白木蓮からインコの思い出へ
近所で毎年、今頃の時期になると咲いてくれる白木蓮が、今年も満開となった。
辛夷(こぶし)と違って、全開とはならないというが、現物を見る限り、目いっぱいに開いている。
← 近所で満開となった白木蓮。
「白木蓮(ハクモクレン)」(「季節の花 300」より)によると、 「花びらは太陽の光を受けて南側がふくらむため、花先は北側を指す。(よって、「つぼみ」の頃は片方にそり返っている)このことから、「磁石の木」と呼ばれることもある」という。
これは初耳。今度、ゆっくり観察してみたいけど、眺める姿が変人か不審者に思われそうで、やや心配である。
「白木蓮(ハクモクレン)」にも書いてあるが、「開花しているときの風景は、白い小鳥がいっぱい木に止まっているように見える」。
玄関の戸を開けると、ほぼ真正面にこの白木蓮の木が見える。冬の間は、ずっと枝振りだけが垣間見えるので、やや寂しい光景。
それが、春の陽気に誘われてか、徐々に白い花が蕾から花へと変身していく。
春の到来の間もないころは、真っ白な小鳥が何十羽も枝に止まっているようで、不思議な光景。
それが日々、小鳥の体が大きくなり、昨日の朝は、今にも飛び立ちそうに。
そして、今日は思いっきり羽搏き、青空を恋しがっているようである。
この光景、ふと、帰郷して間もないころのことを思い出させる。
帰郷した08年の春だったか、ある日、玄関の戸をガラガラと開けると、思わず目を疑うような光景を目にした。
なんと、我が家の門口にある梅の木の枝に、彩も鮮やかな鳥たちが二十羽ほど、止まっているではないか。
鮮やかだが、原色ではなく、パステルカラー。淡い黄色やピンクやの体色の鳥たちが、一瞬、戸惑ったようにっ体を固め、次の瞬間には一斉に飛び去った。
体の大きさは、スズメよりは明らかに一回り以上、大きい。ムクドリよりは小さいか。
小生は、ホント、夢でも見ているのかと、今見たばかりの光景が信じられないでいた。
ほんの一瞬のことだし、目の錯覚か、まだ寝ぼけていて、何かを見違えたのかもしれない…。だから、誰にも語らず、自分だけの光景として胸に収めていた。
ところが、数日も経ないで、家の茶の間から既に放棄され他人の手に渡ってしまった田圃越しの家の裏庭にある柿の木で、同じような光景を見た。
枝振りのいい柿の木の枝々に、やはり、つい数日前に我が家の表の庭の門口の梅の木で見たように、パステルカラーの色とりどりの鳥たちが止まっているではないか。
しかも、自分は今、じっくりと眺めている。幻覚や錯覚などでは決してない。
そのうち、庭仕事していたら、誰かに、どこかの小鳥屋さんから、インコが集団で脱走(?)したんですよ、という話を聞いた。
そうか、あれはインコたちだったんだ。インコの集団が近隣の樹木の枝々に止まっているのだ。
その頃は、デジカメがまだあったし(その後、カビが生えてファインダーに黒い影が映るようになって、使い物にならなくなった)、折を見て爽やかな色合いのインコの集団を撮ろうと試みた。
だが、旧田圃越しの柿の木に止まる際のインコたちは、あまりに遠くて、撮影できてもスズメの群生のショットと変わらない。
家の門口の梅の木は、玄関の戸を開けた瞬間に飛び去ってしまってシャッターチャンスにならない。
そのうち、玄関の戸をゆっくりそっと開けるようになったが、インコたちが知恵が付いたのか、もう我が家の梅の木や他の木にも止まってくれない。
インコの集団は、春が終わるころには、何処にも見当たらなくなった。何処か格好の止まり場所を確保したのだろうか。
それが、である。翌年の春にも、我が家の(それなりに)近くに止まってくれた。例の柿の木である。
前の年の新鮮なパステルカラーがややくすんだ色に成り代わり、ムクドリと見紛うが、それでも、パステルの名残は残っている。
二十羽近かったのが、十羽あまりに減っているのが淋しい。
その翌年、つまり、最初に発見遭遇してから三年目には、ほとんど見かけなくなった。あるいは、時々見かける単独行動のムクドリと思しき野鳥の中には、あのインコの成れの果てもいたのかもしれない。
白木蓮の白い花の咲き具合から、妙な思い出話に飛んでしまった。やはり、白木蓮の花だけに、話も飛ぶってことなのか。
関連拙稿:
「今年もインコの季節?」(2009/03/21)
「我が家に飛来した野鳥たち」(2013/04/30)
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