ナボコフ あるいは詩人の魂
例年、新年会の類は出席を避けてきたのだが、組合の役員という立場上、断り切れず、今日も新年会へ。
こうした酒宴の場というのは、お酒が絡む。飲めない小生には、辛いだけ。
← ウラジーミル・ナボコフ 著『賜物』(沼野 充義 訳 河出書房新社) 「祖国への思いを込めたナボコフ最後のロシア語小説を原典から初の邦訳」だとか。詩人の小説って、翻訳が難しいだろうな。
親睦を深めるという意味合いは分かるので、意義は理解できるけど、酒を飲みタバコを燻らすのを横に見つつ、こっちはカルピスやらウーロン茶やらで出てくる中華料理を食べていく。
料理は美味かったのが救いである。普段は、電子レンジでチンする、出来合いの食べ物で過ごしているので、出来立ての料理というのは、うれしいもの。
さすがに家庭料理ばかりは、縁が遠いままだが。
さて、読書のほうは牛歩である。一日たりとも欠かさずに読んでいるが、日に数十頁がやっとである。
寝床では与謝蕪村の句集(岩波文庫)を折々に眺め(鑑賞し…とまではいかない)、居室では、今は、ウラジーミル・ナボコフ 著の『賜物』を読んでいる。
かなり(自分には)高踏的な本で、手ごわく、読み通すのは難しいかと、理解するとっかかりを探そうと暗中模索するふうにして読んでいたが、だんだん、彼の世界への馴染み感(親近感というと、やや生意気というか僭越だろうが)を覚えてきて、結構楽しんでいる。
というか、詩人というのは、若いころから、それこそ少年の頃から、あるいはもっと幼いころから詩人なんだなーと、つくづくと感心させられつつ読んでいる。
← 『幻想耽美』(パイインターナショナル) 「美しくも退廃的なアンダーグラウンド・アートの世界。アート・イラストレーション・ドール・フィギュア・コミック。各ジャンルの人気作家から新進気鋭の作家まで豪華50名の作品を収録」という本。一昨年、入手して以来ずっと、座右から離せない。
自分には、音楽家(作曲をする人)とか、画家とか、要するに創作する人の心持など理解が及ばない世界なのだが、特に詩人は縁遠く感じる。
まあ、数学者とか、とびぬけたアスリートとか、いずれにしろ、平凡の極みの小生には、どんな傑出する人の心理であろうと、測りがたいものがあるのだが。
それにしても、詩人の発想とか、感性って、どんなものなのか…。
彼らは世界をどう感じ、どう表現しようと苦闘してきたのか、まさに本書は詩人(の魂)誕生の物語なのである。
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コメント
子供、って、
詩人だし、画家だし、
書家で、哲学者だったりします。
大人になるにつれて均されるのですけど。
話は変わりますが、
出目似鱚(でめにぎす)ってご存知?
僕は、今日はじめて知って、
少なからず衝撃を受けましたw。
進化というのは、なま易しいものではないなぁ。
現実は、守るべき節度がないから、
想像を超えてきます。
フィクションのほうが、
よほど現実的ですわ。
今年もよろしくしてやってくださいっ。
投稿: | 2016/01/12 01:48
名無しさん
子供、特に幼児(せいぜい小学校の一年くらいまで)の絵を見るのが好きです。自由奔放な感覚が感じられる。
それが小学校の低学年から高学年に上がるにつれ、常識に染まり切った絵に成り果ててしまって、多くの児童の絵はつまらなくなりますね。
教育の成果なのでしょう。
出目似鱚、初めて知りました。変わった習性の魚ですね。
進化関連の本を読むのは好きです。進化の過程は、想像を絶するものがありますね。
投稿: やいっち | 2016/01/12 21:15
すませんっ、想像どおり青梗菜です。
うっかり、です。
>教育の成果なのでしょう。
労働者と兵隊しかつくる気がないからですね。
デメニギス、って、
ストア学派に名を連ねそうでしょ?
でも、漢字で書くんだ、出目似鱚なんだ。
頭部が透明になっていて、
眼球は、頭内部に、上向きについてます。
頭がクラゲになりかかってますよ。
進化、って、なにかの悪い冗談なのでしょうかw。
投稿: 青梗菜 | 2016/01/12 22:53
青梗菜さn
進化って、神様のいたずら以上の実態があるようです。ゆきあたりばったりで、且つ、利用できるものは何でも利用する。
進化の網は、どこでどう繋がっているか、捨て去られてしまうのか、あるいは再利用されるのか、(目の進化のように)必要があれば何度でも目が生じる、進化論辛みの本を読むと、自然の驚異をつくづく感じさせられます。
文学や哲学も、自然科学の尽きることのない研究と発見の現状に見合うほどの探求をしないと(深みや想像力の沸騰という意味で)、読み手を納得はさせられないでしょうね。
安っぽいミステリーやサスペンスやファンタジーものは、叙述のエスカレートと粉飾で目先を糊塗しようとする。
でも、所詮、人間を探求すれば、ただひたすら尽きせぬ世界が開けてくるものと思います。
投稿: やいっち | 2016/01/13 20:44