悪夢の再現でなくてよかった
昨夜未明のことである。
そろそろ丑三つ時という時刻。雪になってもおかしくないような、冷たい雨が夜を一層深くしている。
我が家の周辺は、車の通りの多い道から一本、脇に入っているので、街灯も疎ら。
← グレッグ・イーガン【著】『白熱光』(山岸 真【訳】 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 「〈白熱光〉からの風が吹く世界〈スプリンター〉で暮らすロイは、重さの地図を見せられたが……はるかな未来を舞台に人類の子孫と異様な世界に住む生物を描く、現代SF界最高の作家の待望の長篇」だというが、現代SF界最高の作家による究極のハードSF……というより、かなりハードルの高いSFだ。非ユークリッド幾何学の本を(せめて一般向けの本であっても)読んだことがあれば、もう少しは楽しめるかも。
昨夜…というか今朝未明というべきか、仕事を終えて、いつもよりは早めに帰宅できた。
家の庭へ車をバックで駐車しようと、バックし始めた時、窓外に人の影が。すぐそばには小さな犬…らしき影も。
バックし始めた瞬間には、誰もいなかった…はずなのだが。
気づいた瞬間から、いつもよりゆっくりめにバックする。
すると、車の窓際にその影が寄ってくるではないか!
もしかして、ぶつけた? そんなはずはない。
その影は、何処かしたある人物に似ている。それは、我が家の近くにある観音堂へしばしば参りに来る、痩せた老人。
参りに来る、というと、殊勝なようだが、実は賽銭泥棒である。庭先で樹木に埋もれるようにして草むしりしていると、しばしばそいつを見かける。
観音堂の格子の前に辺りの様子を窺いつつ、しゃがみこんで拝んでいる。
だが、どうも、手の動きがおかしい。実は拝んでいるのではなかった。格子の下から手を差し込んで、お賽銭を掻き込むようにして手中にしているのだ。
奴は、車が来ると、あるいは、人が通ると、慌てて立ち上がって、参るような恰好を装う。
車や人が行き過ぎたとみるや、改めてしゃがみこんで、賽銭泥棒の仕儀に至る。
小生が、ガサゴソとやると、当然ながら慌てて立ち上がり、さすがに即座にその場を去っていく。
そんなやつのふるまいを何度も見かけた。
奴はどうやら、賽銭のありそうな(容易に盗めそうな)お堂などを毎日、巡り歩いているようだ。
先日は、とうとう、そいつは軽自動車に乗ってやってきていた。しかも、夫婦で!
私が車で門口を出ようとしたら、奴の車と鉢合わせしそうになったものである。
さて、今朝未明、氷雨の中見かけた人は、姿格好が奴に似ていた。なので、もしかしたら夜中、待ち伏せして私を脅しに来たのかと一瞬、思ったものである。
奴がドアを開けるようにという仕草をする。
恐々、車のウインドーを開けると、頭からすっぽり被っていた雨具のフードから覗けてきた顔は、見知った顔だった。
それは、隣家の親戚の人。体形は例の賽銭泥棒と似ている。
むろん、その人はそんな類なんかじゃない。
聞くと、、ボイラーのところに何かがぶつかって、ゴンゴンして煩い。応急措置はしたけど、何とかしてくれ、ということだった。
実は隣家の人だと分かった瞬間、別の懸念が脳裏をよぎった。
もう、7、8年の昔、富山に台風18号の強風が吹き荒れたことがあり、やはり、夜中に帰宅したら、(当時は存命だった)父に、隣家の茶の間の出窓に我が家の杉の木が折れて倒れ掛かっている、と言われたのだ。
見ると、我が家の台所の出窓付近の、高さが十メートルほどの杉の木が幹の中途で見事なほどにポッキリと折れて、上半分が隣家へ倒れ掛かっていたのだった。
その時の顛末は、当時、日記に書いたので詳細は略す。
真夜中過ぎに隣家の彼を見て、その時の悪夢が脳裏を過ったわけである。実際、今朝未明にも、強風が吹き荒れていて、手作りのパイプ車庫のカバーがバタバタとはためいていた。
彼は夜中に雨の中、犬と散歩していて、たまたま小生の帰宅と遭遇したのだろうか。それとも、帰宅を待ち受けていたのか。何時に帰宅するか分からないというのに!
小生は、車をパイプ車庫に収めると、急いで家の裏手のボイラーのある場所へ。
ボイラー付近でゴンゴン鳴っているのは、風呂場(洗面所)の前の、雨除けのために吊り下げているシートだった。シートの端にパイプが通っていて、シートが破れかけているので、パイプを抑えていた歯止めも外れ、パイプが風に揺れ、ボイラーの灯油タンクにぶつかりゴンゴンと鳴っていたというわけである。
風に吹かれてもパイプが揺れないよう、応急措置を施すと、あとは問題はなくなった。
また、あの日のように杉の木が倒壊するなんて、最悪の事態でなくて本当によかったよ。
「杉の木が倒れた」(2009/10/11)
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