた。撮影できず。やはり、ちゃんとしたカメラが必要か。
いや、一気というのは、やや嘘がある。
読んでいて、辛すぎて、一人二人の証言や魂の叫びとしか言いようのない話に、面白い小説のように一気には読めない。
呟きのサイトには、「原発事故の悲惨さを当事者たちの生の声で聴く。悲痛。悲惨。 旧ソ連の役人たちの無責任さ、秘密主義の犠牲になるのは、一般市民農民であり、現場で命懸けで事故に立ち向かう人たち」とか、あるいは次のように呟いた:
旧ソ連で起きた悲惨な原発事故。死者は通算で数百万とも。まだまだ増えるかもしれない(真相はベラルーシ独裁政権が隠しているので分からない)。旧ソ連の国家が真相を徹底的に隠そうとしたが、放射能汚染が日本を含む世界で観測されて、隠しようがなくなった。旧ソ連邦が崩壊した、まさに引き金になった事故。事故にあたっては、住人に放射能汚染の説明をせず(できず)、危険の度合いを知らない(中には覚悟の上で)消防団員などが命を懸けて事故に対処した。一方、役人連中は安全圏にさっさと逃れていく。放射能の見えない恐怖。

← スベトラーナ・アレクシエービッチ【著】『チェルノブイリの祈り―未来の物語』(松本 妙子【訳】 岩波現代文庫) 「四半世紀後の福島原発事故の渦中に,チェルノブイリの真実が蘇える」と銘打っているが、本の副題の「未来の物語」とはどういう意味なのか。
本書を読むまでもなく、広島・長崎や福島を体験した我々は、もう、青い空や白い雲、煌煌たる月影、灼熱の太陽、緑滴る山々、海の青、豊かそうな大地、ちょっと見は健康そうな顔や姿かたちを見ても、だからといって、それがそのままに豊穣なる自然、とは思えなくなったという現実を知っている。
知っているだけで、ひしひしと分かっているとは言えないかもしれない。
そう、放射能汚染だ。見かけ上は昨日と同じ空や雲、川の水、緑なす山々、ぷっくりとした頬だったとしても、放射能は容赦しない。
広島以後の我々の文学は違うはずとある文学者が言っていたっけ。では、チェルノブイリや福島以後は、文学はどうあるべきか。
→ 「アンズ・ニコニコット」だとか。
無味無臭の放射能に汚染されても、何一つ変わっていない…としか思えない。
人間の認識能力を超えている。五感が頼りにならないのだ。
何事もなかったような日常。でも、生きとし生けるものは崩れ去っていく。気が付いたら体の節々が腐っていく、崩れていく。男女の愛は壁の彼方だ。引き裂かれる一方なのだ。
人だけじゃない(それは自業自得なのだろう)。動物も植物も、微生物を含めたあらゆる生きものは変貌を遂げていく。
動植物の幾ばくかはチェルノブイリでも生き残っているのか。あるいは生き残っているとして、汚染されている区域外からの闖入せる動植物たちなのではないか。
← ネッ友から、「ボケ」だと教えていただきました! 名前が分からず、ずっと気になっていました。自覚しています。
樹木はどうなのだろう。地の苔や昆虫や草花はどうなのだろう。どうにかこうにか生き延びていくのか。
微生物たちさえ、幾ばくか生きているのなら、数千万年先の世の中ではまた、違う生命相が現出するのか。
無味無臭のバリアの先に、何が残っているのだろう。
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