シニフィアンとシニフィエ それとも
昨日、車中での待機用に、ジル・ドゥルーズ 著の『ドゥルーズ・コレクション 2: 権力/芸術』 を持ち込んだ。
← ジル・ドゥルーズ (著)『ドゥルーズ・コレクション 2: 権力/芸術』 (宇野 邦一 (監修) 河出文庫)
ドゥルーズの芸術論、特にプルースト論を読みたくて買った本。音楽論は理解が及ばないながらも、案外と面白かった。政治(権力)論は、歯が立たず。というか、ほとんど理解不能だった。
さて、ジル・ドゥルーズなど比較的近年のフランス哲学系の本を読むと、脈絡などすっ飛ばしてだが、つい、シニフィアンとシニフィエという対句を想ってしまう。
シニフィアン、すらはち、「意味しているもの」「表しているもの」であり、シニフィエ、つまり、、「意味されているもの」「表されているもの」である。
真意などはソシュールなど専門家に聞くしかないが、こうして捉えていくと、究極のところ、言語あるいは哲学が、ある種の幾何学、陰陽の絵画に至りつくのではないかと思えてしまう。
こんなふうに、ミソもクソも一緒くたにするのは、いかにも微細な差異の階梯を見極めきれない、雑駁な脳みそのしからしむるところなのだろう。
思うに、シニフィアンとシニフィエとは常に絡み合っている。シニフィアンはシニフィエを観察し分析し的確なシニフィアンたらんとするが、常に現実は、つまりはシニフィエは動いてやまないものだし、万が一にも、一瞬でも完璧なシニフィアンが成ったとしても、指の隙間から砂や水や空気や命が漏れ零れていくように、シニフィエは、一層、この手から、つまりシニフィアンの網を遠ざかっていく。
そう、シニフィアンは投網であり、本書の中でジル・ドゥルーズが頻りに使うように、蜘蛛の巣、蜘蛛の巣という網なのだろう。
が、永遠に投網は現実を覆いきれない。シニフィエは、ホホホと笑って高みか何処かへ消え去っていく妖精なのだ。
こうなってくると、これはまさに我流の…、吾輩次元の理解なのだが、シニフィアンとシニフィエは、陰と陽、つまりは、互いに恋い焦がれ合う男女の仲に見えてくる。縺れるわけだし、際限がないわけである。
以下、参考に(ならないけど):
「記号 - Wikipedia」:
記号それ自体は、紙の上のインクや造形された物体、空気の振動などでしかないが、人間がこれらを何らかの意味と結び付けることにより記号として成立する。そして記号は、他の記号と共にまとまった集合体となったり、あるいは相互に作用し合ったりして、何かを指し示す。
「記号 - Wikipedia」:
19世紀後半から20世紀にかけて、人類は、科学や技術、政治・経済、思想などの面で大きな飛躍を遂げたが、その中で記号は重要な役割を果たした。とりわけ自然科学においては、自然現象を記号化し、それらを操作することによって新たな認識を深めていき、人類のあり方をも左右するに至った。これにより、あらゆる認識は記号によってのみ実現するとまで言われた。
「記号学 - Wikipedia」:
記号学は言語学の中から出てきたものであるが、単に言語における記号の働きを研究しただけでなく、記号が人類にもたらす諸作用をも研究対象としていき、哲学における大きな柱の一つとなった。
「記号学 - Wikipedia」:
ソシュールは記号表現と意味とをシニフィアンとシニフィエと名づけて、これら二つの結びつきが無動機であったり恣意的であることを認めている。記号は、個々の同一性の確保と、規則や体系の内なる価値の占有とを同時に行なうという方式で成立すると考える。差異の体系だと考えるわけである。
「シニフィアンとシニフィエ - Wikipedia」:
シニフィアンは、フランス語で動詞 signifierの現在分詞形で、「意味しているもの」「表しているもの」という意味を持つ。それに対して、シニフィエは、同じ動詞の過去分詞形で、「意味されているもの」「表されているもの」という意味を持つ。
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